2024年で一番楽しみにしていた作品『エイリアン:ロムルス』を鑑賞してきました。
感想、小ネタ、などなど語っていきたいと思います。
1作目公開から、約45年経ち新たな絶望が始まります。
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
2024年公開のフェデ・アルバレス監督作品。
1作目、『プロメテウス』『エイリアン・コヴェナント』監督のリドリー・スコットは今回は製作で参加。
世界的大ヒットシリーズの最新作。
ケイリー・スピーニーを主演に迎え、原点回帰するとともに新たな恐怖を描きます。
恐怖の原点にして頂点である『エイリアン』(1979年)の“その後の物語”が、『エイリアン』を監督した巨匠リドリー・スコット自身の製作によって、全世界待望の映画化!
人生の行き場を失った6人の若者たちが、生きる希望を求めて足を踏み入れた宇宙ステーション“ロムルス”。だが、そこで彼らを待っていたのは、恐怖と言う名の絶望──寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化する “エイリアン”だった。しかも、その血液はすべての物質を溶かすほどの酸性のため、攻撃は不可能。宇宙最強にして最恐の生命体から、彼らは逃げ切れるのか?広大な宇宙の密室で起こる究極のサバイバル・スリラーを、映画館で体験せよ!
Disney+より引用
「もし、まだ『エイリアン』シリーズをひとつも見ていないのなら、『エイリアン:ロムルス』を最初に見てほしい」
フェデ・アルバレス監督はインタビューで言っています。
つまり他の作品を観ていない人向けに撮影しているということです。シリーズものはその作品を観るために他の作品を観なくてはならないみたいな事に陥りやすいです。
ましてや映画は1本90分~180分とかなりの時間を費やす必要があります。
しかし、その必要がないように監督が作ってくれているという事なのです。
確かに逆にいろいろ知らない人の方が、1作目で世界が味わった衝撃と似たものを今作で味わう事が出来ると思います。
そしてどうしてもという事であれば1作目を見れば十分だと思います。
代表作は『ドント・ブリーズ』
ホラー作品やリメイク作品を中心に監督しています。また基本的に脚本も自ら書くことが多いです。
若者たちがその境遇から脱出するために悪戦苦闘する姿を描くのが特徴
『エイリアン:ロムルス』でもウェイランドユタニ社にいいように奴隷のような労働を強いられていて、そこから抜け出すために冒険に出るところから始まります。
それから、無数のフェイスハガーの群れを室温を上げて音を立てないようにやり過ごそうとするシーンは、まさに『ドント・ブリーズ』そのままを作品中でやっています。
■『エイリアン』シリーズの時系列
『プロメテウス』(2089年)
『エイリアン:コヴェナント』(2104年)
『エイリアン』(2122年)
『エイリアン:ロムルス』(2142年)
『エイリアン2』(2179年)
『エイリアン3』(2270年)
『エイリアン4』(2470年)
『エイリアン』は上記の映画以外にもテレビシリーズやマンガ、ゲームなどでも展開されていて共通設定が適用されているものが多いです。
とりあえず、1作目でリプリーがエイリアンを宇宙船のバックファイヤで宇宙の彼方に吹き飛ばしてから、20年後の設定です。
この間にロムルス:レムスと名付けられたステーションで実験が繰り返されていたのですが、エイリアンに襲われ人間は全滅、アンドロイドのルークも真っ二つに引き裂かれて機能停止して、宇宙を漂流していました。
これが2142年にレインたちの居住する惑星ジャクソン・スターの小惑星帯の近くで発見される訳です。
その間、リプリーは宇宙船で人工冬眠したまま漂流し続けています。
今作の2142年から37年後の2179年にようやく地球近くで回収されます。
1作目の『エイリアン』の20年後をいう設定なので、宇宙船やステーションの外観、内装が割と1作目よりなのがたまりません。
モニターがブラウン管っぽく、しかもノイズが入る時のトラッキングを自動調整しているような感じがいいです。
恐らく、大量に用意する事は出来ないはずなので、薄型液晶モニターの表面をガラス板で覆ったのだと思います。
傷ついてもそのまま映像が映り続けていたので、そういった作りなのだと思います。
操作系も昔っぽくて、ガチャッと押し込む式で押すとランプが光ったり消えたりするボタンがいっぱいならんでいたり、操縦桿もなんとも武骨な形をしていました。
撮影に関しても出来るだけ、CGを最小限にとどめています。
例えば着ぐるみやアニマトロニクスを多用したり、フェイスハガーに至ってはラジコンを使ってみたりと、アナログな撮影により存在感が増すようになっています。
『1』と『2』を意識させる宇宙船内やステーション内のセットが素晴らしいです。
天井が低く閉塞感があるのもそうなんですが、凸凹具合がなんともかっこいいのと、ホントにこういう場所がありそうな臨場感です。
そして何より全体的に暗めの照明で見える所と見えないところのコントラストを高めることで、闇に潜むエイリアンなど緊張感を高める効果が高いと思います。
逆に明るい所は立体感や美しさが際立ちます。
レニーたちが住む惑星ジャクソン・スターは、大規模な鉱物資源採掘を行っています。
そのせいで空は分厚い雲に覆われ日光は遮られ常時薄暗く、シトシト雨が降ったりしている暗い環境です。
その上、粉塵や有毒ガスなどのせいで肺の病気が流行して毎月毎月たくさんの人が亡くなっているという、どうにもならない閉塞した感覚に苦しめられています。
レニーは貯めたポイントでやっとこの生活から抜け出せると思ったら、ウェイランド・ユタニ社は勝手に契約を更新してポイントのの価値を変動させてしまう。
そこに仲間たちが漂流した宇宙ステーションを発見したから、冷凍睡眠装置を盗んで楽園と呼ばれるユヴァーガ星に逃亡しようという事に。
宇宙船に乗り、宇宙ステーションに向かう際に分厚い雲を抜けた時、まぶしい太陽の光が宇宙船の窓から船内に差し込みます。
その時、久しぶりの太陽の光を浴びてその美しさに感動しながら、さらにその気持ちよさにうっとりする描写があります。
刑務所でも囚人たちに一日1回ほど日の光を浴びさせるようにしています。
健康上、体内時計のリセット、温かさから活力を得る、など太陽の光には多大な効果があるのですが、彼らにはそれがない上に閉じ込められ続けるという悪夢のような人生を送らされています。
周囲の大人たちはウェイランド・ユタニ社に搾取され続けて疲弊してあきらめてしまっています。
若者たちはこの暗い未来に絶望していたので、とにかく一縷の望みにすべてを賭ける事にします。
以前書いた『エイリアン』シリーズの記事では触れていなかったので、ここで復習しておきましょう。
超巨大軍産複合企業体であるウェイランド・ユタニ社はシリーズ通して登場する重要な存在です。
ウェイランド社を天才発明家のピーター・ウェイランドが発足しますが、『プロメテウス』でエンジニアの存在を確認し、研究するために宇宙船を送り込みますが自分の娘もろともに全滅してしまいます。
この事件でウェイランド社は大打撃を受けます。
そこをYUTANI株式会社のCEO湯谷英雄(ユタニヒデオ)がウェイランド社を買収し、超巨大企業ウェイランド・ユタニ社が出来ます。
つまり、この企業は日本企業なんですよね。
企業である以上、より大きく成長するために利益を追求するのは当然のことです。
しかし道徳や倫理に反することはもちろんしてはならないのですが、得てして人間はその境界線を意外と簡単に踏み越えます。
ましてアンドロイドから巨大宇宙船や植民惑星開発まで扱う大企業では、利益を上げるためなら人道を踏み外すことをなんとも思わない人々が現れます。
レニーたちが住む惑星はウェイランド・ユタニ社主導で最低限のテラフォーミング後に鉱物資源を採掘しています。
※テラフォーミングとは人間が居住可能になるように惑星全体の大気や環境を改良する大規模作業
その結果、温室効果で気温が上がり、分厚い雲に覆われ太陽を見ることもできない状態になりました。
さらに鉱物採掘により大気汚染が進み、病に倒れる人間が続出しています。
労働の対価としてポイントを貯める事ができるのですが、移住しようとすると契約講師を強制的に行い移住に必要なポイントを貯めるためにはさらに何年も必要だという事にして飼い殺ししています。
労働者たちはすでにそのことをなんとなく理解しています。しかし気づいた時には実質何もできない状況にまで追い込まれてしまっています。
そんな惨めで閉塞した日常から若者たちが楽園とされる惑星ユヴァーガに脱出したいと思うのは当然でした。
結果、えらい目にあってしまうのですが・・・。
オマージュに関しては作品中のいろんなシーンや小物などたくさん隠されています。
これを探すのも楽しいでしょう。
たとえば、タイラーがパルスマシンガンを取り出し、説明しながらレニーに性能、構え方、撃ち方をレクチャーするシーンは『2』のリプリーにヒックスがレクチャーしているのと構図からアングルからそっくり。
これ!うれしかったなぁー!!
このマシンガンはサブマシンガンではなくてアサルトライフルです。
そして何よりも連射した時の音がすごくいいです!
2作目で、グレードアップしたパルスマシンガンが出てくるわけです。
シリーズに登場する彼らに「アンドロイド」とか「ロボット」って言うと、表情には出さないが「合成人間」だと訂正させようとします。
彼らには単純なアンドロイドやロボットより高次の存在なのだというプライドがあります。
『2』でビショップがリプリーにアッシュは旧型だから故障したのであって、新型の自分は改良されているからというのを少し食い気味に話すのもその現れです。
かなり細かいのですが、シリーズ通して少し尊大なくらいのプライドを持っている事が描かれます。
『プロメテウス』のデイビッドはその極致です。かれは神になろうとしてましたから。
ただし、あくまでもそれはプログラム上での事です。
今作のアンドロイドだあるアンディは主人公レインの亡くなった父親により「レインの利益」を最優先させるようにプログラムを書き替えられていました。
お金もないので最新のアップデートもできないので、レインの保護者であるはずなのにレインに「弟」と呼ばれ逆に面倒を見られる感じ。
出来る事は気分をほぐすためにとダジャレを延々と言い続けることくらい。
しかし、ロムルスに居たルークのチップを取り込んだことで、OSの書き替えと身体操作のファームウェアアップデートにより、あっという間に強くなります。
エイリアンの恐怖以外にもこれまで見くびっていた相手が自分の上位に立ち、生殺与奪の権を握られる恐怖が描かれます。
そして今作のアンディは英語表記だとAndyですが、順番的にはコールに対応するので本来は「C」から始まる名前になるはずなのに、そうなっていません。
恐らくですが、コールはシリーズの中では珍しいアンドロイドです。彼女は人間に紛れて生きていくために名前も変えているのです。フルネームはアナリー・コール Annalee Call。
コールは姓なんですね。慣習に従えば、名前のイニシャルですから、「A」が正しい訳です。
だから今作の中心となるアンドロイドは”アンディ”な訳です。
そして、同じ作品に2体目が出た場合は、イニシャルのアルファベットのAからの順番と同じ数をZから数えた順番のアルファベットに対応しています。
『コヴェナント』ではデヴィッドのDはAから4番目のアルファベットです。だからZから4番目はWでウォルターになるわけです。
ルークに関しては、とりあえずこの法則は当てはまらないようです。理由は分かりませんが。
知っている方いらしたら、是非教えてください。
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ
となっています。コヴェナントで1作目をリスペクトした形でデイビットの首がもげてしまっています。
だから2作目オマージュで今作ではルークが、真っ二つになった状態で登場しています。
1作目にアッシュ役で出演したイアン・ホルムは2020年になくなっているのですが、そのアッシュにそっくりのルークが登場して驚きました。
これはCGIで再現したそうです。
遺族に問い合わせてCGIで再現することを許可してもらっての再登場という事になったそうです。
大変、素晴らしいです。
アッシュのあのうろんな感じと雰囲気は彼にしか成し得ないでしょう。だから他の役者が違うアンドロイドを演じてルークとして登場しても全く良かったはずですが、あえてこれをアッシュそっくりのアンドロイドにしたのはあの独特の怖さを演出するためです。
本当に素晴らしい!
ビヨンが母親をアンドロイドに見捨てられた過去から、アンディに対して口汚く罵ったり、ひどい態度を取り続けます。
「人間もどき」など蔑んだ言い方をするのですが、こういった行為は『ブレードランナー』などアンドロイドが登場する作品では人種差別のように描かれています。
確かに見た目が一緒でも、何を考えているか分からない存在を差別する事がありそれを描いています。
『2』『3』で登場した、ビショップ、ビショップⅡはそのモデルがいます。
これは『エイリアンvsプレデター』で判明するのですが、ウェイランド社を立ち上げた創業者のピーター・“ビショップ“・ウエイランドがモデルです。
つまりビショップは『プロメテウス』に登場したウェイランド社初代社長の若い頃の姿なんですね。
ロムルスとレムスとは、今作では研究用科学宇宙ステーションの名称として登場します。
その名前の由来は、ローマ神話の軍神マルスの双子の息子の神様たちです。
双子に生まれた事により、権力争いに巻き込まれ、川のほとりに捨てられた双子。
その双子を母親狼が乳を与えて育てます。
成長した2人はその後、反逆者から権力を取り戻し、「ローマ」という国を建国しました。
これがローマ建国の神話です。
建国の際に兄ロムルスと弟レムスは城壁や国境などで揉めるようになり、結果ロムルスはレムスを討ち取ります。
ロムルスは建国した国に自らの名前から「ローマ」と名付けた事になっています。
と言う訳で、ルネサンスステーションのユニット名称がロムルス・ラボとレムス・ラボに採用されています。
ロムルスをタイトルに採用したのは、アンドロイドが人類を討ち取り、新しい子孫で新たな世界を作り上げようとしているからです。
黒い液体(ブラック・グーまたはブラックオイル)と呼ばれるものが登場します。
今作では1作目のエイリアンであるゼノモーフを繭から復活させて、さらにその遺伝子から寄生隊であるフェイスハガーをクローン技術で複製します。それも無数に。
そのフェイスハガーから抽出されたのが、黒い液体だとアンドロイドのルークのセリフから判明します。
シリーズ中では黒い液体は『プロメテウス』と『コヴェナント』で登場します。
これらは劇中で何とは語られていませんでしたが、設定上の説明があります。
人類の起源であるエンジニアたちは極度に進んだ科学文明を創造していましたが、すべての病気を克服し、ほぼ永遠の命を実現した過程でなんと生殖能力を失ってしまいます。
事故などで身体が極度に破損すればもちろん死ぬので、生殖できな意ということは緩やかに絶滅してしまう事を意味します。
そこで開発されたのが黒い液体です。
黒い液体に遺伝子を取り込ませて、再構成させる事で生殖能力を持った自分達によく似た生物を生み出し、種として生き残ろうとするわけです。
『プロメテウス』でエンジニアが黒い液体を飲み込んで、バラバラになった遺伝子が水の流れに溶け込んで行くシーンはこの一端を描いているわけです。
今作の黒い液体は、クローンで再構成されたフェイスハガーから抽出された「Z-01」と呼ばれています。
「Z-01」はまだ実験段階のもので不完全なものです。
ネズミの実験映像で最終的には細胞が暴走して、バケモノに変化してしまう事が描かれています。
妊娠していたケイはルークに唆されて黒い液体を自ら注射してしまいます。
妊娠していたケイは自ら黒い液体を注射します。
ケイのお腹の胎児に黒い液体は作用して、化け物が生まれてしまいます。
出産時は繭に包まれたサナギ状態ででしたが、すぐにサナギから出て、宇宙船内を俊敏に動き回ります。
ケイはこの怪物に襲われ捕食されてしまいます。
さらにレインを追い詰めていきます。
設定上、オフスプリングと呼ばれています。意味は「人の子」。
実際人から生まれていることと、新たなる子孫という事が含まれています。
『プロメテウス』のエンジニアになんだか似た要望の背丈2.5mくらいの巨大な身体は手足が長く、全体的にはほっそりしています。
エイリアンの運動能力や怪力に尻尾を引き継いでいます。
しかしこいつの本当に怖いところは2重顎のような舌のようなものを出しながら、ニターッと笑うところです。
『プロメテウス』と『コヴェナント』を見ると分かるのですが、エンジニアこそが黒い液体を使って人類を、その技術を盗んでデイビッドがエイリアンを生み出した経緯があります。
つまり人類とエイリアンはエンジニアを元に作られた兄弟のようなものと言えます。
オフスプリングはその人間とエイリアンとエンジニアのハイブリットです。だからエンジニアに似ている訳です。
『4』のニューボーンは黒い液体は使ってませんが、黒い液体を体内に宿すエイリアンにリプリーの遺伝子を掛け合わせたクイーンエイリアンが子宮から出産しました。なのでエイリアン要素がつよいです。
ニューボーンは賢さはありますが、知能はそう高くはないです。リプリーを母親として追い求めていました。
しかし、オフスプリングはケイを母親として見るどころか、獲物としてしか見ていませんでした。
頭のいいところが恐ろしいのと殺戮と捕食を楽しんでさえいるように見えるので、ニューボーンに比べてかなり邪悪に感じます。
ちなみにこのオフスプリングはルーマニアのバスケットボール選手ロバート・ボブロツキーが特殊メイクをして演じています。
顔付から体型から、ほぼそのままで演じていたんですね。しっかし背が高い!!
今作に登場する若者たちは、主人公レイン役ケイリー・スピーニーをはじめ、それほど有名ではない役者を起用しています。
これは79年『エイリアン』で予算の都合上、有名な役者を雇うことはできなかったためでありますが、当時無名だった役者を起用していた事をリスペクトしたからです。
作品が世界的に大ヒットすることで、シガニー・ウィーバーのように役者も世界的に活躍の場を広げていくことになりそうです。
ケイリー・スピーニーは良かったですよねー!!かわいい!
ウェイランド・ユタニ社の搾取にも負けないようにバイタリティ溢れる姿を見せてくれます。
絶望に屈してはいけないと思わせつつ、何度も何度も絶望を重ね、畳み掛けるこの作品を
今作におけるエイリアンたちは、ルークのセリフから分かるのですが、通常のエイリアンたちの繁殖方法をとっていません。
1作目で宇宙に吹き飛ばされて繭状になり漂流していたエイリアン(ビッグチャップと呼ばれる個体)をウェイランド・ユタニ社が回収してルネサンスステーションのロムルス・ラボでクローン培養したものです。
だからまず、卵を産むクイーンがいません。
その代わりにフェイスハガーは大量に技術的に複製されました。
この辺りはロムルス・ラボで真っ二つにに引き裂かれて機能停止してたアンドロイドのルークが語ってくれます。そして「ゼノモーフ」という言葉が作品中正式に初めて使われました。
フェイスハガーに人が種を植え付けられ、チェストバスター(幼体)として胸を突き破って飛び出します。
その後、脱皮してサナギ状になってから、2.5mほどの巨体に急速に育ってサナギから成体となって出てきます。この成体をゼノモーフと言います。
そして、1作目のゼノモーフには名前が付けられています。それが「ビッグチャップ」(大きな頭)です。
劇中では「ビッグチャップ」という言葉は出てきませんが、2作目以降と差別化するために覚えておくと良いと思います。
今作ではまったく登場しないクイーンエイリアン。これは今作で登場するすべてのエイリアンがビッグチャップからの複製体のみだからなんですが、ちょっと気になるので脱線しますがこちらの記事で。
通常は蜂や蟻のように、女王が産んだ卵のうちのひとつがクイーンとなって、成体となってから別の場所で自らのコロニーを作ります。
『2』以降、登場するクイーンですが、『1』の時にはすでに存在していた事が分かります。それはリプリー達が探索した宇宙船内にフェイスハガーの卵(エッグチェンバー)が産卵された状態だったからです。
エイリアン自体は『プロメテウス』『コヴェナント』で実はエンジニアが作り出した黒い液体を使って人類と掛け合わせた結果、生まれたものをアンドロイドのデヴィッドが調整して誕生したことが描かれています。
しかしクイーンについてのシーンなどはなくて、謎になっています。
ただ、削除された脚本やシーンなど、それから小説版などの資料を紐解いてみた結果、驚くべき説が出来ています。
それが、『最初のクイーン=エリザベス・ショウ博士』というもの。
劇中でデヴィッドは最終的にエリザベス・ショウ博士を殺害しています。エリザベス・ショウ博士は黒い液体によって急速に成長する生物を自動手術装置を使って強制的に体外に取り出しています。
間接的にではありますが、黒い液体の影響を受けていた可能性が非常に大きいです。つまりエイリアン化させる事が可能な肉体になっていたものと考えられます。
デヴィッドは殺害後、エリザベス・ショウ博士の身体を使ってエイリアンの卵を自分たちで生み出せるように調整を施すわけです。
つまり、クイーンを生み出したという事です。
エリザベス・ショウ博士は子供を身ごもることができない身体でした。つまり母親になる事が出来なかったわけです。デヴィッドはそういった思いも含めて彼女を「母親」にしようとしたのではないか?
人間からすると狂気としかいいようがないのですが、デヴィッドはエリザベス・ショウ博士を「母親」にするために研究・調整を行いとうとうクイーンを生み出し、彼女をエイリアンたちの「永遠の母親」にしたのだという事です。
だからすべてのエイリアンたちにはエリザベス・ショウ博士の遺伝子が含まれているので、どの生物がベースのエイリアンでもなんとなく女性的なフォルムをしている訳なのです。
2024年で最も楽しみにしていた作品です。
この作品を見るために『デッドプール&ウルヴァリン』を見るかどうか悩んだというくらいに。
結局両方見ましたが(笑)
そして、感想は「面白かった!!」です。
何がいいって、希望から絶望への大転落プラス、何度も突き落とされる絶望の瞬間に手に汗を握ってしまうところです。
印象的なのが陽の光を浴びて気持ちよさそうなシーンからの、何度も襲う「もうダメだ!」感。
それから、アンディがチップをルークのチップを挿入する事で頭が良くなり、強くなるのは「アルジャーノンに花束を」をモチーフにしてるのが印象的。
ネズミを使った実験、チップを入れてアンディが頭がよく強くなるが、そのチップを抜いてまた元の頭がいまいち良くないアンディに戻るという流れについてもモチーフにしている。
それから音がすごい!
だからぜひ劇場のスクリーンで見て欲しいです。
ドン!っといきなりエイリアン登場の時の音にビクッとしたり、
全くの無音での緊張感をと閉塞感を煽るやり方、
音を出してはいけない時の自分ではどうにもできない音が出す極度の緊張と絶望観。
素晴らしい演出とモチーフ、小ネタに溢れています。
面白かったです!
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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