先日、「DUNE/デューン砂の惑星」の2作目「DUNE: PART TWO」がクランクインしたとのニュースがありました。
なので、復習も含めて原作や旧作・1作目を振り返り、徹底的に深堀してみようと思います。
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
以下は以前書いた1作目の記事です。
監督について知れば、より作品を深く理解するのに役立つと思います。
以下、電八的な解釈を含めた監督についてのおさらいです。
1967年10月3日生まれ、公証人の父親、専業主婦の母親。
1970年代を少年として過ごしています。15歳の時にカナダは独立します。
70年代のアメリカは空前のポップカルチャーブーム。
ベトナム戦争で政治に不信感を持つ若者が増え、ファッション、趣味、ライフスタイル、好きな音楽、そして映画などで心情を表現するようになります。
隣国であるカナダも当然、大きく影響を受けています。
つまりドゥニ・ヴィルヌーブはまあまあ裕福な家庭で溢れるカルチャーにセンスを磨かれながら育ちます。
だから大学で映画を学び、すぐに映画コンペで受賞するなどあっという間に頭角を現します。
ポールは父が死にアトレイデス家の宗主となり、アラキスの救世主となる運命があることを知り、戸惑います。
そして抗おうとしますが、受け入れて使命を果たそうと戦い、導きます。
他作品でも似たようなモチーフが頻繁に現れます。
この辺りは意識して観ていきたいところです。
恐らくですが、忙しい父と厳しい母親に育てられていたと思われます。
父親は忙しいのであまり家に居らず、たまに一緒になると息子の不満を解消するためにモノを買い与えて、勉学に励めとは言うが基本甘やかしていたでしょう。
代わりに母親が厳しかったのだと思われます。
だから作品の中で「母親」を支配の象徴として描くことがあります。また母親自身も運命に支配されていて「使命」として「出産」するという風に描かれます。
『DUNE/デューン 砂の惑星』 のストーリーも出生の秘密として「出産」と母親との関係性、そして運命という支配・コントロールなどが象徴的に描かれています。
「DUNE」における母親は「救世主の母」であり、ポールとその妹という「運命の子」を「出産」することが「使命」として描かれています。
また、ベネ・ゲセリットの当主である教母も支配の象徴となります。
監督が追い続けるテーマに近いことがすでに物語として存在します。
ツルッとした丸っこい宇宙船。
監督はこんな感じのデザインの宇宙船が好きなようです。
映画「メッセージ」でも日本では「ばかうけ」と呼ばれた宇宙船が登場しています。
ノリがいいドゥニ・ヴィルヌーブ監督は「ばかうけ」に似てることを公式に認めて、Youtubeで「ばかうけに影響を受けてデザインした」とノリのいいジョークをコメントしていました。
また、ばかうけの製菓メーカーの栗山米菓も「メッセージ」に公式コラボしたりしていました。
また1作目で出てきたので、2作目でも何かコラボ企画みたいのがあるかもしれません。
本当にざっくり説明すると、宇宙を支配する皇帝からの命令で、メランジ生産可能な唯一の惑星アラキス(通称:砂の惑星デューン)の管理を任されたアトレイデス家。
その前任であったハルコンネン家はアラキスの支配権を取り戻すべくアトレイデス家をあの手この手で追い立てる。
アトレイデス家当主の父親を殺されてしまったポールは生き残るために砂漠に逃げる。
そこにはアラキスの原住民である砂漠の民フレメンがいて、彼らに保護される。
ポールはその能力で、フレメンを率いる英雄に育ち、アトレイデス家再興と全宇宙の統治にむけ、戦い続ける!という内容です。
原作の小説が書かれた1960年代は欧米の若者、特にヒッピーと呼ばれる若者たちの間で「禅(ZEN)」が流行します。
当時、サンフランシスコで鈴木俊隆(すずき しゅんりゅう)という僧侶が若者たちに「ZEN」を教え広めていたそうです。
慎ましい、最低限のものだけで無駄のない生活を送る、侘び寂びの世界観が尊いとされる考え方が「Love & Peace」とともに広まっていったのです。
今でいうミニマリストみたいのですかね。
荒涼とした砂漠で生きることに最大の価値があるという描き方はまさに「禅」がモチーフになっているのでしょう。
「禅」を体現する種族としてフレメンは描かれ、ポールは「禅」の教えを請い、修行に励み、悟りの境地に至ります。
ヒッピーたちが憧れたいわゆる部族文化と「禅」の融合した人々。
その土地独特の人間・文化・慣習を描き、その特異性が非常に尊いものにつながっています。
贅沢をせず、あるがままを受け入れつつ、麻薬を吸って精神世界に生きる部族です。
彼らはヒッピーそのものを描いているのだと思われます。
劇中では貴重な水を一滴も無駄にすることなく、最低限のもので生活します。
しかし彼らはハルコンネン家にひどく虐げられた過去があり、よそ者を嫌うようになります。
ポールたちも手放しでは受け入れてもらえませんでした。
フレメンたちが砂漠で生活するための必需品として開発した保水スーツ。
全身の毛穴から放散される水蒸気や汗、呼気に含まれる水分を、ほぼすべて回収し再利用できるように濾過・浄化し、貯水ポケットなどに貯めておくスーツ。
もちろん、太陽からの強い光から体を保護し、熱中症を起こさないようにする効果もある。
これも黒ずくめのスーツでマントを羽織っていたりとシルエットだけで言えば禅僧の僧服をイメージさせます。
巨大ミミズなわけですが、その形状から男性器を表すと言われています。
しかしドゥニ・ヴィルヌーブ版の砂虫はどちらかというと女性的な母なる存在かもしれません。
彼らが成長する過程でメランジを生成するという設定になっています。
メランジとは別にフレメンたちにベネ・ゲセリットのような能力を与える「命の水」を分泌します。
これはある種、進化という成長を促す母乳のようなものかもしれません。
また恐ろしい怪物としても描かれます。
生物が起こす砂の振動をその巨体の表皮にある鋭敏なセンサーで感じ取り、地中から一気に大量の砂と共に飲み込んでしまいます。
フレメンは特殊な歩き方で、砂虫に気取られずに砂漠を移動することが出来ます。
さらに、フレメンは手綱のようなものをとりつけて砂虫を乗りこなし、巨大兵器として利用することができます。
その強烈なインパクトで「DUNE」作品を観たり読んだりすると頭に残るのは砂虫のビジュアルです。
70年代~80年代は麻薬ブームでもありました。
精神薬は脳を活性化して超人を生み出すことができるなんて言う怪しげな学説があったくらいの時代です。
ぶっちゃけメランジは麻薬の事です。
砂漠で巨大な虫に襲われ、大声を出すと敵の兵士が吹き飛ぶなんて幻覚を映像化したわけです。
現代の地球上においてはネットワークインフラや交通網、輸送網などを一手に支配したのと同じ位の支配力を手にすることと言えます。
だからアラキスを制する者は宇宙を制する者という事になります。
そうとは知らずに人を支配下に置きコントロールすることが出来ます。
そしてこのメランジを生み出すのがアラキスに生息するサンドワームだけなのです。
つまりこれは昔、大航海時代に香辛料の奪い合いが戦争に発展していったのと同じなんです。
だから<香辛料スパイス>メランジと呼ばれる訳なんですね。
麻薬であり、香辛料なわけです。
物語上では以下の3点がメランジによってもたらされます。
死を遠ざけ、永遠の命を授けます。
超長期にわたる寿命の長さは支配権であったり、より栄華を極めんとする者にとっては喉から手が出るほどに欲しいものです。
メランジにより寿命がなくなります。
ベネ・ゲセリットの能力である<声ボイス>もメランジ由来の能力です。
他にもテレパシー、テレキネシス、予知能力、運命を読み解く能力などなど。
さらに超人的な思考能力や計算能力などを得ることができます。
また、超高速航法を行うためには座標計算や空間を折りたたむ力の計算、ジャンプに必要なエネルギーとエンジン出力などの計算、ジャンプ先の障害物の有無の確認など超高次元の計算処理が必要です。
メランジにより超高次元の演算能力を得て、これを可能にしています。
超能力の一種ですが、超光速航行に特化した能力として空間を折りたたむ、高次元の能力を使うことが出来るものが、ギルドを組織しています。
以前の記事でも書いたのですが、この作品は現在よりもはるか未来を描いています。
しかしコンピュータやAI(人工知能)がまったく描かれていません。
乗り物も人が操縦し、パソコンやスマホなどに替わるような端末も登場しません。
これにはちゃんと理由があります。
物語以前の大昔にコンピュータが人類に対し反乱し、人類を奴隷化してしまった時期があるのです。
なんとか再度戦争で勝利し主導権を取り返した時に、全宇宙でコンピュータを作る事を禁じるようになったという裏設定があるんです。
この戦争はブトレリアン・ジハドと呼ばれています。
それからは人間の精神・脳力を向上させるように技術発達させて来ている精神文明世界が舞台です。
だから自動翻訳機もないんですよね。言葉は勉強して覚えないといけません。
人間が自ら操る自動機械は作ってもよいとされています。
公家の人間ともなると、多種族の言葉や文化を覚えるために勉学に励み、権力闘争もあるので戦闘訓練もこなす必要があるわけです。
特権がある代わりに、訓練・勉強・実践と生活そのものが修行やトレーニングのようなものになっています。
主人公ポールはその上でベネ・ゲセリットである母親に<声ボイス>の特訓も受けています。
何気に大変な生活ですよね~(;^_^A
豊かな海を持つ惑星カラダンを統治する由緒ある血筋の公家。
帝国内でも古くからある名家で、正義と高潔さをもって知られています。
暴力や策略で成り上がろうとするハルコンネン家とは相いれず、不俱戴天の仇としている。
惑星ジエディ・プライムを統治する公家のひとつ。
人間狩りのようなあまりにも暴虐的な支配・侵略を行う邪悪で残忍な一族で周囲の種族からは嫌厭されている。
アラキスを準領土として統治していたが、その残虐な支配により砂漠の民フレメンからは恨まれる。
メランジを掘削した量などを誤魔化し着服、私腹を肥やしていたことがバレて皇帝からアラキスの管理権をアトレイデス家に移されてしまったことが悔しくて仕方ない。
アトレイデス家を滅ぼすと同時にメランジを独占する野望を持つ。
主人公ポールの母親ジェシカを含む、黒ずくめで剃髪した女性だけの組織ベネ・ゲセリット。
彼女たちはクイサッツ・ハデラッハと呼ばれる「完全な人間」を交配によって生み出すことを画策する女子修道会組織。
教母と呼ばれるもっとも力の強い女性が首長を務めます。
メランジにより、<声ボイス>を使う。また人類の母系・父系すべての記憶を持ち、未来を予見することが出来ます。。
ゆえに蔑む呼び方として、魔女と呼ばれます。
砂漠に覆われたアラキスで高速移動するためにはジェットエンジンのような構造のものだとすぐに砂が詰まって故障してしまいます。
そこで羽ばたき機を使って飛行して移動します。
ドゥニ・ヴィルヌーブ版でもっともカッコイイ!メカニックだと思います。
また、ほかの宇宙船やメカに比べてアラキスで使用されるメカは非常に古びた感じがします。
実は、アラキス管理の前任者であったハルコンネン家が腹いせのために、引き継ぎの際に新しい機材や重機はすべて引き上げて古くなったポンコツだけをアトレイデス家に残していったからです。
これも裏設定として映画内では全く語られていません。
アトレイデス、ハルコンネン両家の確執はこんなところにも表れます。
物体の速度を逆利用して強度を上げるシールド。
弾丸のような速い動きのものは弾き返す。
しかしゆっくりと差し込まれるナイフなどは弾くことが出来ずにそのままズブズブ差し込まれてしまう。
重火器を使った中・遠距離戦闘では絶大な効果を発揮するが、白兵戦でナイフなどを使った戦闘時には場合によっては効果なしになってしまう。
以下は1作目に登場しなかったが、今後の物語で必ず登場するモノをご紹介します。
これらが非常に楽しみではあります。
2作目で「ディア・ハンター」などで有名なクリストファー・ウォーケンが演じることが発表されています。
大銀河を支配する宇宙の帝王で、すべてのメランジを扱う権利を有しているが、ギルドやベネ・ゲセリット、などの勢力に絶えず圧力をかけられています。
スパイスにより得た超能力で超光速航行のために空間を折り畳み、ジャンプする際の計算処理を行います。
ベネ・ゲセリットに並ぶ発言力のある組織、宇宙協会(スペーシング・ギルド)に所属している。
宇宙旅行、星間輸送、国際間銀行業務を独占し、事実上は皇室をも上回る影響力を持つ。
その主要な構成員はメランジの大量摂取によって突然変異した航宙士(ナビゲーター)であり、超光速で航行する宇宙船を安全なルートで導くための予知能力を持っている。
原作では帝国の中でも最もメランジを多く必要とする勢力であり、「スパイスを止めるな」をモットーとする
1984年版では非常におどろおどろしい胎児のようなデザインとなっていました。
1作目にすでに登場しているという話もあるのですが、まだ確定ではありません。
一応ナビゲーターと思われる画像が以下です。
叫び声を増幅して衝撃波に変換する兵器、
「チャークサ!」「ムアッドディブ!!」など叫ぶ言葉によって効果や破壊力が違う。
1984年版の「デューン砂の惑星」を製作する前に、現在「ホドロフスキーのDUNE」と呼ばれる前代未聞、空前絶後の巨大企画がありました。
ホドロフスキーというプロデューサーが企画して人々を集めていきます。
この作品に参加する人々は例えば、芸術家サルバドール・ダリだったり、
「エイリアン」で有名になった作家H・Rギーガーや
「スターウォーズ」や「エイリアン」で特殊効果や脚本を手掛けたダン・オバノンや
ミュージシャンからピンク・フロイド、ミック・ジャガーなど錚々たるメンバーでした。
ホドロフスキーが全く予算を顧みずに「心の戦士」として各界からエキスパートを選りすぐって企画を推し進めていきました。
しかし、予算があまりにも莫大になりすぎて頓挫してしまいます。
例えば、サルバドール・ダリは時間あたり100万ドル単位のギャラで契約するなど莫大というにもあまりに莫大な金額が必要になってしまいました。
ほかにも映画史上、類を観ないほどの分厚く大判で装丁がきっちりとしてカラーページが何ページ掲載された非常に豪華な企画書だったり、とにかくお金をかけていました。
このあまりにも壮大な企画は伝説的なお話なので、ドキュメンタリー映画として数々のインタビューや資料と共に公開されました。
砂漠+戦争というキーワードから「アラビアのロレンス」からの影響は大きいと言えます。
「アラビアのロレンス」の美しい砂丘や砂漠の描かれ方はその後の映画にも大きく影響を与えています。
覇権争いや権力闘争などを描いた作品や伝説物語や群雄伝なども、もちろんモチーフになっています。
これは電八的にそうであってほしいという願望です。
日本において叫び声(気合)を必殺技にしているヒーローでもっとも古いのが「少年ジェット」です。
「少年ジェット」は「DUNE」の原作発表の6年前の1959年に発表されています。
ほぼ同時にマンガ掲載とテレビドラマ放映されています。
音響兵器は叫び声を使います。よく似てますよね~♪
もしかして日本の「少年ジェット」を「DUNE」原作者のフランク・ハーバートが見て「ウーヤーター!!」に感銘を受けて、取り入れたのでは??!!
この記事で分かることは
となります。
また、U-NEXT、Amazonプライムビデオで「DUNE/デューン砂の惑星」が動画配信されています。
是非ご覧になってください。
無料期間中であれば、無料視聴できますので是非お試しあれ。
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