映画を楽しむうえで、外せないのがシーンを盛り上げるために使われている音楽です。
シーンの雰囲気を作るのに非常に重要な役目を果たしています。
今回は映画音楽に注目して見たいと思います。
1895年にリュミエール兄弟が開いた活動写真の上映会ですでに音楽が使用されていました。
当時の映写機は非常に音がうるさくて、そのノイズをごまかすためにピアノ伴奏をしていたのだそうです。
これが後の映画音楽へと続いていく訳です。
※リュミエール兄弟はフランスの発明者で、時計の技術をを応用して、撮影用カメラと映写機を一体化したシネマトグラフを発明しました。「映画の父」とも呼ばれています。また「キネトスコープを発明したエジソンが映画の発明者だ」という人もいて、論争になっているみたいです
そして1908年に有名な近代クラシック音楽界の巨匠カミーユ・サン=サーンスという人が、フランスのサイレント映画「ギーズ公の暗殺」のために作曲したものが、映画のためのオリジナル曲として歴史初のものでした。
その後、無声(サイレント)映画の時代になります。
この頃になると小さな映画館にはピアニストがひとりはいたり、シアターオルガンが使われることもありました
1933年にアメリカ合衆国で公開されたRKO製作・配給の特撮映画「キングコング」が映画音楽にオーケストラを初めて採用しました。
それまでは映画のために、オーケストラを使って音楽を作るなんてまったく考えられない事だったみたいです。
しかし、「キングコング」は特殊撮影黎明期の作品で、まだまだ映像的な技術は未熟だったので映像だけではなんともチープなものになってしまいます。
作り物が作り物としてしか映っていない映像ですから当然と言えば当然です。
そこで音楽で強制的に盛り上げることを考えつくわけです。
これは大正解でした。
ちゃっちい映像に重厚な音楽が加わることで、作り物のキングコングが恐怖の対象へと変わりました。
「映画音楽にルールなし」という言葉があります。
使用する楽器、音楽のジャンル、などなどそのシーンにもっとも効果的であればいいので、そのためならどんな楽器(音がするもの何でも)でもジャンルでもよいとされています。
そのおかげで、映画音楽を製作する人々のスタジオにはいろんな楽器がストックされています。
また、ジャンルを問わないので、民族音楽に使われるような楽器や、楽器と呼べないものまでがあります。
最近は、音をコンピュータにサンプリングして合成して使う事も多くなってきています。
しかし、実際に空間に響く音と合成された音では違いがあって雰囲気に影響を与えることから、敢えてアナログで収録することもあるようです。
近年はクラシック音楽をルーツとしない作曲家も増加しており、また音楽の多様化により映画音楽でもポップ、ジャズ、ロック、ソウル、テクノなど、さまざまな音楽が使用されます。
本編では使用されず、予告編だけに使われる映画音楽が存在しており、これらの音楽はエピックと呼ばれています。
映画のシーンを盛り上げるための音楽であるので、当然、監督という依頼者がいます。
映画音楽の製作者は依頼者から依頼を受けて、音楽製作を行うわけです。
自分が好きな通りに、表現したいがために曲を作る作曲家などのアーティストたちをとは一線を画す存在なんですね~。
「このシーンにはこんな感じの音楽が欲しい」という依頼に答えて作成し、必要であれば「こんなのはどう?」と提案もします。
監督が出来ない音楽面のことを担うことが重要であるという事です。
もちろん、観客が引き込まれるような曲が作れることが前提です。
「この曲を聞かせたら観客はこんな思いをするだろうな」という人の心の動きを読んで計算しながら音楽製作を行っていきます。
音楽制作者は「画面に映ったものから観客が何を感じ取るのか?」または「この音楽を聞いたら画面のこの部分に視線がいくだろう」という読切を行う必要があるのでしょう。
監督の言いなりで曲を作っていればいいという話でもないみたいです。
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