映画ももちろんいいのですが、電八的にはアニメーション作品というのは外せないジャンルです。
そしてそのアニメの中でも「80年代のOVA」は特別なものでもあります。
そして時代的にも、OVA作品がなかったら現在のアニメや映像作品などで生まれてこなかったかもしれない作品があるほど重要なものだと思います。
ざっくりですが、そんなOVAをまとめてみたいと思います。
OVAとは「オリジナル・ビデオ・アニメーション」の略です。80年代当初はOAV(オリジナル・アニメ・ビデオ)と呼ばれていました。
テレビ放映とは違って、ビデオ販売のみで製作されたアニメーション作品のことです。
レンタルビデオ店が全国的に出来て一般化していたのもあり、急速に製作数が伸びました。
現代でもBD・DVD限定の作品ということでOVAが製作されています。
むしろ現在の場合、動画配信サービスがあるので意味合いとしては「テレビ放映作品ではない」という意味が強いです。
当初は30~45分作品のVHSテープ1本が10000円~15000円で販売されていました。1万本売れれば1億円の売り上げというとんでもなく利益が生まれる商品でしたので、実験的な作品もバンバン製作されていきました。
この高額なソフトを購入する人が多かったくらい景気も上り調子でした。
しかも大人が見ても楽しめるように「過激な映像表現」があったので、戦略的にも成功していました。
海外作品や文学作品、絵画などの美術作品やPOPSやロックに演歌やアイドルなどの音楽作品といろんなものから影響を受けた作品がたくさん作られました。
70年代というのはテレビがほぼ全世帯に普及して、一家に2台とか持つ家が出始めたころです。
芸術や美術に音楽なども多種多様なものがお茶の間に無料で提供されるようになったわけです。
そして迎えた80年代は70年代に生まれた少年少女だった人たちが成人して、その個性をいかんなく発揮する時代に突入したのでした。
特撮作品や70年代までのアニメなどを見て育った人たちが製作する側になります。
例えば庵野秀明もそのひとりなわけです。
80年代は邦画も劇場版アニメも良い作品が非常に多いのですが、OVAはさらに個性的な作品が多かったです。
なぜ80年代の映画は今なお広く愛され続けているのか? – GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180202-80s-movie-craze/
1977年「スターウォーズ」公開で世界的大ヒットを受け、世界中が「SFは売れる」という空気になりました。
アメリカの宇宙開発などのタイミングもあり、猫も杓子も「SF」尽くしとなっていきます。
当然、アニメもSF作品が増えます。その中でもOVAでは実験的な作品を仕掛けることも出来たので特にSF作品を多く製作していました。
テレビ放映は、「教育上や公序良俗的に不適切な映像」は放映できません。
一言で行ってみたら、「エロ」「グロ」は放映できません。
日本ではいち早くアニメも映像作品だという認識がクリエイター発で始まっていたために、多岐に渡る映像ジャンルとして表現できるものを広げたいという空気が育まれます。
その結果、ショッキングな「グロ描写」やアダルティックな「エロ表現」も実験的に製作しようという動きがありました。
代表的な作品が「くりいむレモン」シリーズです。
「オタク」はいわゆる「金持ちの道楽」だったけど、OVAやアニメ雑誌などの台頭のおかげで海外作品などたくさんの作品に触れることが出来るようになり、文化的に花開いたといっても過言ではないでしょう。
宮崎駿や大友克洋などに影響を与えたといわれるバンド・デシネ(フランスのマンガ作品)の大家と言われるメビウスやエンキ・ビラルなども広く知られるようになるきっかけともなっています。
オタク文化を花開かせた要因のひとつと言えるでしょう。
当時はまだ「オタク」という言葉はまだ生まれていませんでした。せいぜい同人誌などの「エロ系の2次創作作品」を「ヤオイ」と呼ぶのが流行り始めたくらいでした。
※「ヤオイ」は「山なし、オチなし、意味なし」の略です。
特にこの「ヤオイ」は女性ファン間で人気となり、2次創作で「男性キャラクター同士のエロ系作品」などが創られるようになります。その後正式な作品として「BL作品」OVAが製作されます。
恐らくこの辺りが現在の「腐女子」や「BL作品」につながる系譜なったと認識しています。
そしてエロ作品では「くりいむレモン」シリーズや「うろつき童子」シリーズがヒットして、
「くりいむレモン」からは「妹属性」などのいわゆる「萌え」につながる流れができました。
そして現在、世界的に日本のエロアニメは「HENTAI」というワードで定着してます。
「うろつき童子」はいわゆる「怪物との性交」がジャンル化されるような流れが出来ます。
その中でも「触手系」が出来て、現在でもその影響を受けている作品があります。
キャラクターデザイン:いのまたむつみのファンタジー作品。
「ビキニアーマー」の代表的な作品と言えます。
また、独特のデザインによる不思議な世界観が印象的です。
キャラクターデザイン:垣野内成美で繊細で美しい吸血鬼ファンタジーでした。
監督、脚本、キャラクターデザインを平野俊弘が担当した、SF巨大ロボットアクション。
主人公・渚がイクサーロボを操縦する際には全裸となるという描写が衝撃でした。
永井豪が原案のちょっとHな異次元ファンタジー。
声優陣がまた豪華です。
手塚治虫原案のSFオリジナルアニメ作品
藤原カムイ原作の漫画をOVA化した作品。
SFや特撮作品などをパロディしたシーンなどが多く、マニア心をくすぐりました。
しげの秀一原作のオートバイのロードレースを題材にした漫画をOVA化。
ヒロインの歩惟(あい)と主題歌を荻野目洋子が担当しています。
TV放映もされたSFアニメのOVA版です。キャラクターデザインを少し大人っぽい絵柄に敢えて変えてみたので、色味が少し落ち着いた感じになっています。
御厨さと美が原作のマンガをOVA化。アメコミのような感覚が新鮮な作品でした。
SF作品の金字塔とまで言われた作品です。女性だけで子孫は培養技術を使っている人類と男性DNAのみの異星人種族との恒星間戦争の歴史と、現在の人類の始まりの謎に迫る作品でした。
小林まこと原作の「踊る猫マイケル」を主人公にしたギャグ作品。
ものすごく人気が出て、「マイケルの手」がおもちゃ化されて非常に売れていました。
にっかつビデオフィルムズから発売されたスペース活劇ロマン。
独特の世界観を描いています。
ヒューマノイドのアントワネットが「愛」に目覚めていく姿が描かれるSF作品。
高橋留美子原作の「炎トリッパー」をOVA化。
「犬夜叉」のもとになる作品です。
「伝説巨人イデオン」や「戦闘メカザブングル」などのスタジオビーボォーが手掛けたファンタジー作品。
いのまたむつみがキャラクターデザインのファンタジー作品。
不思議でオシャレでかわいい世界観がすばらしいです。
真鍋譲治原作のSFマンガをOVA化。ビキニアーマーや超能力も出てきますが、いたって本格的なSF作品。
80年代がモチーフになった世界で展開されるSFアクションとアイドルにバイクにパワードスーツに無重力ヘアとてんこ盛りの作品。
詳細は以下の記事をどうぞ。
もちろんここでは紹介しきれていない良作がたくさんあります。
ただ、80年代のOVAのノリはこれで分かっていただけるのではないのかなと思います。
そして、これらの作品群が利益を上げる事により、後の「クールジャパン」の礎となる作品たち、『機動警察パトレイバー』初期OVAシリーズや『攻殻機動隊』につながる『ドミニオン』などを生み出しやすい土壌となっていきます。
才能あるクリエイターたちがある種の実験を行う事が可能であり、単純に地上波アニメ作品にプラスで製作数が増加する事でそれまで日が当たらなかった才能に光を当てることになっていきます。
日本のアニメ文化のもっとも濃ゆいエッセンスが80年代OVAには詰まっています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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