こんにちは!電八です。みなさん、映画観てますか?
「スターウォーズ」に続き、「エイリアン」の大ヒットにより、SFやホラー映画を「どんどん撮れ!」という空気が大きくなります。そんな中でひときわ話題になった作品が「遊星からの物体X」でした。
実はこの映画、1951年の「遊星よりの物体X」のリメイク作品だったというのを後に知ります。
しかし実際に全編観ることが出来たのはそれから大分時が経ってからでした。いずれにしても身体にグッと力を入れてしまうほど緊張してしまい、観た後にぐったりとなるほど怖い映画でした。
怖い!、グロい!、心臓に悪い!
もっとも有名な82年版を中心に語ってみます。
1982年にジョン・カーペンター監督が世に放った映画『遊星からの物体X』(原題: The Thing)は、SFホラーというジャンルにおいて今なお燦然と輝く金字塔です。氷に閉ざされた南極基地という極限の密室で繰り広げられる、「誰が人間で、誰が怪物なのか分からない」という極限の心理サスペンス、そして22歳の天才VFXアーティスト、ロブ・ボッティンらが手掛けた壮絶なアナログ・プラクティカル・エフェクトは、公開から40年以上が経過した現在も世界中の映画ファンやクリエイターを魅了し続けています。
本ガイドでは、1951年の最初期の映画化から、1982年の金字塔、2011年の前日譚(ファーストコンタクト)、さらにはゲーム・小説といったメディア展開、ラストシーンの多角的な考察、VFX裏話、そして「ゼノモーフ(エイリアン)vs 物体X」のシミュレーションに至るまで、シリーズのすべてを網羅して徹底解説します。
まずは、シリーズを構成する主要3映画の全体像を比較表で把握しておきましょう。
| 項目 | 『遊星よりの物体X』 | 『遊星からの物体X』 | 『遊星からの物体X ファーストコンタクト』 |
| 公開年 | 1951年 | 1982年 | 2011年 |
| 原題 | The Thing from Another World | The Thing | The Thing |
| 製作/監督 | ハワード・ホークス(製作)/ クリスティアン・ナイビー(監督) | ジョン・カーペンター(監督) | マティス・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr.(監督) |
| 舞台 | 北極・第6レーダー基地 | 南極・アメリカ第31隊基地 | 南極・ノルウェー検索基地 |
| クリーチャーの性質 | 植物生命体(巨漢の知性体・繁殖型) | 細胞レベルの同化・擬態生命体 | 細胞レベルの同化・擬態生命体(1982年版の直前) |
| 恐怖のベクトル | 外敵の侵入・武力闘争(冷戦下の脅威) | 誰が味方か分からない疑心暗鬼(内からの侵食) | 過去作への徹底的な整合性とサスペンス |
| 特撮・VFX | 特殊メイク・スーツアクター(ジェームズ・アーネス) | アナログ特撮(ロブ・ボッティン、スタン・ウィンストン) | 実写特撮+CGI仕上げ |
『遊星からの物体X』シリーズを楽しむための観賞ルートは、何を重視するかによって2つのパターンが存在します。
【ルートA:公開順(推奨)】
1982年版『遊星からの物体X』
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├─► 2011年版『ファーストコンタクト』(伏線回収の快感を味わう)
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└─► 1951年版『遊星よりの物体X』(SF映画史のクラシックとして鑑賞)
【ルートB:時系列順】
2011年版『ファーストコンタクト』
│
└─► 1982年版『遊星からの物体X』(物語が地続きで直接つながる)
※この記事は重大なネタバレを含みます。まだ見鑑賞の方はご注意ください。 ※この記事には気分を害する恐れのある画像・動画が含まれています。ご注意ください。
『遊星からの物体X』の源流は、1938年にSF小説誌『アスタウンディング・ストーリーズ』に掲載されたジョン・W・キャンベル・Jr.の短編小説『影が行く』(原題: Who Goes There?)にあります。
この物語は、1930年代という時代背景—世界恐慌の余波と第二次世界大戦へ向かう国際社会の不穏な空気—の中で執筆されました。また、H・P・ラヴクラフトが1931年に執筆したクトゥルフ神話の傑作『狂気山脈にて』(At the Mountains of Madness)からの色濃い影響が指摘されています。南極という人類の文明から隔絶された太古の氷床、そこに眠る異形の太古生命体、そしてそれに遭遇した人間たちが正気を失っていく展開は、宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)の思想を脈々と受け継いでいます。
キャンベルの小説が最初に映画化されたのが、1951年の『遊星よりの物体X』(ハワード・ホークス製作、クリスティアン・ナイビー監督)です。舞台は原作の南極から北極へと変更され、怪物「The Thing」の設定も原作の「擬態する生物」から「組織が植物に近い巨大な人型生命体(フランケンシュタインのようなモンスター)」へと大きく改変されました。
【1951年版における変容の背景】
原作:細胞単位で他者を模倣する不定形生物 ──► 人間の誰が敵か分からない恐怖
1951年版:圧倒的パワーを持つ植物型宇宙人 ──► 外部から襲い来る明確な「外敵」の脅威
この改変の背景には、当時の冷戦初期におけるアメリカ社会の緊張感がありました。外部から脅威として襲い来る「共産主義の脅威(赤の恐怖)」を分かりやすいモンスターとして可視化する必要があったのです。劇中で怪物は「歩く巨大ニンジン」とも例えられますが、軍隊と科学者の対立、テンポの良い会話劇、そしてラストの「空を見続けろ(Watch the skies!)」という有名な警告メッセージは、50年代B級SF映画の金字塔として評価されています。
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1982年、ジョン・カーペンター監督は1951年版の単純なリメイクではなく、原作『影が行く』への原点回帰を選択しました。すなわち、「完璧に人間に擬態し、細胞単位で侵食する未知の生命体」の完全な映画化です。
主人公のヘリパイロット、マクレディを演じたのはカート・ラッセル。音楽には映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネを起用し、低音のシンセサイザーが重く響くミニマルなスコアが完成しました。
しかし、1982年6月25日に全米公開された本作を待ち受けていたのは、興行的な大爆死と批評家からの激しい叩きでした。同年公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の『E.T.』が「友好的で愛くるしい宇宙人」を描いて世界的な大ヒットを記録していたのに対し、あまりにもグロテスクで救いのない本作は時代から拒絶されたのです。当時の批評家からは「不快なゴミ」「特殊効果のひけらかし」とまで酷評されました。
1982年公開当時の不遇
├─► 『E.T.』大ヒットによる「優しい宇宙人」ブームの直撃
└─► 批評家からの過激なバッシング(「不快なグロテスク映画」)
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▼ VHS・VOD・TV放送での再評価
現在:SFホラー映画史における「絶対的名作」として定着
しかし、映画の命脈は絶たれませんでした。1980年代後半から普及したホームビデオ(VHS)レンタルやテレビ放送を通じて、映画ファンはこの作品が持つ恐ろしいほどの緊張感、完成されたシナリオ、そしてVFXのクオリティに気づき始めます。時を経て評価は完全に逆転し、現在では『エイリアン』(1979)や『ザ・フライ』(1986)と並ぶSFホラーの最高峰として確固たる地位を確立しています。
2011年に制作された『遊星からの物体X ファーストコンタクト』(原題は1982年版と同じThe Thing)は、1982年版のリメイクではなく、「1982年版の冒頭で全滅していたノルウェー基地で一体何が起きていたのか」を描く直接の前日譚(プリクエル)です。
今作の特筆すべき点は、1982年版への異常なまでの敬意と整合性(リバース・エンジニアリング)です。
1982年版の劇中に登場するあらゆる細部や手がかりを精査し、「なぜその状態になったのか」を完璧なパズルとしてストーリーに組み込んでいます。主演の古生物学者ケイト・ロイドをメアリー・エリザベス・ウィンステッドが演じ、女性主人公視点での新たな恐怖が描かれました。
『遊星からの物体X』の世界観は映画だけに留まらず、正統続編や派生作品として拡張され続けています。
「物体X」は、一般的なモンスターのように「噛みつく」「捕食する」だけの存在ではありません。本質的には巨視的かつ微視的な生命体の集合体です。
【物体Xの同化・擬態プロセス】
1. 接触・侵入 : 単一の細胞・組織が対象(人間・動物)の体内に侵入。
2. 捕食・置換 : 対象の細胞を喰らいながら、遺伝子情報を完全に複製。
3. 完璧な擬態 : 記憶、言語能力、外見、仕草まで完璧にコピーして人間になりすます。
4. 防衛・変異 : 命の危険を感じると、蓄積された他種族のDNAを無秩序に発現させて異形化。
最大の特徴は、「切り離された一滴の血液、片手、体組織のすべてが、単独で生存本能と自己防衛本能を持つ独立した個体である」という点です。頭部が本体から切断されれば、その頭部から蜘蛛のような脚が生えて逃亡を図ります(伝説の「スパイダー・ヘッド」)。
回収された「地球外生命体」は細胞ごとに生存することが可能な生物で、ほかの細胞を取り込み同化・擬態を行います。つまり、そっくりそのままの姿をまねることが出来ます。
劇中では取り込むプロセスは描かれていないため、いつ取りつかれたのか不明なこともあります。恐らく接触するだけで「物体」細胞が取りつき触れている細胞を片っ端から同化していくのでしょう。
焼却するのはよい対処方法ではありますが、すべての細胞が破壊されるように焼却する必要があります。細胞ごとに生存できるので、残った細胞があれば増殖、変形して動き出すことが出来ます。
細胞レベルで完璧な模倣を行う物体Xですが、明確な解剖学的弱点・制限が存在します。それは「無機物(非生物的物質)は複製・同化できない」というルールです。
2011年版の『ファーストコンタクト』では、この弱点が物語のキーパーツとして活用されます。主人公ケイトは、殺害された(あるいは同化された)人物の現場から「血まみれの銀歯の詰め物」や「ピアス」が落ちていることを発見し、「物体Xは無機物を体内で複製できず、排出してしまう」という法則を割り出します。これがライトの光で口内を確認する「歯の詰め物チェック」へと繋がります。
物体Xの恐ろしさは、人間に「悪意」や「憎悪」を持って襲いかかってくるわけではないという点にあります。
物体Xにとって、地球の生命体を同化することは捕食ではなく「生態系そのものの更新」であり、呼吸と同じ自然現象に過ぎません。人間側の倫理観、愛、希望、友情といった価値観は一切通用せず、ただ機械的・爆発的に細胞が増殖し、惑星全体を侵食していきます。この「人間という存在のちっぽけさと、理解不能な絶対者への絶望感」こそが、ラヴクラフト的コズミック・ホラーの真髄です。
ジョン・カーペンター監督はH.Pラブクラフトのクトゥルフ神話大系をモチーフにした映画作品も手がけています。
そもそも今作の原作である「影が行く」自体が、クトゥルフ神話の「インスマス」の不気味な雰囲気や「狂気の山脈にて」の異星生物が太古から氷の中で眠っていたという設定に現れています。
原作者のジョン・W・キャンベルもインタビューでもクトゥルフ神話からインスピレーションを得たと答えています。
つまり「遊星からの物体X」でのエイリアンの設定やそのグロテスクなビジュアルのインスピレーションはクトゥルフ神話の影響が大きいです。
『遊星からの物体X』の構造は、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』に代表されるミステリの定番手法「クローズド・サークル(孤立空間)」を極限のホラーに応用したものです。
【極限状態の構成要素】
[吹き荒れる吹雪・氷点下の外気] (脱出不可能)
│
[通信機器の破壊・途絶] (外部への助けは呼べない)
│
[隣にいる仲間が怪物かもしれない] (内側からの崩壊)
観客は登場人物たちとまったく同じ情報量しか与えられません。直前まで一緒にチェスを指していた男が、次の瞬間には人間を呑み込む怪物に変貌するかもしれない。この「誰も信用できない」極限の人間不信が、ストーリーを牽引する最大のエンジンです。
映画史に残る緊迫した名シーンとして語り継がれるのが、マクレディが考案した「血液検査」のシークエンスです。
【血液テストの論理構造】
Premise 1: 物体Xのあらゆる組織(血液の一滴まで)は、個別の独立した生命体である。
Premise 2: 命の危険(熱)を与えられれば、血液自体が本能的に防衛反応を起こすはずだ。
Conclusion: 熱した針金をシャーレの血液に押し当て、反応した者が「物体X」である。
全員を束縛し、一人ずつ順番に血液に熱した金属線を近づけていく……。静寂の中に響く火鉢のジュッという音、極度の緊張で吹き出す汗、そして突如として血が悲鳴を上げて飛び跳ねる瞬間。ロジックの美しさとサスペンスの演出が見事に結実した、映画演出の教科書と言える場面です。
1982年版の『遊星からの物体X』には、当時のアメリカ社会が抱えていた複数の潜在的恐怖(時代精神)が色濃く反映されています。
ベトナム戦争のトラウマとPTSD: カート・ラッセル演じるマクレディをはじめとする基地のメンバーは、社会の主流から外れ、極地に追いやられた男たちです。カーペンター監督は彼らを「ベトナム帰還兵のようなトラウマを抱えた社会の余剰者たち」として描いており、権威への不信感や互いを心の底から信頼できない空気が作品全体を覆っています。
AIDS(後天性免疫不全症候群)パニック: 1980年代初頭、アメリカでは未知の致死性ウイルスによる感染症(後にAIDSと判明)の拡大が社会問題化しつつありました。「目に見えない病原体が血液を介して侵入し、身近な人を怪物(感染者)に変えてしまう」「血液検査によって感染を判別する」という描写は、当時の人々の無意識下にある未知の病への恐怖と強く共鳴しました。
1982年作品は「お化け屋敷方式のビックリ箱映画」と言われることがあります。
緊張をあおる音楽とよく見えない暗いシーンが不安をあおり、予期しないタイミングでドバっと襲い掛かってくるので、非常にビックリします。
この手法をジャンプスケアと言います。ジャンプスケア(Jump Scare)は、ホラー映画やホラーゲームなどで、突然の大きな音や衝撃的な映像を用いて見る人をびっくりさせる演出のことです
ホラー映画界隈ではあまりいい手法ではないと考えられていますが、効果的に扱う事で思わぬショックの連続で手に汗握るような緊張感が得られます。
80年代当初、噓かホントか分かりませんが、この映画であまりに驚いた観客が心臓麻痺を起こして亡くなったなんてウワサがよく話されていました。
まずSF要素としては宇宙から飛来した「地球外生物」で細胞ごとに生存出来て取り込んだ細胞に同化・擬態できる生物という説明を加えています。
ホラー要素としては見るだに恐ろしいクリーチャーにグロテスクな描写、しかも突然現れるビックリ要素ととにかく怖がらせる仕掛けがふんだんに仕掛けられています。
サスペンス要素としては隔絶された閉鎖空間内で誰が物体Xに乗っ取られているのか?という謎と緊張感。そしてそれを確認する方法などを考え出して疑心暗鬼の中で実証していく時の緊張感です。
1982年版のモンスター造形を一手に引き受けたのが、当時わずか22歳の特殊メイクアーティスト、ロブ・ボッティン(Rob Bottin)です。
ボッティンは映画のリアリティを極限まで高めるため、CGが存在しない時代に粘土、シリコン、ラテックス、油圧機器、さらには食品(食用ゼリーやマヨネーズ、バブルガム)まで駆使して前代未聞のクリーチャーを作り上げました。
【ロブ・ボッティンの壮絶な現場】
・スタジオに住み込み、1日20時間以上、週7日勤務を連日継続。
・過労、劇的な睡眠不足、重度の潰瘍と肺炎を併発。
・医師から即刻入院命令が出され、病院のベッドから現場へ指示を出した。
また、撮影は猛暑のカリフォルニア州ユニバーサル・スタジオのステージ内を巨大冷凍装置で氷点下(マイナス4度前後)まで冷やして行われました。キャストとスタッフはダウンジャケットを着込み、吐く息を白くしながら、過酷な環境で撮影に挑んだのです。
グロテスクさが半端ないです。
1982年当時はほとんどCGは使われず、特殊メイクなどを使った効果で撮影しています。
ロブ・ボッティンによるクリーチャーデザインと特殊効果は精細なCGを使える現在の映像に引けを取らないほど臨場感のある映像になっています。
生々しく臭いまでしそうなグロテスクな描写は必見です。
あまりの仕事量にボッティンが倒れかけた際、救援に駆けつけたのが、後に『ターミネーター』や『ジュラシック・パーク』でSFX界のレジェンドとなるスタン・ウィンストンでした。
ウィンストンはボッティンの負担を減らすため、物語序盤のハイライトである「犬小屋での変異シーン(Dog-Thing)」の制作を無償同然で引き受けました。精巧なメカニカル・アニマトロニクスとハンドパペットを組み合わせた犬の変異体は、観客に強烈なトラウマを植え付ける完成度を誇ります。
なお、劇中で見事な名演技を見せた狼犬「ジェド(Jed)」は、ハスキーとウルフのミックス犬であり、指示通りにじっと人間を観察する不気味な演技で現場を驚かせました。
音楽を担当したのはイタリアの巨匠エンニオ・モリコーネです。カーペンター自身も優れた作曲家ですが、本作ではモリコーネに依頼しました。モリコーネはカーペンターの作風(シンセサイザーによる重圧なミニマリズム)に敬意を払い、心臓の鼓動を模した重苦しいベースラインを中心とするスコアを書き上げました。
しかし公開当時、本作は最低の映画を選ぶ「ゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)」の最悪作曲賞にノミネートされるという屈辱を味わいます。
【音楽をめぐる奇跡的な逆転劇】
1982年: 『遊星からの物体X』でラジー賞(最悪作曲賞)ノミネート
│
▼ (34年の時を経て)
2016年: クエンティン・タランティーノ監督『ヘイトフル・エイト』でアカデミー作曲賞受賞!
※実は『ヘイトフル・エイト』で使用された楽曲の多くは、
『遊星からの物体X』の際にモリコーネが作曲し、未使用となった未発表トラックだった。
映画史におけるこれほど痛快な名誉回復は他に類を見ません。
2011年版『ファーストコンタクト』のVFX制作においては、映画ファンの間で今なお語り継がれる悲劇(スタジオの過剰介入)がありました。
当初、VFXスタジオのADI社(Studio ADI)は1982年版へのリスペクトから、精巧なアニマトロニクスやパペット、実物大の造形物を制作し、現場で実際に撮影を行っていました。しかし、試写を行ったスタジオ幹部が「現代の若者には古臭く見える」「CGIで滑らかにすべきだ」と判断し、撮影済みの実写特撮の上からデジタルCGIを全面的に被せて塗りつぶすという決定を下したのです。
後にADI社がYouTubeなどで公開した「CGI上書き前の実写プロップ映像」は、1982年版のボッティンスピリットを継承した恐ろしいクオリティであり、「なぜこれをお蔵入りにしたのか」と世界中のファンから溜息が漏れました。
1982年版のラストシーンは、映画史上最も議論が交わされたエンディングの一つです。 基地は爆破され炎上。雪が舞う極寒の中、生き残ったマクレディ(カート・ラッセル)とチャイルズ(キース・デヴィッド)が焚き火の脇で対峙します。お互いに相手が人間なのか、それとも同化された物体Xなのか確信が持てないまま、体温が奪われていく中でウイスキーのボトルを回し飲みし、「ここで少し様子を見よう(Let’s just wait here a little while… see what happens)」と告げて映画は静かに幕を閉じます。
ファンや研究者の間では、長年にわたり様々な解釈・検証説が唱えられてきました。
【ジョン・カーペンター監督の回答】
「あのラストの真の恐怖は『どちらが人間か』という答え合わせではない。
『二人とも人間かもしれないし、どちらかが怪物かもしれない。
だが確かめる術はなく、ただ冷たくなって死んでいくしかない』という
『解の不可能性』そのものなのだ。」
カーペンター監督はスタジオ(ユニバーサル)からの要請や保険として、複数の異なるエンディングパターンを撮影していました。
2011年版『ファーストコンタクト』の未公開シーンには、物語の根本に関わる重要な設定が含まれていました。
元々の撮影プランでは、氷の下に眠っていた宇宙船のパイロットは「物体Xとは別の、本来の宇宙船の持ち主(パイロット・エイリアン)」でした。パイロット・エイリアンは宇宙を航行中、運悪く危険な感染性生命体「物体X」に船内を侵食されてしまいました。全滅を悟ったパイロットは、物体Xを宇宙に拡散させないために自ら宇宙船を地球の南極へと意図的に墜落させ、自決を図ったのです。
しかし、2011年版の劇場公開版ではこの設定が単純化され、宇宙船内にいたエイリアン自体が物体Xの変身したものへと変更されました。
割と近い時期でのSFホラー映画ということで、よく語られ議論されるのがエイリアンと物体Xを戦わせたらどちらが勝つか?というものです。
SF映画ファンの間で不朽の議論テーマである「映画界最強の宇宙生命体は誰か?」。 映画『エイリアン』シリーズの惨劇の象徴「ゼノモーフ(Xenomorph)」と、『遊星からの物体X』の「物体X(The Thing)」が遭遇した場合、どのような闘争が繰り広げられるのか。両者のスペックを徹底比較し、シミュレーションを行います。
【ゼノモーフ(Xenomorph)】
・強酸性の血液(あらゆる金属・組織を溶かす)
・外骨格による圧倒的な物理防御力と高い身体能力
・インナーマウス、針のような尾などの殺戮器官
・クイーンを中心とする昆虫型フェロモン社会構造
【物体X(The Thing)】
・細胞単位での独立生存能力と無限の自己修復
・他種の遺伝子を取り込み完璧に偽装・形態変化する能力
・同化させた対象の記憶・知識・知性を吸収・利用可能
・無機物以外のあらゆる有機物に侵入・乗っ取りが可能
仮に、ゼノモーフが棲息するコロニーに、物体Xの単一細胞が侵入したと仮定します。
【フェーズ1:物理的接触と初期の打撃】
・ゼノモーフが物体X(人間擬態型)を捕捉し、インナーマウスで頭部を破壊。
・ゼノモーフの強酸性の血液が噴出。
・物体X側の細胞は強酸によって局所的に破壊され、化学ダメージを受ける。
⇒ 初期戦闘ではゼノモーフの圧倒的な物理的殺傷力が優勢に見える。
【フェーズ2:潜伏と同化の開始】
・しかし、物体Xの数ミクロンの体組織・細胞がゼノモーフの体表の隙間や粘膜から体内に侵入。
・強酸性の血液の遺伝子構造すら、物体Xの細胞が耐性を獲得しながら徐々に解析。
・ゼノモーフの強靭な外骨格の内側から、細胞レベルでの侵食・置換がスタート。
【フェーズ3:最凶生命体「ゼノ・シング」の誕生】
・1体のゼノモーフが完璧に物体Xと同化。
・同化されたゼノモーフは、巣(巣窟)へ戻り、フェロモンを偽装して他のゼノモーフへ接触。
・エイリアン・クイーンへの同化が完了した時点で、群れ全体が物体Xの支配下に置かれる。
結論として、この対決は新たな全宇宙的脅威の「ゼノ・シング」誕生に終わります。
理由は明確です。ゼノモーフはどれほど凶暴で強力な身体能力を持っていても、「DNAと細胞を持つ炭素系有機生命体」の域を出ません。細胞レベルで遺伝子を喰らい、その構造をコピーして同化する物体Xにとって、ゼノモーフの強酸性血液すら「時間をかければ適応・獲得可能な新しい兵器」に過ぎないのです。
さらに恐ろしいことに、ゼノモーフの身体能力と強酸血液を手に入れた物体X(=ゼノ・シング)が誕生した場合、宇宙空間のあらゆる文明にとって完全な終末(チェックメイト)を意味することになります。
いろんな議論あると思いますが、ここでは電八的な解答・シナリオを書いておきます。
ポイントとなるのは以下、
4点が考察する上で、重要な点でしょう。
まず、どういう状況下で接敵するのかがポイントになるのですが、シミュレーションする上での物体Xの設定を決めねばなりません。氷漬けになっている状態の物体Xにゼノモーフは恐らくなんの興味も示すことがないように思われます。なので人間に取りついた状態での物体Xとゼノモーフが接敵した場合で考えたいと思います。
対峙して、戦闘開始になります。
物体Xは同化するための捕食に特化した形態に変形します。スピードに勝るゼノモーフは変形中でも構わず襲い掛かり、鋭い爪でつかみかかり、尻尾で物体Xの体を貫き動きを封じたうえで、二重顎で急所っぽい部位を活動停止するまで何度もかみちぎります。
動きを止めた物体Xに興味をなくし、立ち去ろうとするゼノモーフ。しかしすでにゼノモーフが物体Xに接触した部分の皮膚から物体Xの細胞がゼノモーフの細胞を同化し始める。
ついにはゼノモーフはすべての細胞を同化され乗っ取られてしまいます。
ゼノモーフは最後に仲間を呼ぶ鳴き声を発しますが、乗っ取られてしまい仲間は呼べません。ついにゼノモーフをベースにした物体X「ゼノ・シング」が誕生しました。
同化したゼノモーフの情報をもとにゼノモーフたちの巣やクイーンの位置を知り、擬態したまま巣へと向かいます。途中、出会うゼノモーフは臭いの違いでゼノ・シングが擬態しているのを見分けて襲い掛かります。傷を負いながらもゼノ・シングは新たなゼノモーフを同化、同じことを繰り返して数を増やしながら巣へと到達します。
怒りのクイーン共々、すべてのエイリアンがあえなく同化されてしまいます。
しかしエイリアンの遺伝子は調整された強力な遺伝子であり、エイリアンの本能が優先維持されるように作用します。
ゼノ・シング体内では物体Xの同化・変形能力を得て、自分たちよりも強力な種には同化戦略をとり、より種としての強さを高め、弱い種にはエイリアンの生態を利用して強さをそのままに繁殖するようになります。
この新たな種はエイリアン遺伝子により遺伝子自体が強化されているため、もし他の物体Xを相手にしても同化合戦で勝てます。
あらたな最強にして最凶の生物ゼノ・シングが宇宙にどこまでも拡散・侵食していく恐ろしい未来が確定してしまいます!!
A1:1982年に公開されたジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』から見るのが最もおすすめです。SFホラー映画の最高峰としての緊張感とVFXを味わった後、2011年の『ファーストコンタクト』を見ることで、伏線が完璧に回収される爽快感を体験できます。
A2:1982年版は「アメリカの第31調査基地」で起きた惨劇を描いており、実写のアナログ特撮(プラクティカル・エフェクト)の最高峰です。2011年版はその直前に「ノルウェー基地」で起きた前日譚(プリクエル)であり、1982年版の冒頭へ完璧に繋がるストーリー構造と最新のデジタルVFXが特徴です。
A3:映画内では明確な答えは描かれておらず、意図的に曖昧にされています。「瞳の光(キャッチライト)」や「白い息」、「ピアスの有無」など様々な検証説が存在しますが、カーペンター監督は「誰が人間で誰が怪物か分からない極限の不信感」そのものをテーマとして提示しています。
A4:物体Xの唯一にして最大の弱点は「火(高熱)」と「細胞レベルでの完全破壊(爆破・焼却)」です。また、「金属やプラスチックなどの無機物は複製・同化できない」というルールがあり、歯の詰め物やピアスなどで人間かどうかを判別することが可能です。
『遊星からの物体X』シリーズを定額見放題、あるいはレンタルで視聴できる主なVODサービスの状況です。
| サービス名 | 1982年版『遊星からの物体X』 | 2011年版『ファーストコンタクト』 | 特徴・おすすめポイント |
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1951年の『遊星よりの物体X』から始まり、1982年のジョン・カーペンターによる金字塔、そして2011年の徹底的な前日譚へと受け継がれてきた『物体X』の系譜。
その魅力は、単なる「グロテスクなモンスター映画」にとどまりません。
これらの要素が高次元で融合しているからこそ、公開から40年以上が経過した今もなお、世界中の人々を魅了し、議論を巻き起こし続けているのです。
今週末はぜひ、部屋の電気を消し、冷え冷えとした部屋でウイスキーのグラスを傾けながら、氷原の惨劇へと足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。隣にいるあなたの家族や友人が、本当に「人間」であるかを確かめながら……。
作中に何度も登場するウイスキーが気になりましたので、ちょっと調べてみました!寒さをしのぎ身体を温めるためにこのウイスキーを時にはグラスで、時にはビンから直接口に流し込んだりと大活躍!さらにはラストシーンのあの一杯!!さて彼らのどっちが「物体X」なのか?
グリーン(緑)のボトルに鮮やかな黄色いラベル、そして大きく赤い文字で「J&B」とプリントされたデザインが特徴的で、映画ファンやウイスキーファンの間でも広く知られています。
作中における主な登場シーンや背景についてまとめました。
映画の冒頭、主人公マクレディ(カート・ラッセル)が基地の部屋でチェスコンピューターと対局しながら飲んでいるのがこのJ&Bです。 追い詰められて負けてしまったマクレディは、悔しさのあまり飲んでいたJ&Bをそのままコンピューターの基板へ流し込んでショートさせ、「ざまあみろ」と言い捨てます。
マクレディは劇中で絶えず酒を飲んでいますが、これには裏設定が存在します。彼はベトナム戦争でヘリパイロットを務めた経験があり、その際のPTSD(心的外傷後ストレス障害)と重度の不眠症を抱えているため、アルコール依存症(酒浸り)になっているという背景が設定されています。彼が夜中に犬の異変にすぐ気づいたのも不眠症で眠りが浅かったためであり、恐ろしい事態に直面しても冷静に対処できたのも戦争の地獄を経験していたからだとされています。
物体Xとの決戦に挑む際、隊員たちは大量のJ&Bレアの瓶(またはその空き瓶)に燃料を詰め、火炎瓶(モロトフ・コックテル)を作って腰に巻きつけ、物体Xへ投げつけて戦いました。
すべてが焼き尽くされた基地の跡地で、生き残ったマクレディとチャイルズがお互いを「本当に人間なのか?」と疑いながら向き合うラストシーンでも、J&Bのボトルが交わされます。 このシーンに関してはファンや解説者の間で有名な考察があり、**「マクレディがチャイルズに渡したボトルに入っていたのはウイスキーではなく、火炎瓶用のガソリン(燃料)だったのではないか」**という説が存在します。
このように、「J&B レア」は単なる小道具にとどまらず、**マクレディのキャラクター性、緊迫した戦闘、そして映画史に残る不穏で美しいラストシーンを象徴する「影の主役」**として深い印象を残しています。
J&B レアは、イギリスのジャステリーニ&ブルックス社が手掛ける人気の高いブレンデッド・スコッチ・ウイスキーです。現在はディアジオ社が保有し、日本ではキリンビールが輸入販売を行っています。
第二次世界大戦後にアメリカでブンらディングに大成功を治め、圧倒的支持を得ます。安価で美味という事で一般的に普及し、「ウイスキーと言えばJ&B」くらいの定着度です。そのためハリウッド映画にはよく登場するウイスキーのひとつです。
映画で登場する際はだいたい、ストレート、ロックが多いのですが、水割りやハイボールでも美味しく頂けます。
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