難解な映画の代表「2001年宇宙の旅」。
この映画を理解するための映画と言っても過言ではないのがこの続編「2010年」です。
この映画を観ると大半の謎は「あーなるほど」というところに落ち着きます。
1984年公開、ピーター・ハイアムズ監督作品。主演は「ジョーズ」や「ブルーサンダー」のロイ・シャイダー。
原作はアーサー・C・クラークの「2010年宇宙の旅」。
実はこの小説はさらにシリーズがあり、「2061年宇宙の旅」、「3001年終局への旅」と続きます。
これは「2001年宇宙の旅」の記事でも書いたのですが、今作でシーンとしてしっかり語られます。
「月のモノリス」や「地球外生命体」の情報をディスカバリー号の乗組員に秘匿せねばならず、つかないはずの嘘をつかざるを得ない状況になり、「メビウスの帯」という高度なAIに起きる病気を発病してしまったため、統合失調症に陥ったとのこと。
この映画の最後で、木星の爆発から脱出するためにディスカバリー号をブースター代わりにして途中で切り離すことを決め、HAL9000に説明すると「お役に立てるなら」と快諾してくれるという胸にジンとくるシーンがあります。
決して、悪の人工頭脳ではなく、すごく良心的な、自己犠牲もいとわない人工頭脳である事が分かります。
そんなHAL9000に発狂する程の無理を強いるような指令を出した人間がいかに残酷だったか。
最後の最後に、迎えに来たボーマン船長に何が起こるのか「怖い」という処がまた涙を誘います。
このシリーズにおける地球外生命体はボーマンいわく「言葉では説明できない」存在なのだそう。
原作やいろんな考察を見たり読んだりすると、自分たちの意識を重力波変換して肉体を持たず、一定の場所に存在するというよりどこにでも存在し且つ、集合意識的なエネルギーの塊のような存在だという。
まあ、人間には光くらいにしか認識できないので「言葉にできない」存在なのです。
集合エネルギーの一部になったボーマンがそう言ってるのだから間違いないですね。
最後、ボーマンはHAL9000を自分たちを融合して去っていきました。
地球にあったモノリス、月にあったモノリス、木星に合った巨大モノリス、今作で現れる無数のモノリス。
いろんな大きさのモノリスがありますが、これらは地球外生命体が作り出した便利な道具でいろんな役をこなすことが出来るほどに莫大なエネルギーを制御できます。
ひとりはボーマン船長です。「2001年宇宙の旅」の記事でも書きましたが、地球外生命体たちに地球のすべての記憶と宇宙の真理を教え込まれてスターチャイルドとして地球に戻ってきたところまで。
地球外生命たちは人類を導くために、宇宙での平和的な世界利用と新しい太陽の元、元木星の月のひとつエウロパを生命溢れる星へと変貌させた。
ここで誕生した新しい命がスターチャイルドです。
出てくる胎児は象徴ではなく、まさにあの形で存在していて宇宙を渡る事も可能な新しい生物なんですね。
この映画は正直いろんな伏線(?)を回収するための映画になってしまっています。
ですが、前作よりも分かり易く、人間ドラマもあり、世界に入り易い印象があります。
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