本当はもっと早くに見に行きたかったのですが、寄る辺ない事情によりこのタイミングになりました。
もはやギリギリでした(笑)
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
2022年公開のジェームズ・キャメロン監督作品。5部作「アバター」シリーズの第2作目。
「The Way of Water」を略して「アバターWoW」と表記されることも。
前作のキャストがそのまま参加している。
3Dを意識した画作りで異世界への高い没入感が売りとなっている。
前作から13年経っての続編。
舞台は第1作目から約10年後、地球からはるか彼方の惑星パンドラの神秘的な世界。元海兵隊員のジェイク・サリー(サム・ワーシントン)とパンドラの先住民ナヴィの女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)の子供たちからなる家族の物語。一家は神聖なる森を追われ海の部族に助けを求めるが、その楽園のような海辺の世界にも人類の侵略の手が迫っていた。
Filmarksより引用
前作に引き続き、壮大で美しい世界が描かれます。
そして今回は「海」を中心に描いています。
ジェームズ・キャメロン監督は映像革新の最先端を行く人であり、今作も4K画質での3D映像をHFR(ハイフレームレート)で表現しています。
HFRとは、映画は通常1秒間24コマで表されているのですが、今作は1秒間48コマで表示させています。
コマ数が増えると、より人間が肉眼で感じている動きにより近づきます。
一言で言えば、より滑らかにヌルヌル動くようになります。
特に今回は、水中のシーンは圧巻です。
今作では地球がどうなっているのかは、ほぼ描かれていません。
若干、語られているくらいなのです。
しかし、楽観できない状況なのは理解できます。
地球は滅亡秒読み段階ということで、地球以外に安住の地を求めるようになっています。
そして、パンドラこそが、エネルギー問題を解決しつつ地球人類が生き残るための大地として選ばれたという訳です。
いち早くパンドラに地球人類を移住させるために最早手段を択ばずに、ほぼ侵略することを目的としています。
そのため、パンドラにあるものはナヴィ族も含めすべて資源として見なしています。
今作のテーマは「家族」。
1作目の戦いから時が経ち、ジェイクはネイティリとの間に子供をもうけ、さらにキリとスパイダーも家族として迎え入れています。
そんな中、言いつけを破って、怒られてばかりいるのが次男のロアクです。
彼は純粋に家族のために動いているのですが、結果言いつけに背くことになってしまいます。
すると、家族から少し浮いてしまいます。
本当は大好きな家族のためになることなら何でもできる優しい子なんですが、やることなすこと裏目に出てしまいます。
そしてとうとう兄であるネテヤムを死なせてしまいます。ロアクのせいではないですが、彼はこれから一生悔み続けることになります。
でもやはりジェイクとネイティリの子です。
薄っすらとですが、ナヴィの勇者であるトゥルーク・マクトの片鱗らしきものを感じたのは気のせいではないと思います。
勝手な予想ですが、トゥルーク・マクトになって森の民と海の民をまとめる族長になるのではないかと思います。
「アバター」は映画「ダンス・ウィズ・ウルブス」に激似です。
「老人と宇宙」:ジョン・スコルジー、老人たちの人工の代わりの肉体はアオイ肌。
一番わかりやすいのが、ラストで死んでしまったネテヤムを海の底に沈めて弔うシーンです。
ネテヤムはもちろんナヴィ族なので身体は青いです。
そして海の底には黄金色に輝く、触手のようなものが群生しています。
彼の遺体は触手に取り込まれていきます。
これ、ナウシカの「そのもの青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」のシーンそのままですよね。
子供の王蟲を群れに返すために王蟲の大群の前に降り立ち、王蟲に跳ね飛ばされて死んでしまったナウシカを王蟲の群れは金色の触手でいたわります。
クジラみたいなトゥルクンという生物は王蟲なんですね。
そしてナウシカは生き返ります。
本作では生き返りこそしなかったですが、青き肌の者が金色の海底に降りていきました。
そもそも1作目も、「もののけ姫」に似たストーリーになっています。
原住民との開発による問題を扱っています。
主人公も、「もののけ姫」のアシタカは腕に呪いを、「アバター」のジェイクは半身不随で足が立たないというハンデを追っているところが似ています。
ジェームズ・キャメロン監督はギレルモ・デル・トロ監督とともに宮崎作品だけでなく、日本のアニメ・マンガオタクとしても有名です。
宮崎駿監督のファンであることも公言しています。
そして「銃夢」というマンガ作品のファンでもあり、映画化権を買い取り「アリータ: バトル・エンジェル」として実写映画化したのも有名な話です。
「今作はいろんな作品から影響を受けている」ということを最初からコメントしています。
ジェームズ・キャメロン監督に出てくる敵役のキャラクターは似通っていることがあります。
「アバター」における敵役クオリッチ大佐はターミネーターそっくりですよね。
1作目で死んだはずなのに、精神と記憶のデータをアバターの素体に移植してクローンのように蘇ってジェイクたち家族を追い詰めます。
ターミネーターの何が怖いって、やられてもやられても立ち上がって、目的を果たすため迫ってくるところです。
「アバター」におけるクオリッチ大佐も、とにかくしつこくて目的のために追いすがってくるのが本当に怖いです。
まさにターミネーターのようです。
しかし最後には、スパイダーに助けられ、その場から脱出しました。
また続編でどうかかわってくるのか、楽しみなところです。
というか、ジェームズ・キャメロン監督はクオリッチ大佐がターミネーターなら、船内での戦闘は「エイリアン2」のラストだったり、最後に転覆した艦船から脱出するとこなんかは「タイタニック」だったり、と今まで撮った映画を繰り返しているのかもしれません。
ジェームズ・キャメロン監督の作品で描かれる女性は「強い女性」が多いです。
「エイリアン2」の”鉄の女”エレン・リプリー、「タイタニック」の”おてんば”ローズ、「ターミネーター」シリーズの”強き母親”サラ・コナーなど。
今作は家族の物語でもあるので、やはり「強き母親」が描かれています。
ただし、戦うという事に対しては戦士として無類の強さを誇るネイティリですが、大切な森が燃やされ、一族と離れ離れになり、海の民に厄介になり、息子をひとり失ってしまうというすさまじい困難に遭ってしまいます。
その度に涙を流し、怒り、絶叫します。
「その映像の99%がCG」だと言われる「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」ですが、水中シーンではリアル感を出すために実際に水中撮影が行われています。
専用の大きなプールをセットとして作り、俳優たちがモーションピクチャー用のスーツを着て潜水して撮影が行われました。
海の部族メトカイナ族の族長の妻にして、「エイワ」の信託を伝える巫女であるロナルを演じたキーラ・ナイトレイは潜水での息止めのすごい記録を出しました。
通常、3分息が止められればいい方なのですが、「ミッションインポッシブル」シリーズの撮影でトム・クルーズが6分の記録を出したのが以前話題になっていました。
今回、キーラ・ナイトレイはその記録を大きく超える7分をたたき出しました!
上記の動画を見ていただくと分かるのですが、今作のキリを演じたのはなんとシガニー・ウィーバーです。
彼女は1作目にグレイス・オーガスティン博士役を務めていました。今作でもグレイスの過去映像と、キリを演じています。
14歳という設定のキリを73歳のシガニー・ウィーバーが好演しています。
今作では謎のままに終わってしまっているのが、キリの出自についてです。
一応描かれたところでは、父親不明でグレイスのアバターから生まれたのがキリとなっています。
ジェイク、ロアク、トゥクと同じで地球人の特徴を受け継いでいて、手の指が5本あり、顔も地球人っぽい顔つきです。
キリについての謎をリストにすると
ウッドスプライト=「魂の木の種」で、ナヴィ語ではAtokirina(アトキリナ)といいます。
「魂の木」はエイワとナヴィ族が交信するための端末みたいな木のことです。
その名前の中にキリという名前が隠れているのは偶然ではないでしょう。
キリは恐らくエイワの化身か何かなのではないかと言われています。だから動物たちを操ったりできるのでしょう。
つまり父親は存在せず、エイワの力によりグレースのアバターは妊娠したのではないかということです。
3作目のタイトルが「種を運ぶ者」みたいなタイトルということを考えると、キリの役目がすごく重要になってくるのだと思われます。
「動植物と意思疎通できる選ばれし少女」のキリはまるでナウシカですね。
なんでしょうね?ここのところリメイクや長期間空けての続編映画が増加傾向です。
すると「いまさら何でやる必要があるの?」っていう否定的な意見が出てきます。
特にアクションやSFなどのジャンルのものは否定的に見られる傾向があります。
しかし、今作においてはジェームズ・キャメロン監督の完璧主義によるこだわりとコロナ禍が重なった結果、間が空いてしまったという事です。
まあ、もともと「タイタニック」から「アバター」まで12年、かけてますから、今作までの13年も彼の作品としてはそう長いと言う訳でもないんですよねー。
しかし、それだけの期間空いてしまうと、前作の記憶は薄くて復習するのを面倒くさいと思う人も出てきているのだと思います。
いやまあ、そりゃさあ、何といっても「アバター」なわけですよ。3Dで見ないわけにはいかないでしょ。
3D用に新たに開発したカメラで撮影されている、3Dを意識した画作りなのだから。
で、今回、電八は「よし!見に行こう!!」と踏み切ったタイミングが遅かったのは認めます!
遅かったので、TOHOシネマズ新宿では目当てにしていたIMAXレーザー3Dは21:00からの回のみとなっていました。
通常料金1900円、IMAXレーザー3D+3Dメガネでも1100円で合計3000円かかります。
今作は3時間超の作品であり、深夜0:00を超える、いわゆるテッペン越えになってしまいます。
翌日は仕事があり、何気に早起きしないといけません。とてもではないですが、深夜0:00を超えてから帰宅して就寝では翌日起きれる気もしなければ、起きれたところでろくな仕事が出来ない状態になります。
MX4D 3Dは8:50と、12:50の回があったので12:50の回をチョイスしたのですが、、、、
通常料金1900円、MX4D+3D+3Dメガネ料金1600円。合計3500円!!
作品のスペックを考えるとどうしても、高上りの料金を支払わざるを得ない。
自分は好きだから払うけど、一般的には「うひー高い!」と思う人も多いでしょうね~。。。
しかも、ポップコーン・ドリンク代やパンフレット代などプラスすると5000円を超えてしまいます。
2Dでもいいか~って思った場合でも2000円~3000円はかかります。
「映像体験」という言葉で今作は語れらる事が多いです。
ストーリーやキャラクターの演技や演出の妙などよりも、とにかくすごい映像で圧倒する!
ストーリーやキャラクターの演技、演出などは二の次と言っても過言ではありません。
というか、批判する方はどうやらそこが気になるみたいです。
圧倒的な美しい映像と、まるで自分がその場にいるような臨場感。
「異世界に呼び込まれてしまったかのような体験!」
これこそが「アバター」シリーズでの一番の売りであり、ジェームズ・キャメロン監督が目指したものというのが、1作目、2作目にはあると思います。
映像や物語自体は動画配信サービスなどで観ることが可能ですが、高い没入体験が得られるのは映画館の高画質の大スクリーン以外には考えられません。
つまりまさに期間限定のアトラクションなわけです。
3作目以降は、残された謎や、家族と英雄・巫女の宿命や、どういう結末になるのかというのが描かれていくことでしょう。
ということで、MX4Dで鑑賞することになったのですが、やはりこれも「早いうちに観ておけばよかった」と後悔する結果になりました。
MX4Dは座席が画面に連動した、振動したり、動いたり、風やミスト、ストロボなどをつかってライド感たっぷりに映画を見せてくれます。
何かを運転や操縦、またはジェットコースター宇宙船のような乗り物に乗っているシーンが多い映画にむいていると思います。
しかし「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」についていえば、正直、3D感や画の美しさに浸りたいのが主であったので、MX4Dは向いていなかったと思います。
座席の動き以外に瞬間の風やミスト、お尻や背中への振動、画面外のストロボ、ふくらはぎにペチペチ当てるゴムのヒモみたいなのがあるのですが。。。
例えばジェイクが敵を吹っ飛ばした時、シーンに合わせると言っても吹っ飛ばされた敵の感覚に合わせてお尻や背中に振動が加えられます。
しかも画面のこちら側に吹っ飛ばされたのならまだ分かるのですが、画面奥に吹っ飛ばされた(距離が遠くになってしまった)敵キャラクターの感覚を共有しても「え!?そっち!?」ってジェイクへの感情移入度が下がってしまいました。
やっぱり作品によってむいているむいていないがあります。
4K画質での3Dは今回初体験だったので映像の美しさと際立った3D感を楽しむのなら、やはりIMAXレーザー3DかDolbyCinema3Dが良かったのだと思います。
「くっそー---!」
上映方式などについての詳細は以下の記事を参考にどうぞ。
IMAXレーザーとDolbyCinemaと比較した場合ならば、恐らくDolbyCinemaの方が引き締まった黒表現でより明るく観やすいのだと思います。立体音響もチャンネル数が圧倒的に多いのでより高い臨場感が味わえると思います。
実は2作目である「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」と3作目は同時に撮影されました。
3作目もすでに役者の演技部分は撮影が終わっているそうです。CG処理を開始したそうです。
ほとんどがCGの「アバター」シリーズですから行程の90%以上がCG作成作業となります。
演技部分の撮影が終わっているとはいえ、まだまだこれからが大変なところです。