あまりにも有名作品にして、名作・傑作の呼び声高い作品「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。
略してBTTFと表記されることもあります。
タイムトラベルを扱ったSF作品であります。
本当はあまりこの作品は記事にしたくなかったのですが、いろんな映画を楽しむためにはこの作品を研究するとことが重要だと思います。
まあ、そう堅苦しくするではなく、「楽しむために」というのを主眼に語っていきます!
この映画を一言で言うと、「捨てるとこのない映画」です。
※この記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。
1985年、ロバート・ゼメキス監督作品。出演はマイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイドら。
デロリアンを改造したタイムマシンでのドタバタ冒険劇。
もっとも世界で有名なSF作品。
世界的大ヒットし、2作目、3作目が製作された。
これらも大ヒットで3部作すべて大ヒット。
1985年、ドクが開発したタイムマシン・デロリアンで1955年の過去へタイムスリップしたマーティ。
過去を変えてしまうと自分が消えてしまう。
果たして、現在(未来)に無事戻ることが出来るのか?
1作目のラストから2015年の未来へ旅立ったマーティ&ドク、恋人のジェニファー。
驚異の未来世界はなんだかおかしなことに!
なんとか未来の危機を救ったものの、落雷のせいで1885年とさらに過去へと飛ばされてしまったドク。
ドクを救い出すためにドクが100年前に隠しておいたデロリアンでマーティは過去へと旅立つ。
以上、ほとんどセリフなしで映像のみでマーティとドクとの関係や、マーティがどういう人間か、などを短時間で理解させてしまいます。
しかもオマージュや伏線などもチラチラ入れています。
映像のみで楽しませつつ、緊張させつつ、キャラクターの性格などを理解させつつ、オマージュや伏線を入れ込みつつっていうのをやっています。
これはホントにすごいことです。
年代による世相にマッチした作品だったという事が言えます。
1970年後半のアメリカはベトナム戦争に負けてしまい、それまでの「男ってのは!」「父親ってのは!!」すごいのだという幻想が打ち砕かれてしまった時代です。
しかも「強い女性」が台頭してきて男性(特に父親)の権威は地に落ちてしまったと言っても過言ではなかったと言えます。
そしてアメリカ全体がなんとも倦怠した雰囲気に包まれている時代だった訳です。
腑抜けた父親、間抜けな兄、パッとしない自分と、腑抜けた父親や兄弟を尊敬できない姉。そして彼らを怒鳴り散らして取り仕切る母親という家庭がマーティの家庭です。
しかし、マーティが過去に飛んでやり直すことで、作家として大成功した父親、やり手ビジネスマンの兄、美人の姉、美しく優しい母親に、4駆のRV車に乗り理想の恋人がいる自分を得ることなります。
アメリカに対し「まだまだやり直せる!」「くだ巻いてないで飛び込め!」というメッセージが込められているんですね。
実は日本も学生運動後の時代であり、若者が「どうせ何やっても無駄だしな〜」と活力のない時代になっていたんですが、経済バブルに沸いていました。
家電製品や自動車で世界を席巻していました。
家族団らんとかよりも、「モノ」を手に入れ、旅行で「別世界」を訪れる。
とにかく消費に次ぐ消費で幸せを買っていたわけです。
「何かおかしい」、「こんなはずではなかった」、という心情が日本人の深い部分に根差していました。
そこにこの映画で、「大丈夫、まだやり直せる」「うだうだ言ってないで飛び込め!」というメッセージ。
ウケないわけないですよね。
だからドクが持ってるビデオカメラはビクター製だったり、マーティが持ってるポータブルカセットプレイヤーはAiwa製だったりします。
以前にも書いたことがあるのですが、タイムスリップを扱う作品には2種類あります。
ひとつは今作のような、過去を変えれば、現在・未来が変わるという時間線改変作品。
もうひとつはそうではなく、過去に戻って行った行動も現在や未来を構成するためにあらかじめ組み込まれたことになっているのを予定調和作品と言います。
今作が大ヒットした要因のひとつは予定調和作品ではなく、時間線改変作品だったからです。
何をしても無駄だという空気感の中、頑張れば未来を変えることができるのだというメッセージが大衆ウケしたわけです。
日本ではすでにタイムマシンを扱った作品がありました。
言わずと知れた、藤子・F・不二雄の「ドラえもん」です。
この作品内では過去改変の話も予定調和の話も混同されて存在します。
主人公のび太の結婚相手はジャイ子だったのですが、ドラえもんとのび太が出会うことによってしずかちゃんと結婚できるようになるというのが大筋なんですよね。
実に似てますよねー。
公開された1980年代、乗用車では日本車が世界的に隆盛を誇っていました。
スーパーカーというとカウンタックやフェラーリ、ポルシェなどイタリア車などのヨーロッパ車が代表的なものとして隆盛を誇っていました。
デロリアンはアメリカ製のスーパーカーとして開発された自動車で、いわゆるアメリカの夢を実現させたような車です。
つまり、「アメリカ is No1!」を復活させたいという思いからデロリアンが採用されました。
謎というほどのこともないのですが、
電力の単位として登場する「1.21ジゴワット」という言葉。
これ、いくら調べても説明がないんです。
というか電力の単位として「ジゴワット」は存在しません。
実はギガワット=giga wattという英語表記をジゴワットと読み間違えて翻訳して、そのまま使用されてしまったそうです。
2作目の未来世界に登場したもので実現されていたものをいくつか紹介します。
テレビ電話:これは今やごく普通の技術となっています。それどころかテレビ会議も実用化されて普及しています。
壁掛けのモニター・TV:映画公開された当初はモニターやテレビはブラウン管の時代であり、壁かけの極薄モニターなんてのは夢の技術でした。しかし現在はかなり近いものが実現され一般化しています。
未来でマーティの履いたナイキのシューズ。
商品化されたものがあります。以下はその動画
2011年版と2016年版があるようです。この動画で紹介しているのは2016年版。
ビフがタクシーの料金を指紋認証で支払いを済ませるシーンがあります。
これについてはスマホやスマートウォッチなどで支払いが出来るようになってきているので、そのうちに近いうちに実現されそうです。
1作目ラストにデロリアンが新しくなり、廃棄物再利用エネルギーを使って駆動するようになっています。
パカっとふた開けて、中にゴミを投げ入れて行きます。それがタイムスリップするためのエネルギーになるわけです。
「未来の技術はクリーンエネルギーを実現している」という未来への希望を描いています。
もちろん、現在の火力発電所や原子力発電所が抱える公害であったり、放射性廃棄物などへの問題提起にもなっています。
常温の安定物質で質量解放を可能にする技術、核融合技術ってすごいです。
核融合というのはどのくらいすごいかというと、太陽の内部はこの反応でず~~っと燃え続けて物凄いエネルギーを発し続けています。
しかもそれがデロリアンの後部に収まってしまうほどコンパクトな核融合炉だそうです。これ実現されたらエネルギー革命です。
アメリカの俗語(スラング)で「チキン」は「腰抜け野郎」とか「腑抜け」を意味する言葉です。
2作目以降、マーティは「チキン」という言葉に過剰に反応して見境なくキレてしまうという設定が追加されています。
ちなみに西部開拓時代の3作目では『Yellowberry.』になっています。
まだ「チキン=腰抜け」というスラングが生まれていないからなんですね。
意味は「黄色い腹」。小さく臆病なトカゲの腹が黄色かったので、「トカゲのような臆病者」を意味します。
実は1作目と2作目の製作には4年ものブランクがあります。
1作目のラストから続けて2作目が始まるという構成なのですが、4年のブランクがあるのに1作目のラストの演技と全く同じ演技をしなければなりませんでした。
そのほとんどの演技がドクが中心だったのですが、ドクを演じるクリストファー・ロイドはキッチリ演じ上げ、全く違和感ない映像に仕上がっています。
ものすごい実力です。
コメディの面でも彼の演技によるものが大きいです。
「空を飛ぶ車」については今作以外にもたくさんのSF作品に登場します。
多くの人々が夢に見るガジェットなんですね。
1作目のラストと2作目に登場するデロリアンは車輪が内側に回転収納して、ジェットエンジンに切り替わって空を飛びます。
実際にはエンジンを4基も取り付けると、コクピットよりも大分エンジンが大きくなります。
実は2008年にはモーラー社製の「M400 Skycar」というのが発表になっています。
今でいうとドローンにコックピットをつけて有人飛行できるようにしたもので、車というよりは陸も走れる飛行機という感じです。
これ以外にもいろんなメーカーからいろんな「空飛ぶ車」が製作されています。
今のところ、飛行機との航行上の取り決めや空での交通ルールなど法律やインフラなどの問題がいろいろあって、一般化するにはまだまだ時間がかかりそうです。
実は恋人ジェニファーを演じた女優さんはふたりいるのはご存じでしょうか?
1作目のジェニファーはクラウディア・ウェルズが演じていました。
しかし、母親がガンになってしまったために看病のため2作目のオファーは受けられなかったそうです。
そのために2作目から交代で担当したのが、エリザベス・シューです。
クラウディア・ウェルズは非常にきれいで、理想の恋人役ははまり役でした。
エリザベス・シューもきれいですが、よりコメディ色を強く出せていて「バック・トゥ・ザ・フューチャー」らしいです。
電八的にはエリザベス・シューの方が好みです。
そして、実はマーティの父親ジョージ役の俳優も2作目から交代していました。
というか、違和感なさ過ぎてみんなすごいな。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で描かれた未来世界は実は2015年です。
2015年には作品内で描かれたもので実現された未来技術などがいくつかあることと、未だに実現されずにいるものがあります。
つまり、当たり前のことではあるのですが、この世界は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とは別世界線になっているわけです。
残念だなと思うのと同時に、まだまだワクワクするようなことが残されているんだという喜びがあります。
この作品のすごいところは何十年もたってから見ても、ギャグやコメディ部分がいまだに面白くて笑える点です。
例えば画像のシーン。
書いた小説を出版社に提出するのを渋るジョージ。
マーティは夜中に眠っているジョージにそっとヘッドホンをつけてます。
マーティが放射線防護服を着て”バルカン星人”の”ダースベイダー”だと名乗り、ヘッドホンをから大音量で”ヴァン・ヘイレンの曲”を流すとジョージが苦しがるというシーン。
1955年頃のアメリカはUFOブームでした。
田舎の町の人間は放射線防護服なんて見たことないし、「スタートレック」も「スターウォーズ」もまだ始まっていないので”バルカン星人”の”ダースベイダー”と名乗っても気付く人はいません。
しかも当時はまだロックが生まれていません。
エレキギターはあってもひずませた音を効かせたサウンドや奏法はまだありませんでした。
こんなの知らずにいきなり大音量で聞かされたらどんな名曲でも「うわ~~~!!」と悲鳴を上げてしまうでしょう。
ほんの何分かでこれだけオマージュを詰め込んで、過去とのギャップを見せつけ笑いに変えています。
これもすごいなと思っちゃいます。
だからこそ長きにわたり愛される作品なのでしょう。
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