映画を観る時には演じている俳優に注目して見るわけですが、俳優自身の魅力以外にはその演技を見て楽しむわけです。
今回はその演技について基本を紹介します。
演技する方法にはいくつか種類があります。
基本的な演技法をざっくりと紹介します。
もっとも古い演技法です。
戯曲や神話を舞台で演じる時に、決まった形式に沿った表情や動きをすることで登場人物や神、自然物を演じます。
表情や動き、歌や演奏などが決まっているので基本的には俳優の能力は必要ないのが特徴です。
ただし演技とは別で、形式や様式の表現に美を見出すものです。そこでの個人の表現力などには個性や違いが生まれます。
アメリカでスタニスラフスキー・システムというロシアの演劇法を取り入れることで出来た演技法です。
登場人物の生い立ちや背景などのバックボーンを理解することにより、役に入りこんで演技をする方法です。
キャラクターを理解するためにとことん台本を読み込んで理解するとともに、自分がそのキャラクターになりきることで、よりリアルで違和感ない臨場感のある演技が出来ます。
ただし、役者がキャラクターに入り込みすぎて、自分とキャラクターの境界があいまいになってしまう事があり非常に危険な事態を招くことがあります。
俳優の中にはこのメソッド演技法を嫌っている人もいます。
これは「思い込み」であり役者自身がコントロールした「演技」という技ではないという考え方をしているからです。
台本を読み込んだ時点で、役者の可能性を狭めてしまうという考え方を元に一度完全に台本を無視して自由に演技を行ってみる方法です。
役者本人の魅力を把握して、役に合わせることが可能で相乗効果があります。
ただし、台本を無視した演技法なので映画やドラマなどの映像作品には向いていないと言われています。
イェール大学で統計的にシチュエーションにより、どんなタイプの人がどんな行動をして、感情の動きを持つのかをデータ化する研究が行われました。
このおかげで、登場人物がそのシーンの場面でどのような態度をとるのかが事細かく分かるようになりました。
これを基に演技を行う方法です。
すでに確立されていてホラー映画「アス」では取り入れられています。
とある家族とまったく同じ顔をした家族が出会い恐ろしいことが起きるというものです。
同じ役者が二役をこなすわけなのですが、その時にこの演技法で割り出された態度を参考に演技を行いました。
その際に表情だけでなく視線の動かし方やタイミングなども細かく指示があったそうです。
映画やドラマなどの映像作品において、「演技」は必要とされないことが最近は多くなってきています。
黒沢明、スタンリー・キューブリック、リドリー・スコットなどの映画監督は役者に演技をさせない監督という事で有名です。
最近だと庵野秀明も同じように出来るだけ俳優の演技を排除して撮影を行っていました。
これは「映像で語る」という事を重視する監督によくある傾向で、俳優が演技をしてしまうとわざとらしくなってしまうからです。
言ってみたら、とても美味しく完成された料理のコースに、美味しいからとステーキをどんとのせてしまうようなものです。
もちろん監督により違いがあり、演技についてのアイディアなどを最大限取り入れる監督もいます。
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