※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
1981年公開の深作欣二監督作品。
同名タイトルの山田風太郎原作小説を映像化。
当時イケメンとして大人気だったジュリーこと沢田研二を天草四郎役に起用したことで話題に。
その美しさに「妖気も漂う」とまで言われました。
脇を固めるのが、柳生十兵衛役に千葉真一、柳生但馬守宗矩役に若山富三郎、ほか真田広之などが出演。
寛永の時代のある夜、島原の乱で殉死したはずの天草四郎が再び命を取り戻す。彼は自分と同じように不本意な死に追いやられた人々を集め、時の将軍・家綱に復讐を開始。そんな彼ら魔界衆の前に、柳生十兵衛が敢然と立ちふさがる。
googleより引用
実は時代劇というのはSFやファンタジーを合わせるのに非常に向いているジャンルでもあります。
◆戦国自衛隊 1979
角川作品でSFとして「戦国自衛隊」が成功をおさめ、第2段として力を入れたのが今作の「魔界転生」です。
妖怪、妖術、妖刀、死人返り、怨念、などなどファンタジー要素を十分に取り入れ、歴史考証に捉われない自由な発想を映像化しています。
そして、この作品が成功したことでさらに世界を狙うために「里見八犬伝」が製作されることが決定していきます。
グループ・サウンズのバンドであるザ・タイガースに所属していました。解散後、PYGというバンドにも所属しますがすぐにソロで活動を開始します。
「危険なふたり」が大ヒット、一気に活動の幅を広げていきます。
とにかくイケメンで、愛称は「ジュリー」。
いわゆるビジュアル系の走りでもあります。ステージ上で化粧をしてうたい上げる姿にファンは首ったけになりました。
そんなジュリーが天草四郎という美男子であっただろう人物を演じ、しかも怨念を燃え上がらせる役だというのだから話題にならないわけがないですよね~。
細川伽羅奢(ガラシャ)夫人役を演じたのは佳奈晃子。
眉を剃って、ノーメイクに近い顔で演じるのがメインですが、これがまたなんとも妖艶です。
心の奥を覗くような妖しげなまなざしで迫ってきます。
その目つきに射すくめられてしまい、たちまち骨抜きにされてしまいます。
また、スタイルも良く非常に妖しく美しい細川ガラシャになっています。
「剣豪」といえば、と名前を上げていけば10人の中には必ず入る剣の達人、柳生十兵衛。
他の映画作品、ゲームやマンガ、舞台、などに登場する、とにかく人気の高い剣豪です。
そして共通するイメージがあるのですが、このイメージの元になっているのが、今作の千葉真一演じる柳生十兵衛のイメージです。
農村の娘や、真田広之演じる霧丸などを描くことで、無垢で何の罪もない者たちが虐げられる現実と残酷さが浮き彫りになります。
己の欲望のために他者を虐げることは、やはり許されざる間違いであることをちゃんと描いてくれます。
いかに酷い目に合い、辛い死を経験したとしても他者を貶め、虐げることは決して許されない事なのだと悟らされます。
人の心には善と悪、光と闇、調和と純化の部分があります。これらは明確に境界線があるわけではなくて、グラデーションになっています。
そして、人の心の中心はその中を揺れ動いています。
劇中でもいろんなキャラクターたちのその心の中の揺れが描きだされています。
正義を信じたがゆえに、愛を信じたがゆえに、悲劇に見舞われていく者たちと、人の道を外れてまでも己の欲望にただひたすら純粋になっていく者たち。
苦しみは連鎖していきます。
宮本武蔵と、十兵衛の父である柳生但馬守宗矩は「武」を極めんとするも道半ばと感じている中で老いてゆくことを無念を感じています。
「武」を極め修める事を後継者に託すのではなく、自らが極め修めたいという欲望に打ち克つことが出来ずに、肉体の限界を突破するために妖として死人返りで蘇ります。
確かに老いと死がなければ、鍛えて強くなるのは天井知らずです。そのことだけに一生を費やしてきた人間にとっては夢のような術です。
「鬼滅の刃 無限列車編」に登場した猗窩座(あかざ)もまったく同じことを言っています。
その後、「ファイナルファンタジー」シリーズなどゲームで「ムラマサ」という武器を手にするキャラクターが増えました。
日本刀の名称は基本的にその刀を打った刀工の名前です。「村正」であれば村正という人が打った刀という事です。
今作では村正を丹波哲郎が演じています。
現実でも「村正」は妖刀と呼ばれています。
持ち主が次々と変死してしまうので呪いがかかっているという事で、妖刀と呼ばれるようになりました。
霊刀というのがありますが、意味が違います。霊刀は「すぐれた威力がそなわっている刀」のことです。
霊力や神の力が宿った刀は「神刀」と呼ばれるのだとか。
つまり妖刀とは「神刀」に対して呪いや魔力が備わった刀の事なんですね。
今作では、通常の刀では死人は斬っても再びは死なないので「妖を斬れるのは、妖刀だけ」という事で渾身の妖刀を刀工村正に打ってもらおうとする訳です。
非常に人気が高い物語のためにその後、リメイクされたり、舞台で公開されたりしています。
天草四郎役を窪塚洋介。
柳生十兵衛を佐藤浩市が演じています。
天草四郎役を小池徹平、柳生十兵衛を上川隆也、柳生但馬守宗矩を松平健、ほか浅野ゆう子、藤原紀香など、豪華キャストです。
この作品で培われたVFXなどの特殊効果や技術、ノウハウなどはその後の作品に大きく影響を与えています。
ファンタジーを実写化して、壮大な物語を映像化することが出来るようになったことが現在のクリエイターたちの刺激になっていったのは間違いないでしょう。
その後の系譜に連なっているのが『帝都物語』でしょう。
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