※以下は2021年7月4日に公開した記事をアップグレードしたものです。
※この記事は2025年4月6日に加筆修正いたしました。
今回は、普段あまりラブストーリーを紹介しない筆者が、心を奪われた2つの傑作ラブストーリー映画を特別にご紹介します。それは、韓国映画界を席巻し、日本でもリメイクドラマや主題歌の日本語カバーが大ヒットを記録したあの名作——「猟奇的な彼女」と、その感動を再び呼び起こすべく、同じ監督と主演女優がタッグを組んで製作された「僕の彼女を紹介します」です。
一時期、社会現象を巻き起こしたと言っても過言ではないほどの人気を誇った「猟奇的な彼女」。その独特なストーリー展開と、ヒロインの強烈なキャラクターは、多くの観客の心を掴んで離しませんでした。そして、「僕の彼女を紹介します」では、同じキャストとスタッフが再集結し、新たな愛の物語を紡ぎ出しています。
本記事では、この2つの作品の魅力、共通点、そしてそれぞれの見どころを掘り下げて解説していきます。まだ観たことがない方はもちろん、かつて夢中になった方も、改めてこの機会に「猟奇的な彼女」と「僕の彼女を紹介します」の世界に浸ってみませんか?きっと、あなたの心に光を灯してくれるはずです。
「猟奇的な彼女」:2001年公開のクァク・ジョエン監督作品。主演女優チョン・ジヒョン。挿入歌「I Believe」が大ヒットしたことでも話題に。
チョン・ジヒョン演じる「彼女」のぶっ飛んだ暴力癖と一途な思いや可愛さとのギャップが非常に人気になり、中国、日本でもリメイクされたり、続編や時代劇版なども製作されました。
「僕の彼女を紹介します」:2004年公開。監督、主演は同じ。主題歌に日本のX JAPANの「Tears」が韓国映画初の日本語主題歌として使われた異例作。
またチョン・ジヒョンがボブ・ディランの「Knockin’ on heaven’s door 天国への扉」をカバーして劇中で何度も流れます。
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
ナンパ大学生のキョヌはひょんなことから「彼女」と出会います。
「彼女」の口ぐせは「ぶっ殺されたい?」。
気に入らなければ誰にでも文句をつけ、すごい勢いでどつきまわそうとします。
そんな彼女に振り回され、どつきまわされるがキョヌは彼女の悲しい過去を知ってしまい、なんとか「彼女」の力になってあげたいと思うようになります。
「彼女」を受け止めようと日夜がんばるキョヌにだんだんと「彼女」も心を開いていくが…。
女性警官のギョンジンは教師のミョンウと出会い、交際を始めます。
夏休みに二人で旅行に行って語り合い、ミョンウは「自分の前世は風だった。死んだら風になりたい。」と話します。
その帰りに二人の乗った自動車は悪天候で転倒して川へと転落してしまいます。
ミョンウは溺れて息が止まってしまいます。ギョンジンは必死で蘇生措置を施します。
ミョンウは何とか息を吹き返しました。
事故後、お互いに気持ちが強くなっていきます。
事件に無謀に飛び込んでいくギョンジンを心配するミョンウ。
そんな矢先ミョンウはギョンジンを守るために銃撃戦に巻き込まれて胸に銃弾を受けてしまい、亡くなってしまいました。
悲しみに暮れるギョンジンは後を追おうとして何度も自殺を図りますが、その度になぜか助かってしまいます。
ギョンジンは49日の間はミョンウの魂は地上にいると信じ、刑事に復職します。
しかし追っている犯人に胸を撃たれてしまうギョンジン。
奇蹟的に助かった彼女は夢の中でミョンウに再会して前向きに生きる意志を固めます。
そんな彼女にやさしい風が吹くのでした。
なぜ、この2つのラブストーリー映画「猟奇的な彼女」と「僕の彼女を紹介します」を同時に取り上げるのか?その理由は、両作品に散りばめられた、意図的に重ねられた設定の数々にあります。まるで続編のように見せるための巧妙な仕掛けが施されているのです。
つまり、この2つの作品の繋がりを理解することは、それぞれの物語をより深く味わうためのキーポイントとなります。
特に注目すべきは、「僕の彼女を紹介します」の印象的なラストシーン。なんと、それは「猟奇的な彼女」の冒頭シーンとシチュエーションも演者も 同じなのです!
チョン・ジヒョン演じる魅力的なヒロイン、ギョンジンが駅のホームで電車に轢かれそうになった瞬間、間一髪で彼女を救ったのは、「猟奇的な彼女」でキョヌを演じたチャ・テヒョンでした。
このラストは、「僕の彼女を紹介します」の物語が終わり、まさに「猟奇的な彼女」の物語がこれから始まることを示唆する、巧妙な演出と言えるでしょう。
物語の時系列で考えると、「僕の彼女を紹介します」の出来事が先に起こり、その後に「猟奇的な彼女」の物語が展開すると解釈できます。
しかし、設定に目を向けると、「猟奇的な彼女」では二人は学生であるのに対し、「僕の彼女を紹介します」では二人とも成人した社会人として描かれています。
つまり、時間軸としては別の物語でありながら、「猟奇的な彼女」を如実に想起させるシーンが盛り込まれているのです。
そこで、私がお勧めする理解度をより深める鑑賞順序は、
という順番です!
この変則的な順番で鑑賞することで、「学生である」「成人している」といった表面的な設定の違いを超えて、2つの作品に共通点を見出し、より味わい深くリッチな楽しみ方ができるはずです。ぜひ、この鑑賞順序を試してみてください。
2度目の「猟奇的な彼女」を見る時のポイントは、もちろん設定のシンクロしている部分の確認なんですが、もう一つ重大なのが隠れキャラ探しです。
「猟奇的な彼女」にはいろんな隠れキャラがいます。
中には監督自身が入ってたりします。(ヒッチコックオマージュなのかな?w)
何度も楽しめるようにする仕掛けというわけです。
実はこれ、DVDなどの特典に説明があり正解もそこに記載があったりするのですが、中には実際に作中で見つけるのがかなり難易度の高いモノがあります。
難しかったのが空にUFOが飛んでいくというものがあります。ぜひ探してみてください。
「僕の彼女を紹介します」では主題歌がX JAPAN「Tears」が採用されています。
X JAPANが韓国でも非常に人気があり監督自身も大ファンなんだそう。
韓国映画史上では初の日本語主題歌の採用だったようです。
こういった事を機に韓国人の監督では恐らく不可能であった事かと思われます。日韓関係がいい方向に進むといいなと思います。
さらにクァク・ジョエン監督はその後の作品も「僕の彼女はサイボーグ」日本作品を撮ってみたり、「世界の中心で愛を叫ぶ」の中国リメイクを撮ってみたりと日本好きなんですね。
そのせいもあってか、日本のマンガ、古谷実「僕といっしょ」のシーンと全く同じシーンが『僕の彼女を紹介します』の劇中にあります。
ビルの屋上で自殺しようとしているギョンジンの元に現れたふたりの家出少年たちとのシーンです。
シチュエーションもやり取りも全く一緒なんですよね。
この事を指摘している人ってほとんど見ない。大発見なんですかね(笑)
確かに日本好き以外につながりが全くないですからね。
監督のインタビューとかも特になさそうなので、実際に「僕といっしょ」モチーフなのか偶然なのかは確認とれそうもありませんが、モチーフだったならうれしいなと思います。
「僕といっしょ」も大好きな作品なので、監督も好きだったなら親近感爆上がりです!
とにかく好きな2作品の映画です。
あえてポイントを挙げるならば
主題歌なども、いい曲で特にシン・スンフンの「I Believe」をカラオケでガッツリ練習してみたり、X JAPANの「Tears」も練習してみたり。
また恋愛についても考えさせられました。
強い思いは時空を超える!
深い深い愛情ゆえに、深い悲しみが癒えないギョンジン。
悲しい過去を引きずっている”彼女”に少しでも笑ってほしいというだけで、何年もの時間を超えて伝える事をあきらめなかったキョヌの大きな愛。
ふたりによい風が吹いてほしいと願う気持ちになっている自分に気付いて、自分にも多少なりとも人を思いやる気持ちがあるのだなと嬉しくなりました。
この2作品によって思いの強さを学んだ気がして、自分にもそんな強い思いがどこかにあったらいいなと思うようになりました。
特に「猟奇的な彼女」は大人気で日本でもハリウッドでもリメイクされています。
さらに「猟奇的な彼女2」があるみたいです。
日本でソフト化されたタイトルは「もっと猟奇的な彼女」です。
◆時代劇版
◆ハリウッド版
◆日本ドラマ版
草彅剛と田中麗奈が主演を務めました。
今回紹介した二つの作品は、非常に酷評する人もいます。
ですが、いいものはいいですし、泣けるほど切ないのも確かです。
楽しんだ者勝ちです。
楽しめる要素がふんだんにあり、そういう仕掛けになっています。
自分としては両作品ともに大好きな作品です。
これほど何度も見返して楽しめる作品はあまりないのではないでしょうか。
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