自分にとって非常に影響の大きな作品のひとつが桂正和:原作「ウイングマン」です。
東京・池袋サンシャインシティで展覧会「40th Anniversary 桂正和~キャラクターデザインの世界展~」というのが4/27(水)より開催されています。
開催日前日の26(火)内覧会で原作者の桂正和氏が「ウイングマン」の続編を描いてみたいとインタビューで答えたそうです。
あまりにもうれしいので、ウイングマンについて紹介記事を書いちゃおうと思い立ったというわけです!!
1983年に少年ジャンプで連載開始された桂正和原作の漫画。主人公のヒーロー大好きな広野健太がドリムノートを狙う異次元や宇宙からの敵と戦い、成長していく姿を描く作品。
アニメ化、ゲーム化もされた人気作品。
読み切りの短編マンガ「ツバサ」という作品がもとになっています。
異次元都市ポドリムスからの逃亡者・美少女アオイを保護したヒーロー大好きな中学生・広野健太(ひろのけんた)はアオイの持つドリムノートの力で、本物のヒーロー・ウイングマンに変身できるようになります。
ドリムノートは書いた者の夢を実現する力を持っています。
これを狙って、ポドリムスの支配者リメルが次々と刺客を健太・アオイの元に送り込みます。
健太はウイングマンに変身して本当の戦いを通して、真のヒーローへと成長していきます。
自分も幼い頃に「正義の味方」でした。
保育園の先生を困らせていたのも主人公の健太と共通するところです。
あくまでも保育園時代でしたがその後も「ヒーローへの憧れ」は強く残っていました。
本当に「ヒーローを実現させるには何が必要なのか?」なんてのを漠然と考えたりしていました。
そんな気持ちに答えてくれたマンガがこの「ウイングマン」でした。
自分で考えた独自のヒーロー、描いた夢が現実になるドリムノート!!
そして、思春期になるにしたがって気になる恋愛も描かれていて、自分にとってはホントにドンピシャな作品でした。
原作者の桂正和が特撮ヒーローへの愛情が並々ならぬものがあるのが、マンガを読むと随所にあふれているのが分かります。
特に「戦隊ヒーローシ」リーズと「宇宙刑事」シリーズが好きなようで、パロディしたヒーローが登場したりします。
学園戦隊セイギマン、宇宙警視総監バギャン、などなど。
ウイングマンに関しても力が入っていて、オリジナルの変身時の掛け声とポーズの「チェイング」(チェンジとウイングの合成)から始まり、変身後の「悪裂ウイングマン」までの決めポーズまで完全にオリジナルです。
ジャンプコミックスでは本編外にこの決めポーズを図解付きで紹介するなど、本編以外のお楽しみも各所にありました。
さらにヒーロー好きの最高潮が、ウイングマンのコスチュームを特注して作ってもらい、ジャンプコミックスにおいての目次や本編外のページに写真を掲載します。
しかも写真でポーズをとっているのはコスチュームを着た桂正和本人でした。
製作費に100万円ほどかかったとコミックスで語っていました。
全体的に桂正和作品において言えることとして、デザインセンスがすごくいい!!です。
まず、「ウイングマン」のデザイン。
まずは健太が自分で作ったコスチュームのウイングマンと、ドリムノートの力で変身したときのウイングマンと2種類あります。
コスチュームの方は、赤地に白が基調のデザインで自作したというのを強調するために翼が幼稚なデザインになっていたり、ブーツが長靴だったりとこだわりが見えます。
実際に変身した時のウイングマンは黒地に青が基調のデザインで、メチャクチャかっこいいです。
翼のデザインが少し角ばった幾何学的なデザインになっています。しかも収納したときに背中の六角形をあしらったマークが見えるのがほんとにセンスいいです。
そのほか、ウイングマンの武器や装備、怪人やモンスター、アオイやその他の美少女たちのコスチュームデザインなど、他では見ることのないオリジナリティあふれる、しかもかっこいいデザインです。
1980年代は少年マンガにおいて過渡期の時期でした。
それまでの「スポ根マンガ」からの脱却と「恋愛と美少女が出るマンガ(ラブコメディ)」が台頭した年代です。
「ウイングマン」はその先駆けのマンガの中のひとつでした。
美少女のキャラクターが複数登場します。しかも桂正和の高い画力で驚くほど生き生きと描かれます。
「ドクタースランプあられちゃん」「ドラゴンボール」で有名な鳥山明とも交流があります。
「ウイングマン」の頃は鳥山明の担当編集の鳥嶋和彦が兼任で桂正和も担当していてラブコメ路線を強力に勧めたそうです。
結果、非常にかわいらしく、魅力的な美少女キャラクターがデザインされ登場しました。
また、桂正和作品といえば、「エッチな描写」も売りです。
「ウイングマン」においてはいわゆるエッチ描写が少年誌でのギリギリの表現で描かれています。
実はアニメにも引き継がれて、親御さんと見るには少し気まずい作品となっていました(笑)
しかしマンガもアニメも基本的に明るいギャグが全編通して描かれるので、エッチ描写もからっとした明るさで描かれています。
読んでいたのが思春期の頃でしたから、毎回ドキドキしていたのを思い出します。
その後、よりリアルな描写を行うことのできる青年誌「週刊少年ヤングジャンプ」へと移籍し、「エム」や「I’’s」を描くようになっていきます。
健太は「ヒーロー=正義の味方」で「正義は正しい」と信じています。
全編通して勧善懲悪モノになっているので健太が「正義とは?」というテーマで悩んでしまうことはないんです。
ただ、「正義とは?」という疑問にひとつの答えを提示しているのも事実です。
健太の敵として登場するのが、ポドリムスの支配者リメルと宇宙の帝王ライエルです。
両者ともに自身の私腹を肥やすために多くの人々に犠牲を強いる存在です。
これを打ち倒し人々を支配から解放するのは「正義」といえるでしょう。
この作品以降、桂正和のマンガで「正義とは?」という疑問に焦点を当てることがだんだん増えていきます。
最終的に「ZETMAN」でピークを迎えます。
「自分にとっていいこと」は「他人にとっていいこと」とは限らない。その時に人はどうあるべきなのか考えさせられます。
その時に「ウイングマン」はひとつの指針になるのだと思います。
「ウイングマン」の魅力は以下の5点です。
桂正和はこの後、SFモノ、美少女モノの基本2種類のジャンルでの描き分けをしていきます。
SFモノ
アイドル(歌)モノ
美少女モノ
桂正和作品においてはSFも美少女もひとつになっている「ウイングマン」が、やはり原点なのだといえると思います。
実はすごい話として桂正和自身が驚いたエピソードがあります。
コミックスの中で「ホヒーから超銅金ウイングマンが発売」というおもちゃの嘘広告を描いて掲載したところ、実際にポピーから超合金ウイングマンが発売されました。
しかも嘘の広告の絵柄そのままに逆パロディで実際の広告が製作されました。
これには桂正和もビックリしたそうです。
この時のおもちゃメーカー・ポピーの担当者さんは「粋」ですね~♪
アニメ版のオープニングとエンディングの動画も貼っておきましょう♪
「異次元ストーリー」
「Wing Love」
アニメ版はただいまAmazonプライムビデオにて好評レンタル配信中です。
以下は以前書いたヒーローについての記事です。