あなたにとって恐怖とはどんなカタチをしているでしょうか?
映画「エイリアン」はいわゆる人々の恐怖や不安をカタチにしたバケモノが襲って来るという最高に怖い映画です。
今回はこの「エイリアン」シリーズの楽しみ方をご紹介いたします。
2024年9月6日より新作『エイリアン:ロムルス』公開。
しっかり復習しておきましょう。
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
1979年公開リドリー・スコット監督作品のSFホラー作品です。主演はこの映画のヒットで一躍世界的な女優になったシガニー・ウィーバーです。
その後、シリーズ化されて「エイリアン2」「エイリアン3」「エイリアン4」「エイリアンvsプレデター」「エイリアンvsプレデター2」「プロメテウス」「エイリアン・コヴェナント」とたくさんの作品が製作されます。
映画以外にもアメリカンコミックスの作品やゲームなど世界的に多種なメディア展開をしていきます。
西暦2122年。
宇宙貨物船ノストロモ号は遠く離れた惑星LV-426からSOS信号を受信した。クルーたちは信号の発信元を探査するために惑星へと向かい、惑星表面に着陸すると異星人の宇宙船を発見する。
その宇宙船内でクルーのひとりの顔面に謎の異星生物が取り付いてしまう。クルーたちが手当てのためノストロモ号に戻ると、顔面の生物は剥がれ落ちて死んでしまった。
しかし突如、取り付かれたクルーの胸を突き破って異星生物が出現。成長し2m以上の怪物になった謎の生物は次々とクルーを襲う。
西暦2179年。
謎の異星生物の襲撃から何とか逃げたリプリーは小型シャトルで何とか地球圏に戻ることが出来た。冷凍睡眠で宇宙を漂い、57年経過していた。
リプリーは惑星LV-426の異星人の宇宙船の事や襲ってきた怪物のことを話すが雇い主の会社は信じてくれない。惑星LV-426にはそれどころか移住計画ですでに入植者たちが住んでいるという。
しかし惑星LV-426の居住区との連絡が途絶えてしまう。
植民地海兵隊を惑星LV-426に派遣し調査する事になり、リプリーも同行する事に。
西暦2279年。
リプリーは少女ニュートとアンドロイドのビショップと命からがら惑星LV-426から脱出し、冷凍睡眠で地球に帰還するつもりが、機器系統の故障で流刑惑星に不時着してしまう。
生き残ったのはリプリーだけだった。そして機器系統の故障の原因がエイリアンが紛れ込んでいたせいだと判明する。
その時にはすでにエイリアンの繁殖がこの流刑惑星でもひそかに始まっていた。
凶悪な囚人たち、エイリアン、リプリーに危機が迫る。
西暦2470年。
エイリアンのクイーンを宿したまま溶鉱炉に身を投げたリプリーだったが、200年後の宇宙船内でクローンとして甦らされる。
甦ったリプリーはエイリアンの遺伝子を取り込んだおかげでエイリアンの能力の一部を持っていた。
リプリーを甦らせる目的はリプリーの身体の中のクイーンも甦らせて生体兵器として繁殖させるためであった。
しかし実験台となっていたエイリアンたちが逃げ出し、次々と人々が殺されていく。
一方、甦らされたクイーンの胎内にはリプリーの遺伝子を取り込んだ新しい種、ニューボーンが宿っていた。
西暦2089年。遺跡から異星人からのメッセージを解読し、人類の起源に迫る発見をした科学者たちが、惑星LV-223へ向かう。
西暦2093年、惑星LV-223に宇宙探査船プロメテウス号で到着した彼らを待っていたのは人類の始祖に当たる「エンジニア」たちの残した遺跡や宇宙船であった。
西暦2104年。人類の植民を目的に宇宙植民船コヴェナント号で惑星オリガエ6に向けて航行していた。突如ニュートリノの衝撃波により船体が破損してしまう。
復旧作業中に謎の信号を受信。オリガエ6よりも近くにある移住可能惑星からであったために、進路を変更して惑星に向かった。
惑星の信号の発信源で朽ちた異星人の宇宙船を発見、しかもそこに11年前に行方不明になっていた「E・ショウ」博士のドッグタグと写真を発見する。
西暦2142年。ウェイランドユタニ社の植民惑星で個物資源の採掘を行っている若者たちが、飼い殺し状態の上病が流行り死がせまる閉塞的状況を打破するために見つけた宇宙船に冷凍睡眠装置を盗みに行くのだが、そこで遭遇したのは!?
以上を繰り返します。その間にクイーンはどんどん卵を産み付け、エイリアンたちはどんどん人々を捕らえてきては卵の近くに固定していきます。
あっという間にすごい数に繁殖します。
クイーンは卵を産むためだけに特化した進化をしていて、ほぼ全精力を産卵に注ぎます。身体も巨大な卵管があるため基本的には動きません。
しかし『エイリアン2』では子供たちを殺され卵を焼かれた怒りで卵管を引きちぎり、リプリーを追いかけます。
普段動かないとは言え、巨大な卵管から連続して産卵するエネルギーを持ち合わせているので、驚くほど軽やかで素早く動きます。
なお「エイリアンvsプレデター」は元々はアメリカンコミックで描かれていた作品を基にしたもので、実は日本でも1994年にカプコンからアーケードゲームが発売されています。
ゲーム自体は同社のアクションゲーム「ファイナルファイト」とゲームルールはほぼ一緒で、よく出来たビジュアルとマイキャラクターとしてプレデターを選択できるのが魅力でした。
ちなみに右から2番目の男性キャラクターは名前が「ダッチ・シェーファー」。映画1作目のシュワちゃんの役名とまったく同名です。
特に同一人物かどうかは言及されていないのですが、別人とも思えません。
その他にも世界的にデザインに影響を与えています。映画「エイリアン」が公開された後の映画のバケモノやモンスターのデザインからは一斉に目が無くなりました。
さらに機械と生物が融合したような気色の悪さを前面に押し出したデザインがゲームやマンガ、アニメなどに大きく影響を与えました。
シューティングゲーム「R-TYPE」「沙羅曼蛇」やアクションゲーム「メトロイド」、萩原聖人原作マンガ「バスタード」シリーズ、など挙げればきりがないほどです。
エイリアンのクリーチャーデザインで世界的に知られているデザイナーです。
この人の作風はエアブラシを使った陰影の強い、人を不安に陥らせるデザインが特徴です。
「ネクロノミコン」というデザイン集には「エイリアン」の元デザインになった作品や映画「スピーシーズ~種の起源~」のクリーチャーの元になった作品などがあります。
ちなみに「ネクロノミコン」とはコズミックホラーの創始者H.Pラブクラフトの作品に通して登場する重要なアイテムです。一言でいえば「狂気と恐怖の写本」です。
またハドソンから発売されたゲームソフト「邪聖剣ネクロマンサー」のカバーデザインなんかも担当している。これギャラいくら払ってるんですかね??しかもこのゲーム大して売れてないんですよね。。。カバーの絵柄だけ記憶にあります(笑)
2014年、享年74歳でお亡くなりになられていますが、その強烈で個性的な作品は今でもいろんな影響を残しています。
1作目の「エイリアン」の主演を射止めた女優がシガニー・ウィーバー。まだこの頃はぜんぜん知られていないが、この作品の世界的ヒットと元々舞台で培われた演技力で一躍スターに。
この方、実にスタイル抜群で実は身長も182cmもあります。
手足が長くすらっとしている割にしっかり筋肉も程よくついていてカッコいいですよね。そこにグッと力を込めた時のアゴが逞しくて、でも愛嬌のある笑顔も出来る、魅力的な女性です。
映画「エイリアン」ではエレン・リプリー中尉という役柄で、戦闘も指揮も出来るが優しい母性もあるという女性で、ピッタリだったんですね。
彼女は銃規制に強く賛同する人で、2作目に出演の際に脚本をほとんど読まずに現場に行ったら銃を持たされてひどく困惑したそう。
映画などを見る際にも銃が使用されるシーンなどは見ないようにしていたほどだったため「えええ!!?」となったそうです。
それから「エイリアンのリプリー」のイメージが強く「鉄の女」としてイメージが定着してしまって、その他の役を獲得するのに苦労したそう。
でも、持ち前の高い演技力と思い切りの良さでリプリー以外のいろんなイメージの役柄を獲得していきます。
ちなみに自分としては映画「ゴーズトバスターズ」の時のシガニー・ウィーバーがけっこう好きです。
リドリー・スコット監督は俳優以外の全スタッフにエイリアンのビジュアルや生態などについての一切を俳優に秘密にするように徹底させます。
これは俳優たちが実際に本当に驚く様を映像化したいからでした。
そのため、俳優たちは自分が演じるキャラがエイリアンと遭遇するまでエイリアンの姿を知りませんでした。
チェストバスターのシーンも全員がその場で初めて目の当たりにして驚愕する表情を映像化しています。
撮影後、チェストバスターのフィギュアはすぐに回収され、俳優たちが「もう一度見せてほしい」という懇願をしましたが、「今後の撮影のために見せることはできない」とスタッフによってすぐに隠されてしまったそうです。
撮影はイギリスで行われていたのですが、エイリアンに襲われるシーンを演じた俳優はその場で飛行機のチケットを渡されて帰国させられます。もちろんまだ残っている俳優たちにエイリアンについての話をしないという約束をして。
つまり、主人公のリプリー役のシガニー・ウィーバーは最後の脱出艇のシーンの撮影までエイリアンの姿かたちを知らずに撮影してきたんですね~。
2作目は戦闘シーンが多く、武器やメカニックがミリタリーマニアなどに非常に評価が高いです。
なにせキャッチコピーが「今度は戦争だ!(This time it’s war!)」でしたからね(笑)
しかもリプリーが同行するのは植民地海兵隊(USCM)の荒くれ者たちです。
なんだかベトナム戦争の映画を観ているみたいな、妙なリアルさがあります。
まずはこのマシンガン。「M41A-4 パルスライフル」です。
10mmケースレス弾を100発装弾出来るようになっています。さらにポンプアップ式30mmグレネードランチャーも装備しています。
残弾カウンターがあり、見る見るうちに残段数が減っていってしまうのを見てハラハラしてしまいます。ただ、画像見てわかる通り(中央当たりの小さな赤いパネル)、撃ちながら見える場所についてないんですよね(笑)
そして、これがすごい!!「M56 スマートガン」。
アームスタビライザー(補助腕)がついたボディマウント式の分隊支援火器。
100mmケースレス弾300発装弾、パルスライフルに比べて発射電圧が強く威力が増している。
搭載コンピュータとIRトレーサーに自動追尾・自動発砲が可能。(スマートガンと呼ばれる由縁)
1500ヤードの範囲内で効果的な動体感知型の赤外線追跡システムが装備されていて、動くもの感知することが出来ます。(これのおかげでニュートを発見・保護できた。)
火炎放射器も登場します。
リプリーはこの火炎放射器をパルスライフルにテープでくくり付けて装備していました。
エイリアンクイーンの目の前で卵を火炎放射器でまとめて焼き払ってしまいます。
宇宙艦から惑星に降下する際に使用した降下艇です。大気圏突入後、自力飛行で目的地に向かう。
垂直離着陸が可能で遠隔操作も自在にできる。装甲兵員輸送車を格納している。
兵員輸送用の大型装甲車で、高速移動が可能。
中には、兵員のカメラとバイタルサインを同期させたモニターが設置され、情報を統合して指揮官が指示を出すことが出来るようになっています。
もっとも活躍し、印象に残ったのが恐らくこのパワーローダーでしょう。
いわゆる人型フォークリフトで通常は重貨物の運搬・移動・搬出などの作業をこなす機械です。
対クイーンエイリアンでの登場シーンはめちゃくちゃカッコイイです!
非常に堅牢なつくりとパワーでクイーンエイリアンとどつき合いして、船外に放り出すことに成功しています。
3作目は犬から生まれたエイリアンが登場し、4作目にはニューボーンエイリアンが登場します。
いずれも遺伝子によるエイリアンの姿や能力の違いが描かれています。
「プロメテウス」や「コヴェナント」でエンジニアたちが生体兵器として遺伝子を取り込んで環境に適応しながら繁殖する生物として、エイリアンを設計したことが分かります。
この1作目を製作するための資金を集めるために製作陣が映画会社にシナリオを持ち込んで交渉をします。
この時「ジョーズのSF版」という事で営業していたみたいです。最初はなかなかお金を出してくれる映画会社が見つからなかったみたいです。
そして1977年映画「スターウォーズ」が公開・大ヒットすると、「何でもいいからSF映画を撮れ!!」という時代に突入します。
その結果、スターウォーズもどきのシナリオ群の中で異彩を放つシナリオが認められて多大な予算が認められて一気に製作が進んだのだそうです。
つまり「スターウォーズ」がコケていたらその後のSFの名作たちは存在しなかったのかもしれないのです。
さて、1作目がどれほどヒットしたかと言えば、「エイリアン」という言葉の意味が変わってしまうほどです。
「エイリアン」とは、もともと異邦人とか他所者を意味する言葉でしたが、この映画のおかげで「宇宙人」という意味も持つようになってしまいます。
これ以降、宇宙人の基本イメージ「リトルグレイ」は「エイリアン」と呼ばれるようになっていきます。
しかも有名なゲーミングPCのメーカー「エイリアンウェア社」もリトルグレイをロゴイメージにしています。
もし映画がヒットしていなかったら「リトルグレイ社」だったかもしれません。
「エイリアン」第1作目の監督を務めたリドリー・スコットはラストはリプリーがエイリアンに食い殺されて終わるというバッドエンディングを考えていました。
しかし周囲の製作に関わる人々から「この作品は絶対に人類が勝利して終わらねばならない」と言われ、泣く泣くリプリーが生き残るエンディングになったのだそう。
不満を残したままのリドリー・スコットはその後、「エイリアン:コヴェナント」で、その時の不満を晴らします。
「エイリアン:コヴェナント」のラストシーンはアンドロイドのデヴィットを倒し、帰還するべく宇宙船内で冷凍睡眠に就こうとした時、実はデヴィットがウォルターのふりをしていた事が判明します。すでに宇宙船内にはエイリアンが1匹侵入していてさらにデヴィットがエイリアンの細胞核を冷凍保存するという絶望的なラストで終わります。
とりあえず、世界的にヒットしたのには理由があり、ただ観るだけよりも少し知っているだけで「おお!」と思える部分が必ずあります。
とはいえ、すべての作品を観るのはしんどいなぁ~という方には、1作目「エイリアン」と「エイリアン2完全版」をオススメ致します。
1作目は何よりもしっかりSFしている部分が魅力的です。探査船の降下シーンの描かれ方などはまさにハードSFといってよいと思います。その上で世にも恐ろしいモンスターが襲ってきます。
2作目は「完全版」をオススメします。なぜかと言うと「ウラシマ効果」でリプリーが地球に戻った時には何十年も経ってしまっているというシーンから始まります。
リプリーのやるせない葛藤や、なぜあんなに命懸けでニュートを守ろうとするのか理由がしっかり描かれるシーンがあります。監督は「ターミネーター」のジェームズ・キャメロン。
この2作品を観れば「エイリアン」の謎の生態と、魅力が分かると思います。
1作目、チェストバスターが乗組員の胸を食い破ってくるシーンは直前まで食事のシーンでした。
彼らはパスタのようなものやシリアルのようなメニューが判然としないものを食べています。
長期の宇宙船による旅ではあらゆるエネルギーや資源を節約する必要があります。
当然、食事の材料についても同じ事が言えます。
水、食料などの原材料となりうるものはすべてリサイクルされるはずです。
つまり何が言いたいかと言うと、彼らが食べている水や食料は身体から排出されたものを再利用したものであるということ。
この記事で分かることは
以上です。
みなさんは昭和のコメディアン・植木等をご存知でしょうか?
彼のギャグで「お呼びでない・・あ、お呼びでない・・こりゃ、また失礼しました!」というのが有ります。
第1作目のチェストバスターが胸を突き破って体内から出てくるシーンにこのギャグを当てはめて笑ってしまいました。
チェストバスターが胸を突き破って顔を出して左右を見回す。「お呼びでない・・あ、お呼びでない」
鳴き声とともにすごいスピードで去っていく。「こりゃまた失礼しましたー!!」
これ、タイミングがドンピシャで見るたびに毎回これ思い出してしまいます。
これはあくまでも自分が個人的に大笑いしたことではあるのですが、このおかげで「エイリアン」を怖いというだけでなく楽しめるようになったきっかけでもあります。
1作目のラストシーンでリプリーがシャトルの狭い船内の暗がりに隠れたエイリアンに気付かずに、作業着を脱ぎ冷凍睡眠の準備をします。
この時の下着姿がものすごく官能的なんですよね。
胸は乳首が透けて見え、半分おしりがはみ出しているのがすごい衝撃だった!!
ここまで貨物輸送船ノストロモ号という閉鎖されたオイル臭そうな船内でむっさい男連中と血と汗にまみれていたわけです。
そこに美しいリプリーの下着姿というギャップ!!
さらにおっそろしいエイリアンのツメやキバや宇宙服みたいな身体に対して、あまりにもリプリーが柔らかくて、頼りなげで無防備な姿に感じられる。
という2重のものすごいギャップが感じられて、エロスと恐怖がごっちゃ混ぜになるスクリュー感がこの映画で最高値になるシーンです。
当時、小学校低学年の自分にとってエイリアンへの恐怖に手に汗を握りつつ、エロスにやられてしまった瞬間でもあります。
リドリー・スコット監督は撮影時に用意されていたパンツが「セクシーじゃない」と言ってスタッフにセクシーなパンツを買いに走らせたという話が残っています(笑)
こだわりのシーンでもあるわけですね。
このシーンがあることで「怖い」だけの映画から一つ抜き出た作品になっていると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
この記事を気に入って頂けましたら幸いです。
また是非、SNSなどでシェアしていただければと思います。