以前、紹介した映画「ブレードランナー」の続編となる「ブレードランナー2049」を紹介いたします。
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
2017年公開のアメリカのSF映画でドゥニ・ヴィルヌーブ監督作品。
主演はライアン・ゴズリングです。
前作「ブレードランナー」からなんと33年後に製作された続編となります。
前作監督のリドリー・スコットは製作総指揮で参加しています。またデッカード役のハリソン・フォードも出演していてキーパーソンとなっています。
追われるのはブレードランナー?世界を滅ぼす鍵を握るのは―。 舞台は2049年のカリフォルニア。ライアン・ゴズリング扮する“ブレードランナ ー”(※人間社会に紛れ込んでいる、労働用の人造人間“レプリカント”を処分する役目の捜査官)Kは、ある重大な秘密に辿り着き、その真相を知るためハリソン・フォード演じるかつてのブレードランナー、デッカードの行方を追っている。 冒頭でデイヴ・バウティスタ演じる男に、デッカードの行方を問いただすK。 レプリカントを製造するウォレス(ジャレッド・レトー)は、「“彼”が鍵を握っている」と言うが、彼とは誰を指すのだろうか? そして、デッカードの居場所をつきとめたKは、過去に何があったのかを彼に問う。前作『ブレードランナー』でレプリカントの恋人レイチェ ルと逃亡したデッカードがその後どうなったのか・・・
Filmarksより引用
前作の続編なので前作の世界観を引きずって世界構築されているのですが、一度世界的な大停電でパニックになり記録が大部分消失してしまった後の世界という事になっています。
前日譚が映画公開前に3本YouTubeで公開されて現在でも見ることが出来ます。これ見ておくとより深く世界観を理解できるのでオススメです。
アニメーションで新型による旧型の解任を描きます。
2作目はウォレスの物語です。
3作目はサッパー・モートンの逃避行の物語です。
すべて、「ブレードランナー2049」につながる前日譚で、公開前のYoutubeで動画配信されました。
前作のイメージを壊さないように繊細に設定を新しくアップデートしています。
今回はストーリーや演出についてはいろんな映画サイトにより詳しく解説されていますので、それ以外の楽しめる部分を紹介していこうと思います。
まず、そのひとつがグッズです。
前作劇中に出てくるいろんなアイテムやガジェットがカッコよくてそれらを集めるコレクターの間で高値で売買されるほどになっていました。
今作はむしろそうなる事が見込まれていたので、最初からグッズ展開されているモノも数多く存在します。
主人公 K が持っている銃「ブラスター」のモデルガンや、酒を飲む時のグラスなどがあります。
飛行する自動車「スピナー」も目玉のメカニックです。前作との違いはもちろん進化もしているのですが製造メーカーがプジョーになっている事ですね。
こちらもプラモデル化されていますねー。
ソフトについても、最初からUHDブルーレイでの販売されていて、4K画質でこの美しくも荒廃した世界を体感することが出来ます。
サッパー・モートンの住んでいた昆虫農場の家のある荒野や、雑多な町中の喧騒や砂漠化したL.Aの巨大な女人像などを高画質のソフトで楽しむことが出来ます。
こんなの大画面の有機ELテレビで見たら最高ですねー。
また、FHD画質であれば、AmazonプライムビデオとU-NEXTで現在見放題配信中ですね。
主人公 K のホログラムの恋人ジョイ役のアナ・デ・アルマスとホログラムの身体では抱き合う事が出来ないのでその肉体を貸す娼婦マリエット役のマッケンジー・デイヴィス。
二人とも非常に美しい女優さんで物語の残酷さを一瞬和らげてくれる。
また K の敵役となるラヴ役のシルヴィア・フークスも美しく気の利く秘書でありながら、その上で冷酷な殺し屋の役を見事に美しく演じている。
それから、産まれたばかりなのに即座にウォレスに処分されてしまった最新型女性レプリカントの試作モデル役のサリー・ハームセン。見事なプロポーションでした。
前作のヒロインのレイチェルはローレン・ペタという女優さんにモーションピクチャーでCGをかぶせてほぼほぼ前作の姿のままでの登場でした。これも驚きましたね!
前作レイチェルを演じたショーン・ヤングがアドバイザーとして現場に参加していたそうです。
体型や顔つきが似ているローレン・ペタの演技の動きをショーン・ヤングが指導する事で、非常に自然なレイチェルが画面に復活します。
ラブシーンを最新技術をつかって見せます。
ジョイはKと直接抱きあうために娼婦のマリエットを雇い、その肉体にホログラムである自分の身体を重ね合わせて動きを同期させます。
表情がジョイとマリエットと混ざり合って、なんとも不思議な、でも非常に美しく幻想的な映像に仕上がっています。
「ブレードランナー」の世界はサイバーパンク運動に影響を受けているので、疎外感と雑多なアジア感が随所に見られます。
中でも K が住んでるアパートなんかはいい例で、古いオフィスビルを改装して安く部屋を貸し出してるのですが、屋上にそのアパート名の看板があります。これがカタカナの看板なんですよね。ジョイが部屋から初めて外に出るシーンなのですが、少し気になり調べてみました。
どうやらアパート名は「メビウスアパート」で本編映像で映るのは「ス」と「ア」です。
ちなみに「メビウス」はリドリー・スコットや宮崎駿や大友克洋などいろんな作家が影響を受けたフランスの漫画「メビウス」から取ったんだそうです。
この世界ではもはや立体映像は当たり前のものになっています。しかも見ている者に関連付けられた広告が立体映像で現れるようになっています。
Kはジョイを購入したので、ジョイのCMがKに向けて魅惑的な宣伝を映し出します。
ラスト近くでは、失われた恋人ジョイを思っていると、そのCMが現れて「Good joe(グッドジョー)」と言ってKを指さします。
ジョイが以前、「あなたはいい人」と言っていたそのままのセリフを聞かされます。
ジョイはホログラムであくまでもプログラムされたものであり、自分も決して人間ではないのだと突きつけられる非常に悲しいシーンです。
しかしKは、だからこそ一度は父親だと思ったデッカードを娘に会わせるために命を懸けて守り抜くわけです。
自分が憧れた「人間」であり「家族」が失われないように力を尽くすわけです。
Kは自分の断片的な記憶と、出自の謎を追っていきます。
断片的に語られるものが、ひとつひとつはまり込んでいって、最終的に自分が何者なのかを知ります。
記憶に苦しみ、しかし憧れる家族の絆をそこに見出し、自分がもしかして本当は、、、、
Kが感じている事はまさに人間の感情の起伏と同じように見えます。だから見ているこちらもKに感情移入していくような作りになっています。
人間とレプリカント、人間的なものと非人間的なもの、現実と夢現つなどの境界があいまいになっていきます。
これはシュルレアリスムとも言えます。
シュルレアリスムは現実と虚構、意識と無意識などの境界を取り払う表現主義です。
1作目もそうなんですが、冒頭で画面いっぱいの目のアップが映し出されます。
「この物語は、現実と虚構、人間と非人間、などの境界が曖昧な世界を描いていますよ」というメッセージを冒頭に目のアップを映すことで表しているのだと思います。
前作の「ブレードランナー」もそうなんですが、ハードボイルドが基本スタイルで、曇っていたり、雨だったりの鬱陶しい薄暗い景色がず~っと続きます。
ド派手なアクションも特になく、何も考えずに楽しめるという感じの作品ではありません。
自分は大好きなテイストですが、前作を知らずに思い入れもなく見た場合はあまり面白いとは言えないのではと思います。
何度も見るうちに毎回発見があったり、観れば見る程とはまっていく感じの映画ではあります。
雰囲気に浸りたい時にどっぷり浸れるという良さはあります。
スタイリッシュで、ハードな美しい映像が良いです。
物語もいいんですが、それ以外の部分がどれほどこだわって作られているのかが映画の世界観に奥行感を与えて、リアルさにつなげる強い影響力になるんですね。
「ブレードランナー」、「ブレードランナー2049」ともに物語以外の部分が非常に魅力的です。
だからこんなにも長い間愛され続けるのでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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