2021年6/25(金)~公開の映画『夏への扉-君のいる未来へ-』。
この映画は原作、ロバート・A・ハインライン著「夏への扉」を映像化したものです。
今回は映画の方ではなく、映画をより楽しんでいただくために両方の作品を紹介いたします。
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
1956年にアメリカの作家ロバート・A・ハインラインによって『ザ・マガジン・オブ・ファンタジイ・アンド・サイエンス・フィクション』詩に発表された作品です。また日本では1958年に刊行されました。
タイムトラベル小説で名作として世界中で長く親しまれています。早川SF文庫でもオールタイムベストとしても有名な作品。ずいぶん前の作品であるにもかかわらず、多種なランキングで1位を獲得することが今でもある作品です。
タイムトラベルやロボットというSF、アドベンチャー、青春、恋愛、そして猫、が好きな方、またそうでない方でも楽しめる作品です。
映画作品は2021年公開の三木孝浩監督作品。
脚本:菅野友恵
音楽:林ゆうき
主演は山﨑賢人。
出演:清原果耶/夏菜/眞島秀和/浜野謙太/田口トモロヲ/高梨 臨/原田泰造/藤木直人
主題歌: #LISA「サプライズ」
舞台として1995年および2025年の日本に変更されています。ロボット科学者が未来を取り戻す冒険物語。
1995年ということで劇中でMr.Childrenの「CROSS ROAD」が使用され非常に懐かしいです。
割と原作に忠実に脚本が起こされています。
原作の良い部分を残しつつアレンジを効かせた感じになっています。
◆小説
ダンと親友のマイルズは会社を設立し、ダンは開発、マイルズは経営を担当しました。ダンの家事用ロボットが成功し、ベルを経理担当として雇いますが、やがてダンとベルは恋人関係に。しかし、経営方針を巡りダンとマイルズは対立し、ベルがダンを裏切ります。ダンは会社を奪われ、失意の中で冷凍睡眠を選びます。目覚めたダンの目の前に広がる未来世界とは!!
◆映画
1995年、優秀な科学者の高倉宗一郎は、亡き養父・松下の会社でロボット開発の研究に没頭していた。自分を慕う松下の娘・璃子や愛猫に囲まれ、穏やかで充実した日々を送る宗一郎。ところがある日、信じていた人に裏切られ、会社も研究成果もすべて失った上、冷凍睡眠で未来へ送られてしまう。30年後の2025年に目を覚ました彼は、璃子が謎の死を遂げていることを知る。宗一郎は、再び1995年に戻り彼女を救おうと奔走する。
世界中の科学者が時間と空間についての研究を行っています。基本的には「未来に行く事は可能」であるが、「過去には行く事は不可能」だと言われています。
これは冷凍睡眠により仮死状態のまま眠りにつき、年月を過ごせば、目覚めた時には過ごした年月分未来に行けるという訳です。
『夏への扉』でもこの冷凍睡眠によるタイムトラベルをまずは行います。
歳の差があるカップルがタイムトラベルを利用してその差を埋めてしまいます。
幼女を自分の好みに合う女性に育てる光源氏に似て、最終的に主人公と歳の差がある少女はタイムトラベルで辻褄を合わせて最愛のカップルになります。
電八の周囲では光源氏になぞらえて「光源氏計画発動!」と言って笑っていました。
実はタイムトラベル作品には2大潮流のようなものがあります。
それが「予定調和」作品と「時間線改変」作品です。
現代から過去へタイムトラベルしたとしてというところでそれぞれの違いを説明すると、
「時間線改変」では過去が変わったことで、タイムトラベル前の現代も未来も書き換わってしまい別の現代と未来になってしまいます。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はこの『時間線改変』作品です。
「予定調和」では、過去を変えた事も元の現代に繋がる原因のひとつという考え方なので、元の現代のままで改変は起きません。
日本映画の「サマータイムマシンブルース」は完全に「予定調和」作品ですね。
この2つの大きな違いは時間の流れを変える事が出来るか、出来ないかの違いです。
さて「夏の扉」は原作・映画共に「予定調和」作品です。
こういう観点から読んで(観て)みるのも楽しみ方の一つだと思います。
タイムトラベル作品で世界的に大ヒットと言えば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ですが、「タイムトラベルで過去を変える」「自分自身との遭遇」「倫理的に改変することが許されるのか」など「夏への扉」の影響を大きく受け、アイディアの素になったそうです。
また、タイムトラベルを扱う作品においてこの作品の影響は必ず多少なりともある事でしょう。
日本において、タイムマシンで有名な作品と言えば「ドラえもん」ですが、やはり「のび太の恐竜」などタイムマシンを扱う作品では、その影響が諸所に見て取れます。
藤子・F・藤雄も影響され『ドラえもん』を思いついたとインタビューで答えています。
この作品は時間の流れと共に増えるもの、減っていくもの、産まれるもの、失われていくもの、変わっていくもの、変わらないものといろんなものを時間の流れと関連付けて観ていくと、きっと良い作品であることが実感していただけると思います。
2021年12月よりBD/DVDが発売されています。
※2022/5月より動画配信サービスによる配信が開始されました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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