実は家電量販店において、そろそろTV商品説明という職業で10年選手になりました。
そして家電量販店では10年はまあ、ベテランと言われる位置にいると言われています。
という事で、普段このブログを読んで頂いている方だけに商品の選び方、値段交渉法、注意点を伝授致します。
年1回のモデルチェンジは何のため?
家電量販店で売られている商品のほとんどが、定期的にモデルチェンジをします。これが「何のためなのか?」をまず理解する必要があります。
実は、商品は全く同じものを販売し続けると価格が下がっていきます。つまりメーカーは開発コストを回収し、利益が出るようになりますが、価格が下がってしまっては、より数を販売しなければなりませんが、全く同じ商品が同じ値段で売れ続けることはありません。売りたくても売れなくなってしまう訳です。(例:今更10年前のテレビを当時のままの値段では買いたくはないですよね?)
さらに多種費用(人件費、開発費、宣伝費、その他)がかかります。費用自体は変わらないのに商品の値段が下がって行ったら、利益はもちろん出ず、その上さらに値段が下がって行くので利益はマイナスになってしまします。
そこで定期的にモデルチェンジをして付加価値(新しい規格に対応、新しい機能が増えるなど)を与え、単価を出来るだけ高く維持するのが目的となります。
新機種が出たら現行機種が値段下がる?
接客させて頂いて、上記の説明をすると必ず「じゃあ、新機種が出たらもっと値段下がるよね?」という言葉が返ってきます。
いや、よく考えてみてほしいのです。
新機種が発表になった時点でメーカーの生産ラインには現行機種はもうほとんど載っていないです。だって利益率の高い新機種をガッツリ生産していますから。現行機種なんてメーカーからすれば利益率の下り切った商品です。そんな商品を長く販売したいわけないのですから。それもさらに値段下げてまで。
つまり、新機種発表後というのはすでに値段の下り切った状態だという事です。もちろん家電量販店側では販売できなければ売り上げに繋がらないので多少値段を下げることはあります、でもそれは大した金額差ではないことが多いです。
以上を踏まえ、今現在はどうなのか?
今年はもちろんコロナ禍の影響が大きく、実はモデルチェンジの時期が1~2ヶ月ほどズレ込んでいます。
通常は2月~3月に掛けて新モデルの発表があり、4月~7月で順次発売というのが通例ですが、ずれ込みまして1ヶ月ほどズレ込んでいます。
つまり、先月5月~今月がモデルチェンジのピークで2020年モデルは次々と生産完了となって行っている時期なのです。
ええ、よく言う「買い時はいつ?」は昨年モデルに関しては先月から今月にかけてなんです!!
これ、接客時に言うと全く信じてもらえません。しっかり上記の理由も話しているにも拘らずです。
値段は「上下する」を理解できない人がいます。
そして、そういう人は必ずこう言います、「で、いつが安いの?今言った値段が適正価格かわかんないからねー(笑)」
答え:周囲の相場や売れ行きで値段の変動する値は決まるのでその時にならなければ分かりません。
ですが、店員は経験上、その時点でのその値段が安いのか高いのかは把握できています。「昨日まで○○円表示だったものが、今日は下がって△△円になっているので安いですよ」と言っている店員の言葉は信じてよいです。具体的かつウソを言っても店員に何のメリットもないのですから。
その日の後値段が下がっていたとしても、それは店員がウソを言っているのではなくてたまたま特に値段が下がる要因が何かあったというだけです。そこまで把握なんて誰にも出来ないし、そもそもモノの値段の変動は予想できないものですから。
て言っている店員のいう事を「騙されるもんか」とその時を逃せば、値段が自分の思った金額よりも跳ね上がることも少なくありません。
あなたの欲しい時にその時の値段で買えるかどうかというだけ。
そして、「適正価格」という言葉を誤って認識している方が多いです。
「適正価格」とは、商品の性能と自分の「欲しい」という度合いが釣り合った価格の事です。自分以外の周囲の人々が言う値段と比べたものは「適正価格」とは言いません。
なぜなら、不便を何ヶ月も感じても安いモノが欲しいというのはむしろコスト高ですよね。欲しい時に値段が高いからと言って買うことが出来ずに我慢する期間はコストです。
多少高くても、自分の欲しい時に買い、いち早く買ったモノでの快適な経験はお金をかけるだけの価値のあるモノですよね。
例えばユニバーサルスタジオで、ユニバーサル・エクスプレス・パスを購入すると、通常の入場券より割高ではありますが、ひとつひとつのアトラクションの待ち時間を短縮できますよね。
そうです。人生の残されている時間は有限なのです。
その時間の中で購入するTVがいつ自分の目の前に存在し、より快適な経験をより早く長く与えてもらうかというのが重要かつお金をかけるか否かの判断のしどころなわけです。
2か月前に1万円高く買った人と2か月後に買った人を比べた場合、2か月早く新しい商品で新しく快適な経験をすることが出来るという事に価値があるのです。
2ヶ月早く買った人は、2ヶ月快適に過ごし、その上、TV購入のために「その後の2ヶ月考える」というエネルギーを節約できていると言う訳です。しかもそのエネルギーを他の自分のためのもっと有意義なことに使えるわけです。
もちろん、人によって金額に対する感覚や重みは違いがありますが、「早く快適になる事」と「掛けた期間分のエネルギーの節約」という2点だけでもお金を出す価値があると思います。
世にいう「買いたい時が買い替え時」と言うのはそういう事なんですよね。
値段交渉時に考えたい事。
値段交渉が下手な人が多すぎます。そして関東と関西でも違いがあります。少しその辺を偉そうにレクチャー。
ただ「安くして」は「できません」としか言いようがないです。「他店が1円でもやすいなら言ってください」と言うのがどこの量販店もやっているスタイルなのです。
つまり「あそこの店はこんなに安いのに」という大義名分がまずは必要です。もちろんこれがあってもできる時と出来ない時があります。ちなみにその日の値段でないと対応できません。
なぜなら商品の値段は日々変動するものだからです。
そして関西式だと、例えばTVで値段を提示した後に「なら、ケーブルと長期保証を値段そのままでつけてよ。」というのがあります。が、これは関東では通じません。むしろケーブルやその他の小物商品を買ってもらって少しでも利益を上げたいところですから。
関西では、こういうやり取りが当たり前なので、まずはそれ込みでの値段提示から始めるそうです。
なので値段を出しやすくするためには、
当日に「○○店で△△円だった」という具体的なモノが必要です。
その時、ポイントが何%ついたか、支払い方法(カードor現金)や、TVならばリサイクルのTVがあるかどうか、などより詳細なほうがよいです。
競合するものがあれば、大義名分で値段を出しやすくなるのです。
ただし必ず100%安値を出してもらえるわけではありません。
そこを店員に対して「なら、他行きますわ~、どする?」みたいなのは嫌味なだけで逆効果です。店員が人間だという事を考えれば、赤字の値段を嫌味な客に提示する必要がないですからね。
赤字出すくらいなら「どうぞ、その安いところで買ってください」となってしまいます。
もっともスマート且つ安値を引き出す方法。
- 自分が買いたいと思う店舗を決める。
- なず買いたい店舗とは別の店舗に行く。
- そこで価格ドットコムの最安価格を言って値段を出してもらう。
- 店員の名刺に値段を書いてもらい検討する旨を伝えその場を離れる。(食事しながら検討したいとか。)
- 買いたいと思っている店舗に行き、もらった値段を書いてある名刺を渡し「少しでもこの価格より安ければ買います」もしくは希望価格を伝える。
- 値段を出してもらう。OKなら購入手続きへ。
こうすれば、ネット最安価格よりも安く、店員に嫌がられることなく値段を出してもらいやすくなります。
ポイントは3つ。
- 大義名分を店員に与える事。
- 「値段が出れば買います」という意思表示。
- お願いベースでの「もう一声」交渉。
以上が値段を出しやすく、店員に嫌がられることもなく、むしろ店員がどうにかならないか上役に自分から交渉してくれるようになる方法です。
注意点
お願いベースでの交渉、というのがベストです。
これには理由があります。
「客」という立場を利用して上から目線でモノを言ってくる人がいますが、立場上の正当性が少しでも欠ければ絶対に思う通りにしてあげたいとは思えなくなってしまうからです。
店員は売上向上のために居るのであって自称「客は神」の御用聞きをする暇はありません。
なぜなら他に高額の商品をたくさんお買い上げしてくださる上に値段交渉などほとんどなさらない、正に「神様」のようなお客様がいるので、たかだかTV1台を値引きしてくれというそれも上から目線の客に割いている時間はないのです。買うにせよ買わないにせよ、さっと済ませてしまいたいのが人情でしょう。
あなたにとっての「高額」は売る側にとっての「高額」とは限らないです。そして決してその本心は客には明かさないです。単純に価格が高いというのもそこから外れます。利益率というのがあります。利益率の高い商品を店も店員も売りたいのですから、どんなに価格が高くても利益が少ない商品は結局大して喜ばれません。
よく「おすすめベスト3」なんて貼りだしてありますよね。コレ、実は利益率の高い順です。なにがおすすめかと言えばお店が儲かる率の高い順なのです。売れているとか人気があるとかとは全く別です。
「プロフェッショナル」な人間ほど客に本心を明かすことはないです。笑顔の裏では利益率の高い商品をどうやって買ってもらうかを考えているのです。
これが商売の基本という教育を受けているのです。
つまり、メーカーの人間はそのメーカーの商品を売りたいのは当たり前なわけです。
さらに言えば家電量販店社員は利益率の高い商品を売りたいわけです。
両者ともあなたが本当に必要とするモノを一緒に考えてくれる存在ではないです。
つまりどれがいいのかを店員任せに聞いていたら、本当に自分に必要なものは買えないという事です。
せめて性能だったり、これだけは自分にとって必要なのだというものを具体的に持っておかないと、良い買い物というのはなかなか難しいという事です。
現在はネット社会です。必要な情報はインターネット上にいくらでも無料で転がっています。家電なんて詳細な性能から、付属品、アクセサリーに対応してるその他周辺機器までなんでもネットで調べらるのです。しかもその商品の今現在の最安値も無料で分かります。
何でもググるのがまずは買い物の第一歩なのかもしれません。
コメント
もっともスマート且つ安値を引き出す方法の記事、成程と思い読ませて頂きました。
実は先月、10年使っていた洗濯機が脱水をしなくなり急遽買替えたのですが、知らずの内にスマート且つ安値を引き出す方法に似た手法になっていた様で、本命の3軒目の家電量販店でベストプライスを頂けました。
最高値と最安値で約9,000円差が出たので、購入前に電八さんの記事を読めていたら…と思ってしまいました。
スマートな買い方に変化が有りましたら追記を是非お願いします!
記事を読んでいただきありがとうございます。
相手の店員も人間なのであまりしつこく食い下がっても値引きに積極性を欠いてしまいます。
9000円もお得にお買い物出来てよかったですよね!!