見た感じから痛いホラー映画です。
この映画はとにかく怖いのもそうなのですが、グロくて、痛くて、オシャレなんです。
※注意1:ネタバレを含んでいます。作品をご覧になられていない方にはオススメ出来ません。
※注意2:この作品はショッキングな描写や刺激の強い表現がかなりある作品です。気分を害される恐れがあります。
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作品概要
1987年イギリスのホラー映画で、原作者であるホラー作家のクライブ・バーカーが監督、脚本を手掛けています。
原作は「ヘルバウンド・ハート」という作品で1986年に発表、翌年映画化されています。
彼のスティーブン・キングがクライブ・バーカーの作品を絶賛しています。
設定や世界観、デザインなどが人気で今までに7作の続編が作られています。
ざっくりあらすじ
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フランクは「組み替えることで究極の性的官能を体験できる」という「ルマルシャンの箱」と呼ばれるパズルボックスを手に入れて、究極の快楽を得るためにパズルボックスを組み替えることに成功したが、その代償に肉体を失い地獄へ。
数年後、カースティは父と継母と共に行方不明になった叔父フランクの家に引っ越してきた。
しかし継母ジュリアが男たちを家に連れ込んでいることに、カースティは気づいてしまう。
しかもそれは男たちの血肉を使って、フランクを蘇らせようとしているのだった!!
セノバイトとは
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パズルボックスを組み替えると現れる異様な姿をした者たちはセノバイトと呼ばれます。
セノバイトとはもともと、修道士とか修道女など共同生活する宗教グループの一員という意味だそうです。
なのでピンヘッドをはじめとするセノバイトは魔導士と訳されています。
彼らの能力はすべて人間に極限の苦痛を与えるためのものです。最終的に魂を引き裂き地獄へと堕としてしまいます。
彼らの与える極限の苦痛が究極の快楽に変わった者のみが、彼らと同じセノバイトへと変貌する事ができます。
シリーズが進むと彼らの正体が描かれるようになります。
もともとは人間だったことが明らかになります。
彼らの特徴はボンテージファッションに身を包み、身体の一部を意識的に傷つけていることです。
自らに苦痛を与えることで、より究極の欲望を追及しています。
ピンヘッド
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この作品シリーズ通してのキービジュアルなのが、頭に無数の釘を打ち込んでいるのが衝撃的な風貌のピンヘッドと呼ばれるセノバイトです。
セノバイトたちのリーダー的な存在としても描かれているのでインパクトも強いからでしょう。
デザインの完成度が非常に高いのと、もともと人間だったということに説得力を持たせることが出来る唯一のキャラクターでしょう。
他のセノバイトたちはなんだかんだ言っても「化け物」ですからね。
そしてやはり人気も高いです。
彼だけが全シリーズに登場します。『ヘル・レイザー』(2022)のみピンヘッドは女性になっています。
技術に支えられているグロ描写
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主人公カースティの叔父フランクは一度肉体を失うがジュリアの協力で他人の血と肉により肉体を少しずつ取り戻していく、というのが描かれています。
これがすさまじく生々しくてグロいです。
最初に脳と神経組織がよみがえり、その後骨や筋肉などがだんだんとついていく。フランク自身も肉体の感覚が取り戻されていくことを実感していくというのが煙草を味わうということで表現されています。
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グロいのですが「凝っている」「作り込まれている」というのを超えて本物がそこにあるように感じられるのがすごいです。
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ルマルシャンの箱のパズルを解くと異空間への門が開かれそこから、4人の魔導士(セノバイト)が現れます。
彼らのそのむごたらしく異様な姿もグロいです。
これらは特殊効果の技術がこの頃は格段に上がってきて、いろんな技法を使って実現させています。すごい!の一言です。
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オシャレなデザイン
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まずは、異空間への門のカギとして出てくるパズルボックス「ルマルシャンの箱」です。
このパズルボックスがとにかくオシャレです。
金色の金属製キューブに描かれた幾何学模様が複雑で高級感があります。形が変わっていくのもまたカッコいいです。
ボンテージファッションをいち早く取り入れている
そしてセノバイトたちの恰好がいわゆるボンデージファッションなんですね。
当時はごくごく一部の人しかこういったデザインの服を着る事はなく、この映画で初めてこんなデザインのコスチュームを見た人が多かったんじゃないだろうか。
バーカー監督はセノバイトの容姿は、「パンクとカトリック、そしてニューヨークとアムステルダムで訪れたSMクラブからインスピレーションを得た」と語っているようです。
異世界からやってきた魔導士という、設定にピッタリハマっています。
この映画のデザインはその後のいろんな作品に大きな影響を与えています。
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例えば、「マトリックス リローデッド」のジャケット画像ですが、立ち位置やファッションといい、周囲を覆っているレンガ造りの壁やアーチなどは「ヘルレイザー」のルマルシャンの箱を解いて、現れたセノバイトたちそっくりですよね。
その他にも
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などなど、ボンテージファッションを取り入れている作品はたくさんあります。
これらの先駆者が「ヘルレイザー」であったと言えると思います。
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究極の苦痛と快楽
「快楽の源となる苦痛、拘束と恐怖の下での道徳性」がテーマとなっているそうです。
2作目でフランクが極限の苦痛を受けるのですが、これは究極の快楽を目の前に自分は全く快楽を得ることが出来ない永遠の時間というものでした。
究極の快楽は、自身の精神・肉体に強烈な刺激を与え続ける事です。これはつまり痛みの事です。
小説版の「ヘルバウンド・ハート」では全身の感覚が究極に研ぎ澄まされ、身体に当たる気体分子に強烈な痛みを感じ、目はほんの少しの光でも視神経が焼ける程のまぶしさを感じ、鼻は多種多様な空気の匂い分子のすべてを強烈に感じとり、耳にはほんのわずかな音でも轟音の様に鼓膜を打ち振るわせるように感じる。
強烈な刺激にすべてを痛みとして感じるというような描写があります。
だからこの映画は見てるだけで痛い事が何度も起きます。
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非常に人気が出たのでシリーズ化
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実はすごく人気が高くて、11作ものシリーズになっています。
- ヘルレイザー2(1988年)
- ヘルレイザー3(1992年)
- ヘルレイザー4(1996年)
- ヘルレイザー ゲート・オブ・インフェルノ(2000年)
- ヘルレイザー リターン・オブ・ナイトメア(2002年)
- ヘルレイザー ワールド・オブ・ペイン(2005年)
- ヘルレイザー ヘルワールド(2005年)
- ヘルレイザー:レベレーション(2011年)
- ヘルレイザー ジャッジメント(2018年:日本未公開、ビデオスルーもなし)
- ヘル・レイザー(2022年)
現在、1作目のリブート企画が進んでいるのだそうです。
まとめ
ホラー映画でデザインや世界観などで多種な影響を残した作品だと言えるでしょう。
ホラー映画なので、怖くて、グロくて、痛いですが、オシャレでカッコいいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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