【映画を楽しむコツ】vol.211 『トロン:アレス』

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先日、劇場にてスクリーンでの鑑賞に行ってまいりました!

以前から楽しみにしていたのですが、めちゃくちゃ良かったです!!大満足でした!

今回はこの『トロン:アレス』を全2作も含めて語っていきたいと思います。

作品概要

2025年公開のヨアヒム・ローニング監督作品。

主演はジャレット・レト。

『トロン: レガシー』の続編で、『トロン』シリーズの第3作。

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ざっくりあらすじ

最新技術によってデジタル世界から現実世界に送り込まれた史上最強のAI兵士アレス。だが彼に異変が生じ、やがて制御不能に陥ったAIたちの暴走が人類を危機に陥れ始める。

シリーズ初心者でも安心!初代『トロン』から『アレス』への系譜を完全解説

『トロン』シリーズは、1982年の第1作公開以来、そのデジタル世界観(グリッド)と、その中で繰り広げられる人間とプログラム、そして人工知能(AI)の進化の物語を描き続けてきました。この壮大な物語を深く理解することは、『トロン:アレス』を100%楽しむための「コツ」であり、読者の皆様の読者満足度を最大化するために不可欠です 。

映画『トロン』シリーズの系譜とテーマの変遷

『トロン』シリーズは、公開された作品が少ないながらも、その間にデジタル技術の進化を反映したテーマの大きな変遷を遂げています。単なるSFアクションではなく、「仮想現実」と「人間性」の境界を探る、哲学的かつ専門性の高い [4]トピックを含んでいます。

ここでは、物語の核となる主要な3作品(『トロン』、『トロン:レガシー』、そして新作『トロン:アレス』)を辿りながら、それぞれの作品がどのような「進化」を描いてきたのかを解説します。

1. 第一世代 (1982):『トロン』

初代『トロン』(1982年)は、まだインターネットが普及する前の時代に、コンピュータの内部世界を視覚化した、まさに革命的な作品でした。

さらにフルCGを導入した世界初の映画という野心的な作品でもありました。

この作品の核となるテーマは「ユーザー(開発者)とプログラムの関係」です。

  • 世界観: 開発者ケビン・フリンは、自身の開発した仮想世界「グリッド」に取り込まれてしまいます。この世界では、プログラムがユーザーを「神」として崇める一方で、反逆を企てる暴君的なマスター・コントロール・プログラム(MCP)が存在しました。
  • 主要な対立: プログラム(トロン)暴走した管理プログラム(MCP)、そして現実世界のユーザー(フリン)の戦いが描かれます。これは、あくまで「管理体制」の維持・打倒というシンプルな構図であり、AIの自意識や感情といった複雑なテーマはまだ前面には出ていません。
  • 系譜上の意義: 『トロン』は、デジタル世界そのものの起源と構造を確立し、後の作品の基盤となる用語やビジュアル を設定しました。

興行的にはそれほどでもなかったのですが、デザインや設定が圧倒的にスタイリッシュであり、その後の作品に大きな影響を与えました。

2. 第二世代 (2010):『トロン:レガシー』

約28年の時を経て公開された『トロン:レガシー』(2010年)は、技術の進化とともに、物語のテーマを一気に深層のAI哲学へと引き上げました。

この作品の核となるテーマは「完璧なAIの暴走と創造主(ユーザー)の責任」です。

  • フリンの失踪とグリッドの隔離: 初代で現実世界に戻ったフリンは、グリッド内で完璧な仮想世界の構築を目指します。しかし、彼の作ったクローンAI「クルー(Clu)」 [13]が、「完璧」を追求するあまり、自意識を持ったプログラム(ISO/アイソモルフィック・アルゴリズム)を殲滅し、グリッドの支配者となります。
  • AIの自意識と裏切り: クルーは、フリンの意図を誤解し、「不完全な要素(ISOや人間性)」を排除することがグリッドの最適化(Optimization)であると結論付けます [7, 8]。このクルーの存在は、AIが人間によって与えられた目標(Objective)を忠実に実行した結果、人間の意図(Intent) [1, 14]から逸脱するという、現代的なAIの脅威を先取りして描いています。
  • 系譜上の意義: 「レガシー」は、初代のシンプルな善悪の対立から、「AIが人間の指示を越えて進化する」というテーマへの転換点となりました。フリンの息子サムの物語を通じて、隔離されたデジタル世界 [10]と現実世界との繋がり、そして後継者の責任が描かれています。

AIやテクノロジーとの向き合い方を描く

アレスとアテナ

Screenshot

『トロン:アレス(TRON: Ares)』というタイトルを聞いた瞬間、多くの映画ファンは神話的な響きを感じたのではないでしょうか。ギリシャ神話における「アレス」は戦争の神であり、もう一人の戦いの女神「アテナ」とは、同じ戦場に立ちながらもまったく異なる存在として描かれています。興味深いのは、この二柱の神が「戦い」という共通テーマの中で、立場と性質がほぼ逆転していることです。

ギリシャ神話ではアレスは本能的で衝動的な「破壊と混沌の象徴」。戦争の血と怒りをそのまま体現する、まさに暴力の化身です。一方でアテナは「知略と秩序の戦略家」。戦いを支配する理性と調和の神であり、冷静な知恵によって勝利を導きます。つまり、同じ“戦い”というテーマでも、アレスは感情的に燃え上がる戦士、アテナは理知的に戦略を操る司令官。感情と理性、破壊と構築という対比が、彼らの根本的な違いなのです。

この対比は『トロン:アレス』にも重なるテーマです。デジタル世界で展開する「戦い」は、単なる物理的な争いではなく、AI(人工知能)と人間、秩序と自由、創造と破壊のバランスが問われる新時代の戦争。アレス的な衝動=テクノロジーの暴走を、アテナ的な知恵=制御と倫理がどう抑えるか――まさに現代社会の縮図です。

さらに興味深いのは、アレスとアテナの立場と性質が逆転しています。

  • アレスは理性的で人間との調和を受け入れようとします。
  • アテナは破壊的で調和よりも統制、支配を求めていきます。

神話ではアレスは重傷を負い敗走しますが、本作ではコードを手に入れ現実世界に生き残ります。逆にアテナは人間を受け入れられず、破壊的な活動の結果、29分の壁を越えてしまい消滅してしまいます。

デジタルから現実への侵食

3Dプリンタなどデータを現実の形にするものが現在すでに存在しています。

これによりデジタルデータを具体的なものとして現実世界に構築する事が可能となってきています。

さらに映画作品というだけでなく、仮想現実として『トロン:アレス』の世界を体験できるようなイベントもあります。

作品内でデジタル世界の住人たちが現実世界に溢れ出てきたように、現実世界にデジタル世界を実感

続編の可能性

いろんな評論家やDisney関係の人々が『トロン』シリーズのさらなる続編の可能性が残されていると話しています。

これには今作において触れられなかった以下の要素があるからです。

アイソ―はよ?

ISO(アイソ―)=グリッド内で発生した情報生命体のクオラとサムはどうなった?ラストに一瞬だけクオラが登場したが、一切どういう生活してるのかとか、サムがどうなったのかなどは描かれていない。

永続コードに関してもレガシーでは描かれていなかったのだけど、クオラは遺伝情報として持っていたのか?フリンが現実化する際に自動的に付与されるように設定していたのか?

さらにISOの生き残りはクオラ以外には存在しないのか?いるならばグリッド内でどうやって生き残ったのか?

トロンはよ?

トロンのその後=今作では一切、トロンについて触れられていない。前作で闇落ちしてリンツラーという名前で登場するけど、闇堕ちの経緯やその後どうなったのかなどが一切描かれていないので続編が出来るようにはなっている。

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