80年代アニメーション作品の傑作!「AKIRA」をご紹介させていただきます。
このアニメこそが、全世界に「日本のアニメここにあり!」と知らしめた、まさに金字塔というにふさわしい作品です。
その、何がすごかったのかを語っていきたいと思います。
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
作品概要
大友克洋による日本の漫画『AKIRA (漫画)』を原作とした1988年7月16日公開の長編アニメーション映画。
監督・脚本を原作者の大友克洋が手掛けています。
しかも、当時『AKIRA (漫画)』はヤングマガジンに連載中であったため、アニメは独自のエンディングへと展開しているのが特徴です。
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圧倒的な手描きによる作画が非常に高質で、プレスコ手法が採用されている事でも話題となりました。
さらに日本だけにとどまらず、海外での評価も非常に高く、全世界に熱狂的なファンをもつ作品となりました。
ざっくりあらすじ
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第3次世界大戦勃発後の「ネオ東京」では、軍の指揮下で超能力の研究が進められていた。そんな中、不良グループがオートバイで高速道を疾走していたところ、突然現れた奇妙な小男を避けきれずにメンバーの1人が転倒。そこに現れた軍部のヘリコプターが小男と彼を連れ去る。残されたメンバーは、彼を探すうちに、最高機密「アキラ」を取り巻く軍やゲリラの戦いに巻き込まれていく。
Googleより引用
当時の「近未来」を描く
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公開された年から考えると、30年後の近未来の東京を描いています。
しかししっかりとしたモチーフがそこには存在します。
それは1960年~70年代の学生運動です。
竜やケイは反政府運動をゲリラ的に行っています。だからセリフや恰好、考え方などが学生運動そのものです。
一方、金田たちは80年代の「不良」とか「ツッパリ」そのままです。
現実での学生運動は敗退に終わり、その後若いエネルギーをぶつける対象を失ってしまいとにかく大人に対して反抗する「不良」たち。
金田たちのモチーフはそんな「不良」たちです。だから大人にいちいち反抗し、ケンカ、バイク、度胸試しばかりして過ごしています。
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ただ、そんな自分たちを金田は「健康優良不良少年」と呼んでいます。
これは「不良」だけど「クスリ」や「売春」には手を出していないので、身体的には健康そのものだからなんですよね♪
世界観
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政府の一部の組織が非人道的な超能力の研究を行っていたのですが、究極の力を持つ”28号”個人名「アキラ」を育てる事に成功します。
しかし、超能力の実験中に「アキラ」は暴走。都心で大爆発を引き起こします。
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これを引き金に第三次世界大戦が勃発してしまいます。
それから31年後の2019年。
都心地区は大爆発により復興が出来なかったため、東京湾を埋め立て新たな土地を構築します。
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そこは以前にも増して超高層建築群がひしめくように聳え立つ巨大な都市へと発展します。
このエリアの名前が「ネオ東京」という訳です。
超能力
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この物語の肝ともいうべきものが「超能力」です。
原作「AKIRA(マンガ)」の表現として、この宇宙では摩擦がなければ、そもそもすべての物質は光速で移動するエネルギーを持っています。
つまり「静止」するというのはそれぞれの物質や物体に、引力や重力などいろいろな摩擦が加わって「静止」出来ている訳です。むしろエネルギーの収支を考えれば、静止する事の方がはるかに莫大なエネルギーを内に宿すことになるわけです。
このエネルギーを例えば「アメーバ」のような生物が一気に解放させたとします。
要するにまったく意思が介在しない、それも膨大で純粋なエネルギーがその場に作用するわけです。
この膨大で純粋なエネルギーにアクセスするための扉を開ける能力が「超能力」という設定です。
これって、完全に「核エネルギー(原子爆弾)」のイメージですよね~。
質量解放エネルギーともいいます。
例えば水素原子一粒の質量を100%開放すると莫大なエネルギーになるそうです。
どのくらいかというとたった一粒の水素原子で太陽を5000年間も燃やし続ける事が出来る程だといいます。
テレキネシス(念動力)
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サイコキネシスとも。
物や手を使わず、遠隔で物体を思うままに動かすことが出来る超能力です。
画像は鉄雄がテレキネシスで空気を圧縮させて金田が撃ったレーザーを屈折させているという描写です。このほかに、自分を浮かせて空を自在に飛び、空気を自分の周囲にまとわりつかせて宇宙空間でも息が出来るようにして活動可能にさせたりしています。
さらに巨大な岩を持ち上げたり、バラバラに砕いたりと何かと応用範囲の高い能力です。
身体の周囲の分子の振動を操作する事で体感温度を調節したりも出来ます。
テレポート(瞬間移動)
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超高速で移動する方式と、空間を捻じ曲げて行う方式があります。「AKIRA」では後者が採用されているようです。
瞬間移動するタカシが行う際、まさに「ス~っと」姿が現れたり、消えたりします。
つまり、向こうの空間からこっちの空間(その逆も)へと自分が移動するのではなく、空間を捻じ曲げているのだと思われます。
テレパシー(精神感応力)
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直接、脳に言語として理解できる信号を送信したり、逆に受信したりすることで音声や言葉を使わずにコミュニケーションできます。
また、相手の考えている事が理解できます。さらに自分が思ったイメージを相手に伝送することも出来ます。簡単に言うと相手に幻を見せる事が出来るという訳です。
他人の脳波をコントロールして、自分の思った通りに行動させる事も出来ます。記憶も操作できます。
さらに「選択」によって波及した影響を感じ取り、「未来の記憶」として映像イメージを見て未来予知をする事ができます。
キヨコは鉄雄をナンバーズに加えたことによって、アキラが目覚めたくさんの人が死ぬと予知しています。
超能力研究
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「AKIRA」の世界観では超能力はすでに存在が証明されています。
これを人為的に引き出すための実験が続けられていました。
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超能力の素養がある子供たちを特殊な施設に集め、検体として人体実験や投薬実験、超能力の発動条件や種類や作用する原理などの研究などあらゆることを行っていました。
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老人のような顔をした子供たち、タカシ(26号)、キヨコ(25号)、マサル(27号)は実験のために集められた子供たちであり、度重なる実験の負荷で老人の様になってしまったのです。
さらにいうと、この子たち以外の子たちは恐らく皆、亡くなってしまったと推測されます。
鉄雄は41号です。つまり少なくとも登場する3人とアキラを含め、40人の子供たちがいたという事です。
徹底的にリアルな作画
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フルアニメーションと3コマ撮り、2コマ撮り
世界的に有名なアニメ作品と言えば、「ディズニー」ですが、ディズニーアニメ作品の特徴はフルアニメーションです。
フルアニメーションとは1秒24コマで撮影されるアニメで1枚、1枚すべてを描いてフィルムにする作品のことです。
つまり90分の作品であれば、129,600枚もの絵を手描きするわけです。(実際には繰り返しの部分などがあるので、枚数的にはもっと少ない)
非常に滑らかな動きを表現することが出来るというメリットがありますが、あまりにも動きがヌルヌルしていると感じてしまい気持ち悪いという人も少なくありません。
日本のアニメはまずテレビ作品から普及しました。これは毎週30分(実質は22~3分ですが、分かりやすい数値で)のアニメを放送するわけですが、作画枚数に直せば43,200枚。
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1週間という期限を考えると、1日で脚本・演出を行い、その後の3日でレイアウト・原画・作画・背景を終わらせ、次の1日で撮影、次の1日でアフレコ・録音、最後の1日で編集・プリント・納品を行うという感じのスケジュールになります。
(※実際のスケジュールは1~2ヶ月ほど前もって進められるので上記のような事は基本的にはありません。)
20人で作画するとして、3日間で1人頭、720枚も描かねばなりません。
1枚の作画をするのに慣れていても1枚20分はかかります。
と、考えれば大人数でかかればいいのですが、そこまでの人数を用意したりは出来ません。
費用と手間を抑え、且つ、表現する上でちゃんと鑑賞に堪え得るというところを突き詰める必要がありました。(作画コストを抑えるという言い方をします)
そこで日本のアニメスタジオでは3コマ撮りを基準にするようになりました。
逆に言うと、日本ではディズニーの3分の1の枚数で作品を表現することをとことん突き詰めてきました。
1秒間に24コマは同じなのですが、24コマを3コマずつ同じ絵で撮影します。つまり1秒間8枚の絵で済んでしまう訳です。
人間が割と自然に絵が動いていると感じられるギリギリの枚数です。
TVアニメ「サザエさん」はそぎ落とすだけそぎ落とした、実はすごい表現力のある作品なんですね。
絵柄を単純化・記号化した上で、動きを最小限にして止めの画も併用して出来るだけ作画コストを抑えています。
しかし、気になってしまうような違和感はほとんどないように出来ています。実にすごい。
日本のアニメでいわゆる力を入れたい作品では、どうしても滑らかに動かしたいシーンやカットに関しては、2コマ撮り(1秒12枚)、3コマ撮りを併用して表現する事を磨いてきました。
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これは完全に日本独自の職人の業といってよいと思います。
「AKIRA」は2コマ撮りを中心に、フルアニメーションとなるカットも併用しています。
圧倒的に緻密な描写のままダイナミックに動かすという事を行っているわけです。
だから「おお!」っと思わず声が出てしまうような素晴らしい映像に仕上がっているんですね。
圧倒的なリアルな描写
時代的にごく一部を除きそのすべてが手描きによるアニメーション作品です。
そして今作、「AKIRA」に関してはフルアニメーションに3コマ撮りで負けない表現が出来る日本のスタジオが、敢えて最低2コマ撮りでの作画での表現を行いました。
だからこそ、圧倒的なビジュアルイメージ、そして動き、大迫力の表現が実現できています。それもディズニーほどお金をかけずに最大の効果を発揮している訳です。
つまり、ディズニー作品の様に簡略化・記号化した絵柄ではなく限りなくリアルな絵柄を手描きで膨大な枚数の作画をしているのです。
さらに手描きで描いているのですが、望遠レンズや広角レンズで撮影された映像を意識して描かれた部分があります。
実写で映した時に出る雰囲気をそのままアニメで表現するという、とことんリアル志向な表現に拘っています。
繰り返して、まとめます!
3コマ撮りでもディズニーに負けない日本のスタジオが通常よりも表現力を出せる2コマ撮りで、簡略化・記号化されたものではなく非常にリアルな絵柄を表現しきったのが今作、「AKIRA」です。
こだわりのプレスコ手法
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「AKIRA」は日本のアニメ作品としては珍しく、プレスコ手法を取り入れています。
プレスコアリング (prescoring) の略です。
簡単に言うと、先に声優さんに演技をしてもらい、音声を録音します。
その録音に合わせて作画をしていきます。
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通常日本のアニメ作品は作画を先に行い、撮影した映像に後から声をあてるアフレコ手法が使われます。(アフターレコーディング)
プレスコ手法のメリットは、何と言っても声優の演技に合わせた作画なので、声にタイミングがバッチリと合った作画が出来るということです。
デメリットは、声優の演技に寄ってしまうので下手な演技の場合だとどこまでもわざとらしくなってしまうという事です。
そして何と言っても、台詞のタイミングを合わせるだけでなく、口の形を発音に合わせてAからGまでの7種類に描き分けられているのです。
サイバーパンク
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1980年代にSF界では大きな運動が起きていました。
それが「サイバーパンク運動」です。
一言でいうと、技術が過剰に発達したゴミゴミした都会の雑踏やギラギラしたネオンが印象的な近未来社会。
いまやサイバーパンクはSFのひとつのジャンルとして認識されています。
どういったのものなのかを簡単に言うと、
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- 過剰に進んだ技術
- 荒廃した近未来
- 疎外感
- ゴミゴミした雑踏とギラギラのネオン
などのイメージがあります。「AKIRA」は間違いなくサイバーパンクだと言えるでしょう。
大友克洋と宮崎駿
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日本のアニメ映画監督で有名人と言えば、宮崎駿監督です。
実は今作の監督、大友克洋とは意外な共通点があります。
彼らは、互いに手塚治虫からのマンガ・アニメの流れを脱するように作品を作り上げていきます。
お面白カッコイイ戦争や武器
手塚治虫から起こった日本のマンガ・アニメは世代的に戦争や戦後をリアルに経験した世代が描いているという共通点があります。
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大友克洋、宮崎駿以前の作家たちは「戦争」などを「お面白く」なんて描くことは出来ません。実経験があるからこそ、シャレで済ますことは決してできないのです。
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そして大友克洋も宮崎駿も戦争は知らない世代です。だから、”戦い”や”武器”をお面白カッコよく描きます。
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反体制的なメッセージ
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時代的にアメリカン・ニューシネマの流れを汲んでいるように見受けられます。だからこそ社会や政治に対して反体制的なメッセージがあります。
「イージー・ライダー」のバイクで疾走するシーンは金田と鉄雄たちが街を疾走するシーンに似てます。
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金田とケイのふたりが軍に追われているところなどは、「俺たちに明日はない」のボニー&クライドを彷彿とさせます。
バンド・デシネの影響
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さらに絵柄については、それまでの手塚治虫や横山光輝、石ノ森章太郎などの丸っこいキャラクターから、よりリアルな頭身ながら顔の作りは割とシンプルな画風になります。
その上で画風に大きく影響を受けたのが、フランスのバンド・デシネです。
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中でもメビウスという作家にふたりとも大きく影響されています。
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絵柄を見て頂ければ一目瞭然ですね~♪
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大友克洋、宮崎駿のふたりの絵柄にホント似てますよね~。
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手塚+ニューシネマ+バンド・デシネ=大友・宮崎
まとめると、
- 手塚治虫からのマンガ
- ニューシネマ的反体制ドラマ
- バンド・デシネ
と、ふたりともに1970後半~1980年代前半という時代背景を色濃く映し出しています。
しかも、ふたりともに巨匠となっています。
「ジャパニメーション」→「クール・ジャパン」
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この時代、世界的にビデオ規格のVHSが普及して日本の作品も世界中に手軽に届けられるようになりました。
そんな中、世界的に衝撃を与えた作品が本作の「AKIRA」でした。
圧倒的なビジュアルイメージ、その後の「新世紀エヴァンゲリオン」に代表される「世界系」などの原型ともなりました。
そして、この衝撃は日本のアニメーション、「ジャパン・アニメーション」を世界的に印象付ける事になりました。
「ジャパン・アニメーション」を略して「ジャパニメーション」と呼ばれるようになります。
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そして、「ジャパニメーション」があるからこそ、日本の文化を世界に発信していこうという機運が高まり、さらにその後、日本の素晴らしい文化を「クール・ジャパン」と呼ぶという流れが出来上がっていきます。
「AKIRA」は「クール・ジャパン」を生み出す礎となったんですね~♪
奇しくも東京オリンピック2020
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AKIRAを封印した巨大冷凍ドームのその真上にあるのが、オリンピック会場です。
「中止だ中止!」という言葉は、何気に一部で流行りました。
そして、AKIRA世界は2019年で翌年に東京オリンピックを控えているという設定。
実際に2021年に東京オリンピックが開催されます。しかもコロナの影響で延期されています。
AKIRA世界でもオリンピック会場はAKIRAが目覚めて大破壊され、延期せざるを得ない状態になっています。というか開催できたかどうか。
奇しくも30年も後のことを予知しているという結果となりました。
「超能力」が働いたのかもしれませんね。
大覚アキラ
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画像のキャラクターはミヤコ。このおばさんは実は原作ではかなりの重要人物です。
しかしアニメ版ではちょっと出て、すぐにお逝きになられてしまいます。
原作でのミヤコはどんなキャラクターなのかと言えば、アニメではほとんど描かれていませんが、一瞬道路に赤いペンキで「大覚アキラ」と書き念仏を唱えるようにアキラを崇める宗教団体の開祖として描かれています。
実はミヤコは目が見えない代わりに物事の真実を見通すことが出来る能力の持ち主なんです。
具体的には「テレパシー」、起きている事象の詳細を捉える「千里眼」、未来を見通す「予知能力」などの持ち主です。
日本の全世界に対するトップシークレットである「AKIRA」をなぜ知っているのかというとその能力によって知ったからなんですよね。
ミヤコ達は偉大なエネルギーに神を感じ、アキラを崇めます。
「大覚」とは仏教用語で「悟りを開いた者」のことです。AKIRAを「大覚」と同一視しているわけです。
AKIRAとは?
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AKIRAは小さな子供の姿をしています。
軍の超能力研究により、生み出された超能力者のひとりです。しかし彼は力を暴走させて東京で大爆発を引き起こしてしまいます。
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その後、AKIRAの暴走を恐れた人々は地下深くに厳重に封印してしまいます。
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ここから考えるに、AKIRAは「純粋で膨大なエネルギーそのもの」であると描かれています。
その「巨大なエネルギー」が純粋にまったく意思が介在しない状態でその場にあったなら。
つまり、「核爆弾(原子爆弾)」もしくは「核エネルギー」の隠喩でしょう。
光の向こう側
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28号アキラは純粋なエネルギーの奔流のただなかにいるので、肉体がまったく意味を為さないので、生体標本として身体をバラバラにビンに詰められ氷漬けにされても、復活を遂げることができます。
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その時、また大爆発と共に膨大な光に何もかもが包み込まれていきます。力のコントロールを失い肥大化してしまった鉄男も光に取り込まれていきます。
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その時、鉄雄は金田に助けを求めます。幼い頃いじめられた時に助けてくれた金田に。
光の中では肉体が意味を持ちません。力の流れる方向を決めるのは「意思」や「記憶」です。
光の中で鉄雄は、純粋な気持ちで自分が本当は何を求めていたのかを知る事になります。ただしその時の記憶に引っ張られて幼い頃の鉄雄になっています。
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光の向こう側は、自分が思っていることを具現化することが出来るエネルギーの奔流です。
新しい宇宙を生み出せるほどのエネルギーの奔流ではありますが、鉄雄にはまだそれはムリだったのです。
自分の意思次第で天国にも地獄にもなり得るのです。
だから、キヨコ、タカシ、マサルの3人は関係ない金田を救い、新たな運命を紡ぐことを託します。
また鉄雄を幼い頃の記憶からやり直させエネルギーの奔流を止めるために能力を合わせます。また金田を奔流の外に逃がします。
金田に問いかけ、ケイを思い出させてエネルギーの一部がその思いを実現するように仕向けます。
鉄雄と3人の子供たちはAKIRAと共に光の向こう側へと旅立ちました。
宇宙を生み出す純粋なエネルギー!これは「神」なんですかね~?
おまけ
『鉄人28号』大好き
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原作者である大友克洋は、マンガ『鉄人28号』の大ファンなのだそう。
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だから、鉄人28号という科学や技術の集大成の象徴から、超能力の超兵器となってしまった少年アキラのナンバーを28号としました。
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そして『鉄人28号』の主人公で鉄人をリモコンで操るのは金田正太郎少年ですが、暴走するアキラや鉄雄をなんとか止めようとする主人公も金田正太郎です。
簡単な時代考証
原作マンガ『AKIRA』が『週刊ヤングマガジン』に連載開始になったのが、1982年です。
この時代は戦後生まれの若者たちが戦争時代の大人達に、モノ申した「学生運動」という激動の時代が終わり、いわゆるシラケ世代の時代になります。
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エネルギーを持て余した若者たちは「不良」に、不良になれない者たちは「オタク」になっていきました。
ひとつに経済がよくなり、バブルに沸いてる時代で思想や小難しい事が敬遠されはじめた時代です。
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『AKIRA』には街に溢れる不良たちと前時代的な運動家たちが同時に描かれます。
暴れる不良たちを力ずくで抑圧する大人たち、押さえつけられるほどに反抗心をむき出しにする若者たち。
またこの頃の日本のいろんな作品に「夜明け」などがモチーフになるのは、バブル経済によるイメージに影響を受けているからです。
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さらに鬱屈した、心の闇を抱えてしまう若者も増えて、薬に手を出したり残酷な事件も起きます。
この頃、世界的にも鬱屈した心の闇を爆発させてしまう人間を描いた作品が数多く発表されています。
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『AKIRA』もそんな時代の影響をしっかりと受けていることがうかがえます。
まとめ
恐らく、2023年現在になってはじめて「AKIRA」を見た人は思うだろう。
「どっかで見たことあるな~」「このパターン知ってる!」と。
その時、電八は得意満面な顔でこういいます。
「いやいやいやいや、AKIRAがネタ元だからね!このビジュアル、話の展開、設定全部AKIRAだから!(笑)」
「なんたって、全世界に”ジャパニメーション”って言葉を認識させたのはこの作品なんだから!」
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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