金曜ロードショーで「天空の城ラピュタ」が放映されました。
昔から大好きであり、ジブリ作品の中でも人気の高い作品で、もう何度見たかわかりません。
「天空の城ラピュタ」を見て、大冒険に出発しましょう!!
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
作品概要
1986年公開の、スタジオジブリ作品。監督は世界的なヒットメーカーとなった宮崎駿監督。
少年と少女が大冒険するファンタジーアドベンチャー。
スタジオジブリ設立後、1作目となる作品。
※「風の谷のナウシカ」は本来ジブリ作品からは外れますが、宮崎駿監督ということでジブリ作品としてカウントされています。
ざっくりあらすじ
少女・シータは政府の特務機関に捕まり、飛行船で輸送されていた。海賊ドーラー一家の襲撃を受ける隙に乗じて、逃げ出そうとしたシータは誤って飛行船から落ちてしまう。その頃、鉱山で働く少年パズーは空から何かが降ってくるのを見つける。その何かこそ、飛行船から落ちてしまったシータだったのだ。シータは身につけていた青い石の力で、不思議とゆっくり宙に浮きながら降りてきたのだ。 こうして出会ったシータとパズーは、その青い石を巡る戦いに巻き込まれていく……。
Filmarks.comより引用
美しく壮大な風景
空気感や奥行きを感じるような絵作り。
とにかくシータが空から落ちてくるシーンや炭鉱の町にある谷の底知れぬ深さなど、高所恐怖症の人が見られないんじゃないかと思うくらい高さや高低差をしっかり感じます。
そして美しい風景が随所にあり、目を奪われます。
パズー
幼い頃に父親が「ラピュタ」を探しに旅立ったきり行方不明になっているので、親方のもとで炭鉱夫たちの手伝いをして生計を立てています。
運動神経がよく、丈夫な身体でとくに頭は「石頭」。
機械修理が得意で飛行船の操縦なんかも身につけています。
彼がさげているかばんにはいろんなものが入っています。
シータから「魔法のかばん」だと言われます。
というのがキャラクター概要ですが、パズーは実はかなり優秀な人材です。
シータ
祖母に育てられ、ゴンドワナの田舎で畑を耕しているところをムスカに連れ去られてしまいます。
線が細く見えて、強情な一面を持ちムスカの脅しには乗らない。
実はラピュタ王家の血を引く子孫で、代々飛行石のペンダントを受け継いできた。
祖母に教えられた呪文を唱えると飛行石が反応します。
芯が強く、面倒見がよい宮崎アニメのヒロインの典型です。
昔、持っていた大判の画集です。
宮崎駿直筆のストーリーボードや設定画などが豊富に収録されていて、よりラピュタ世界を満喫することが出来る1冊です。
SFとしてみる「ラピュタ」
実はOPで文明の発達の歴史を描いています。
絵だけで見せるすごいオープニング
たくさんの飛行機械が登場し、天空に人々をいざないます。
さらに天空に浮いて移動するいくつもの大きな島々が描かれ、巨大な戦艦が雲の中に消えて行ってしまいます。
文明に対して起きた大きな悲劇を巨大な雲に撒かれて、黒い稲妻の中、巨大な飛行機械がバラバラになりすべてが落下していきます。
墜落した巨大な戦艦から人々が地上に逃げ出していき、時は経ち現在につながるという絵柄になっています。
「ラピュタ」の世界観は少し19世紀後半のヨーロッパ的な絵柄で少し古めかしいのですが、現実世界には存在しない技術があって、未来なのか過去なのかわからない感じがなんとも不思議な感じです。
そして古代に滅んでしまったラピュタ文明は現在では考えられないほどの高水準に発達した科学技術文明でした。
ラピュタの世界での通常技術
空を飛ぶ技術にかんしては、いわゆる飛行船に舵や翼、プロペラを付けたものが主です。
小型のものから巨大な戦艦まで形こそいろんなデザイン画ありますが、飛行船がメインです。
そして、みんなわくわくしたのがフラップターと呼ばれるオーニソプター(羽ばたき機)です。
4枚の羽根を昆虫のようにふるわせて羽ばたき飛行します。
設定上、動力は実は電気という優れものです。しかも羽ばたきの機構には人工筋肉を使っています。
これ、実は元ネタは「デューン」が元ネタです。
「デューン」に登場する羽ばたき機は鳥類を基にしたものでしたが、宮崎駿は乗り心地の面で絶対的に昆虫の羽ばたきが良いとして、フラップターをデザインしたそうです。
失われたラピュタ文明の超技術
飛行石を精製して結晶化したものには強力なエネルギーがあります。島を浮かせ、その島のすべてのエネルギーを賄うことが出来る。
ロボット兵たちを従えるための王としての印でもあります。
「リテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール」(我を助けよ、光よ蘇れ)という呪文で封印されていた力とラピュタへの空路が開かれます。
ロボット兵。木のような粘土のような不明の素材で出来ています。しかも高高度から落下したり、大砲を受けても原形をとどめているほど丈夫。
さらに頭部には強力なビーム兵器を搭載しています。一瞬で石材を溶かしてしまい、爆散させるほどのエネルギーを持っています。
また恐ろしい破壊力の兵器がラピュタには装備されています。大陸を一瞬で焼き尽くすほどの破壊力です。
うまそうな食事
食事のシーンが良く出てきます。
非常に美味しそうに見えるのが特徴です。
特に地下炭鉱でシータとパズーが食べる目玉焼きを乗せたトーストは大人気で「ラピュタパン」などと呼ばれています。
ラピュタパンについて考察
ラピュタパンの出てくるシーンを見てみますと、2枚のトーストに半分こにした目玉焼きをトーストそれぞれに乗せています。
そして、カバンの中から取り出したことを考えると、半熟ではなくてしっかりと固焼きになっています。
味付けに関してはそこまで細かい描写がないので不明ではあります。
トーストもカバンの中に入っていたことを考えると固さが十分な焼いてあるトーストである可能性が高いと思います。
メシが美味そうなのは宮崎アニメの真骨頂と言っても過言じゃないと思います。
炭鉱夫と炭鉱の町
肉体労働者であり、生き埋めなど非常に危険を伴う仕事である炭鉱夫。
なので、荒っぽい一面を持っているように描かれています。
基本的に人情味があり、面倒見がよく、家族的な連帯感を持っています。
軍や役人なんか対しては何の役にも立たないくせに文句だけ入ってくる嫌味な連中だという意識があります。
もちろん、空賊に対してはまともに働きもしないで人のものを奪うことに嫌悪感を持っています。
謎の人物ポムじいさん
炭鉱の地下でシータとパズーはポムじいさんと出会います。
パズーは以前からの知り合いではありますが、そう頻繁に会える人ではないようです。
彼は「石の声」を聴くことが出来る人です。
炭鉱で働いているのでしょう。おそらく鉱脈を探し出す仕事を請け負って背渇しているのだと思われます。
おそらくなんですが、ポムじいさんは「石の声」が理解できるという能力があることから、ラピュタ人の末裔のひとりではないかという説があります。
割と説得力があるのではないかと思います。
魅力的な悪役
シータとパズーをどこまでもしつこく追い掛け回す、情け容赦ない悪役として描かれているのがムスカです。
彼もシータと同じでラピュタの王族の血を引く一族の出身です。
しかし本家の流れに入っていない一族なのでシータの飛行石のペンダントの光に触れると激痛を与えられ拒否されます。
彼はラピュタを長年研究して、ラピュタ文明のとてつもない力を手に入れて世界征服をしようという人物です。
恐らく、己の実力のみでのし上がってきた人物なのでしょう。
王族のはしくれでも金持ちでもなく、コネもないそんな家柄は一切あてにならないのでひとりで実力をつけ、功績を積み上げてきたはずです。
ただし周囲の人々には一切理解してもらえずに来たのでしょう。
性格がゆがんでいるのはそのせいだと思われます。
このゆがみ具合がいい味を出す悪役になっていますね。
なのでこの人、めちゃくちゃ優秀な人物です。
28歳という若さで大佐という軍の中では将軍に次ぐ地位にいて事実上現場では一番の責任者です。
しかも射撃の腕は一流です。20mほど離れたシータのおさげ髪を狙って撃ち抜きます。
さらに古代ラピュタ後をしっかりと学習していて、手帳を片手に瞬時に石碑などに描かれているラピュタ文字を解読します。
高い地位、兵士としても一流の腕、頭脳明晰とそろった優秀な人材と言えます。
そして実はムスカは「未来少年コナン」に登場する悪役レプカの先祖に当たるのだそう。
そうなんです、「未来少年コナン」は「天空の城ラピュタ」の後の未来の出来事なんですね。
レプカのあの不遜な態度は完全にムスカ譲りだったんですね~。
しかし人類はパズーたちの冒険の後に、また超科学の世界を築くんですね。
その結果、超磁力兵器を使った戦争で地球の地軸を歪ませるような大破壊をもたらして、また世界は滅亡してしまいます。「未来少年コナン」はその直後の物語ということです。
若い頃のドーラはシータに似てる?
実はタイガーモス号のドーラの部屋で一瞬だけ若い頃のドーラの肖像画が壁にかかっているのが映ります。
ドーラはシータを見て自分の若い頃に似ていると言っていましたが、確かに少し似ているかもしれませんね(笑)
ちなみにフィギュアが発売されていたみたいです。価格は29700円(税込み)
なぜラピュタには誰もいないのか?
一瞬で大陸を焼き尽くすことが出来るようなとんでもない科学技術を持っていたラピュタ文明。
しかしその手に余る文明により自らを滅ぼすことになってしまいます。
致命的だったのは大地を離れて暮らそうとしたことだったようです。
機械(科学技術)による究極の文明がラピュタ文明だったけど過ちだった、「科学技術文明批判」というのがテーマだと思われるのですが、別にそういう訳ではありません。
パズーにしても機械に頼った暮らしをしています。
つまり、「人が愚かである」という事が前提です。
こんなにバカで間違える人々の行為は苦い経験で矛盾を孕んでいますが、「これこそが人間である」という描き方のようです。
バルス祭り
インターネットが世界で定着し、SNSが流行しだすと「金曜ロードショー」などで「天空の城ラピュタ」が放映されるたびに、クライマックスシーンで、主人公二人が「バルス!」と滅びの呪文を唱えるのに合わせて「バルス!」とSNSにみんなで一斉に投稿するという事が起きるようになります。
これは「バルス祭り」と呼ばれるようになり、現在でも行われています。
ただ、この行為はSNSのサーバーに急激に負荷をかけることになり、何度かサーバーダウンを起こしてしまう事態にまでなりました。
現在は以前に比べてより大量の情報を伝送することが出来るようになったり、その瞬間のデータ送受信量を予測して伝送幅を確保しているのでダウンしてしまう事はほぼありません。
シータの成長が現れる胸の大きさの変化
宮崎駿のアニメは実はけっこうエロ要素をこそっと忍ばせてあります。
「天空の城ラピュタ」も例にもれずです。
それはドーラ一家とともにタイガーモス号でラピュタに向かっているシーン。
夜にパズーが見張りにつき凧に乗り込みます。
そこにシータも現れて一緒の毛布にくるまって暖をとります。
実はこれ、このままふたりはエッチをしましたっていう隠喩なんですよね。
そしてその証拠に、この後シータの胸が大きくなっています。
成長した、大人になったという事を強調しています。
今作に登場する大人の女性はみんな胸が大きいです。胸が大きい=大人の女性という隠喩となっているんですね~。
宮崎駿のアニメはこんな感じでけっこうエロ要素をこそっと入れてあります。
したたかで強い女性
オタクで変人の宮崎監督から見た、憧れであり、恐怖の対象である女性は非常にしたたかで芯の強い女性が描かれます。
これは宮崎作品に共通するものです。
「ルパン三世カリオストロの城」のクラリス、「風の谷のナウシカ」のナウシカなどはみんな実は非常に活動的で意志が強い(強情)女性たちです。
「天空の城ラピュタ」についてはシータがまさにそうです。
冒頭の飛行船内での立ち回りはけっして「おとなしい」という中に留まらないです。
またタイガーモス号の中でもドーラの息子たちをあごで使うしたたかさを見せます。
成長したら、間違いなくドーラのような屈強な女性になりそうです。
三鷹の森ジブリ美術館
東京都三鷹市にある、スタジオジブリ作品をモチーフとした美術館があります。
各作品の世界観が立体化されていたりします。
一度は足を運びたいところです。
タイアップのドリンクCM
本編に登場する飛行機械フラップターを作成して、ビデオ合成でパズーとシータが空を飛んで大冒険しているような映像を実写で再現しています。
そして発売されたこのドリンク、何気に美味しくて何度か飲みましたね!
小幡洋子「もしも空を飛べたら」 作詞:松本隆 作曲:筒美
小幡洋子がかわいいですね~♪
他作品への影響
「ふしぎの海のナディア」
いろんなところに影響があるのであります。庵野秀明に影響を与え、「ふしぎの海のナディア」に色濃く出ています。
光るペンダント、強力な古代文明、世界中をめぐる冒険、悪役一派、などが共通します。
つまり潜水艦による海底冒険活劇にした「ラピュタ」といって過言ではないものになっています。
また、光るペンダントのブルーウォーターは、ラピュタを浮遊させていた巨大な飛行石と同じ形をしています。
マインクラフトのアイアンゴーレム
世界で最も売れているゲーム「マインクラフト」に登場するアイアンゴーレム。
村を巡回してモンスターを強力な両腕の打撃で攻撃して撃退し、村人を守ります。
そして時々、村人や自分にポピーの花を差し出します。
この役割や仕草は、ラピュタにいるロボット兵たちが元ネタなのは言うまでもないでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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