カンフーアクションと言えばこの人!ブルース・リーです。
世界的に大ヒットとなった作品が「燃えよドラゴン」です。
作品の紹介と共に世界的にヒットした要因やブルース・リー個人に関しても紹介致します。
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※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
作品概要
1973年公開のロバート・クローズ監督作品。主演ブルース・リーです。
またノンクレジットとなっていますがブルース・リーも共同で監督しています。
この作品の大ヒットを受けて世界ではブルース・リー、カンフーブームになりました。
世界的にアクション映画や香港映画に影響を与えて、その後のアクション映画に多大な変化をもたらしたと言われます。
さらに今でもその他、実際の格闘技や武術、ファッションやゲームなどにも影響がある伝説的な作品です。
ざっくりあらすじ
少林寺の武術の達人リー(ブルース・リー)は国際情報局のブレイスレイトにかつての同門ながら悪に染まってしまったハンの捜査を手伝ってほしいと言われる。
そのためにリーはハンが所持している島で3年に1回行われる武術トーナメントに参加して犯罪行為の内偵をすることに。
リーは乗り気ではなかったが、帰郷した際に数年前に妹スー・リンを追い詰め自殺に追いやったのがハンの部下オハラだったことが分かり、ハンに復讐を誓う。
島行きの船で合流したトーナメント参加者たちは各自スネにキズ持つ者たちで、みな大金を必要としていた。島に着くと彼らはハンの豪華な歓待を受けた。
リーは祝宴が終わり部屋で、一緒に夜を過ごす相手として祝宴会場で見かけたメイ・リンを指名した。彼女は島に潜入していた諜報員だった。
彼女から、ハンに呼び出された女性は忽然と姿を消してしまうと聞かされる。
リーは昼間は大会に参加し、夜に潜入捜査を開始する。
島の地下に怪しげな工場施設を発見するが、ハンの部下たちに見つかってしまい彼らを打ち倒しこっそり部屋に戻る。
翌日、リーにやられた部下たちは見せしめのためにボロに殺害されてしまう。
この惨劇に嫌気がさしてしまったウイリアムズはハンに潜入捜査官ではないかと嫌疑をかけられ殺されてしまう。
ウイリアムの友人で参加者のローパーもハンに呼び出されると、地下が阿片の工場であると明かされる。ウイリアムズの死体を見せられローパーはハンの言いなりになるしかなくなる。
一方、その夜リーはハンの悪事の数々の証拠を見つけ、捜査本部に送信する事に成功するがハンの部下に追われ捕まってしまう。
翌日、ハンは見せしめとしてリーとローパーを戦わせようとするがローパーが断り、ボロとローパーは戦う事になる。ローパーはなんとかボロを倒した。
怒り狂ったハンは部下たちにリーとローパーの殺害を命令。ふたりは取り囲まれるが次々と部下たちを打ち倒していく。
さらにメイ・リンが捕えられて囚人たちを解放し、ハンの部下たちとの戦闘に加わる。
リーはハンを追い詰め、最終的に打ち倒す。
ブルース・リーという人物について
形式を打ち破った
映画人としてブルース・リーのすごいところについて。
彼は武術を学びながら、映画俳優としても活動します。そしてアメリカに渡り、道場経営しながら役者として活躍していきます。
その中で他国の文化に触れて、香港映画にも革命が必要だという事を感じます。
元来、香港映画は形式が決まっている事がほとんどでした。
それまでのカンフーアクション映画は
「主人公が幼少期に悪役に家族を殺され、その仇を討つために何年も拳法修行に明け暮れ、ついに敵討ちを果たす」
というパターンがほとんどでいわゆる形式的な時代劇でした。
主人公が男か女か、時代が違ったり、敵役が盗賊なのか、不正を行う役人かなどの設定の違いはあれど、基本形式は「かたき討ち」のものがほとんどです。
今作「燃えよドラゴン」はそういった形式を持たないカンフーアクション映画として最高の評価を受けました。
西洋映画の技法を取り入れていく
また、ブルース・リー自体が映画好きでいろんな洋画の技法などを取り入れたのも大きいです。
例えば、主人公リーのサイドキックのカットや相手を踏みつけてとどめを刺すカットなどでのスローモーション映像です。
スローモーションにすることですごく印象深くなります。
そしてハンとの最終決戦の場の鏡の間がオーソン・ウェルズ監督作「上海から来た女」が元ネタだったというのは有名な話です。
中国武術以外の技術も取り入れる
また、戦闘シーンで使われる武器ヌンチャクは少林拳では扱われないのですが何かインパクトのあるものをという事で取り入れられました。
また技として印象的なのが、サイドキックとサマーソルトキックでしょう。
サイドキックは助走をつけての横蹴りなんですが、ブルース・リーの蹴りは本当にすごい威力だったそうです。
サマーソルトキックは後方宙返りをするのと同時にあごを蹴り上げる大技です。これは実戦では使われることはないでしょうが、映画的にはインパクト抜群な技でした。
名言Don’t think! Feel!
少年に武術指導をするシーンでのこの言葉は「考えるな!感じろ!」という意味です。
武術だけではなく、人生における教訓としても取り入れられる考え方で、この言葉を聞いて感銘を受けたという人が多数います。
視覚(目で見えるもの)、聴覚(耳で聞こえるもの)、嗅覚(鼻で感じるニオイ)、味覚(舌で感じる味)、触覚(肌で感じる感覚)という五感で人間の感覚は出来ています。
感じる事で考えても理解できなかったことが分かってくるものがあるはずです。
何よりも感覚をフルに使って感じる事が大事だということです。
怪鳥音に関して
カンフーと聞いて「アチョー」と言われることが多いのですが、これは今作の影響が非常に強いです。
世界的にヒットしたことで「カンフーを使う」=「アチョー」と叫ぶと刷り込まれてしまったようです。
このブルース・リー独特の甲高いかけ声は「怪鳥音」と呼ばれています。
日本では剣道や空手などで気合という掛け声があり、特に剣道の試合などでは声を出し続けて戦います。
ブルース・リーがこの気合に相当する掛け声を使っていたというのは武術的には何の不思議もない事なんですが、非常に独特でインパクトがあるのは確かです。
映画オープニングのメインテーマにはこの怪鳥音が入っているんですが、サウンドトラック盤には長らく怪鳥音無しのメインテーマが収録されていました。
世界中のファンからの希望で割と最近になって怪鳥音が入ったサウンドトラックが発売になりました。
武人として
武術家にして俳優であったブルース・リーですが、武人としてはどうだったのでしょうか。
父親の勧めで永春拳という武術を葉問(イップマン)に師事します。
ブルース・リーの師匠という事で彼の事もドニー・イェン主演で映画化されています。
永春拳は接近短打が得意な拳法です。ブルース・リーはこの武術をある程度収めたところで振藩功夫(ジュンファングンフー)という独自の武術を編み出していきます。
永春拳についてしっかり理解していなかったともいわれていますが、何か足りないと思ったからこそ振藩功夫(ジュンファングンフー)を編み出すことに繋がったという様にみられています。
そしてさらに截拳道(Jeet Kun Do、ジークンドー)を創始します。
ジークンドーは今までの武術と違い、型がありません。
どちらかというと何でもありの状態でどうやったら生き残れるかを追求した戦略・戦術概念です。
形として取り入れたものはフェンシングとボクシングをベースにしています。
もちろん身についているモノをベースにすれば効率よく身につける事も出来ます。
なのでブルース・リーの使っていたジークンドーにおける技は永春拳やジュンファングンフーの技をベースにしている事が多かったようです。
そしてこのジークンドーは世界中に広がり、たくさんの人が学びいまだに進化し続けている戦闘方法という事になります。
その中でもっとも有名な技がワンインチパンチです。
1インチ=2.54㎝
つまり、拳と相手の身体の距離が1インチしか離れていない状態(ほぼ密着した状態)からでも相手を昏倒させることが出来る威力があるパンチのことです。
中国武術では寸勁や暗勁などと呼ばれる技術に近いものです。
日本でも、骨法などに見られる「徹し」とか「通し」なんかがこれにあたる技でしょう。
絶頂期での死、そして伝説へ
◆映画「ドラゴン/~ブルース・リー物語~」
ブルース・リーは「燃えよドラゴン」で世界的な大スターになりました。
もはやカンフー=ブルース・リーと言われるくらいの大ブームを巻き起こします。
そして人気絶頂のまま「死亡遊戯」を撮影し始めるが、完成前に死去してしまう。
この映画のラストシーンはブルース・リーの葬儀など死にまつわる実際の映像が使用されています。
32歳という若さでした。死因については究明裁判が行われたが、結果「死因不明」という見解で終わっています。
つまりなぜ亡くなってしまったのか、殺人なのか事故なのかは謎に包まれたままという事になります。
息子ブランドン・リーも撮影中に亡くなった
さらにブルース・リーの息子である、ブランドン・リーも上記の「ドラゴン/~ブルース・リー物語~」が撮影されている頃、主演していた映画「クロウ/飛翔伝説」の撮影中に事故で亡くなってしまいます。
ゾンビとなり蘇った主人公が無法者たちの拠点に乗り込んで、集中的に銃弾を浴びさせられるというシーンでダミーの弾の中に実弾が一発だけ紛れ込んでいました。
こちらも撮影中の銃弾での死というのは判明していますが、なぜ、誰が、何の目的でというのが謎のままです。
絶頂期のあまりにも鮮烈なアクションと歴史的偉業を残してリー親子は謎の死を遂げている事になります。
ブルース・リーは世界的なアクション映画スターで武道家として光輝いたまま伝説の人になりました。
おまけ
実はよくみるとサモ・ハン・キンポーやジャッキー・チェン、ユン・ピョウなどがエキストラなどで出演しています。
当時彼らはまだ無名でしたが、その後大成して世界的アクション俳優になります。
香港映画としては当時の有名で実力のある俳優さんも多数出演しています。伝説の作品と呼ばれる原因のひとつです。
またゲーム「メタルギアソリッド」で登場するオペレーターがメイ・リンですが、今作の諜報員メイ・リンが元ネタです。
完全に余談ではありますが、実は少林拳と少林寺拳法は別物です。
少林拳は、中国の少林寺で学ばれる多種多様な武術の事です。
少林寺拳法は日本で創始された新しい武術の事です。
作中には空手、柔道、相撲などの日本の武道も出て来ます。
正しいかどうかは別にしてエキゾチックなイメージとして取り入れたかったんでしょう。
以下はブルース・リーの大ファンのYouTube動画です。
以下も笑った動画です。
余談にはなりますが、カプコンの格闘技ゲーム「ヴァンパイア」シリーズに登場する、ゾンビでロッカーのザベルは息子ブランドン・リーが演じた「クロウ/飛翔伝説」の主人公エリックがモチーフです。
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