※2024年12月1日に加筆修正いたしました。
「SF」も「ファンタジー」も両方とも大好きなんですが、そもそも「SF」と「ファンタジー」って何が違うんでしょう?
案外、正しく認識できている人って少ないのかもしれません。
話のタネにでも知っていれば、より作品を楽しめるようになります。
それぞれその違いを見ていきましょう。
実は「境目が限りなく曖昧」が答えです。
明快な答えでなくて申し訳ないとは思いますが、実際にSF作家や評論家などが長年考えて議論した結果です。
現在ではSFとファンタジーは「境目が限りなく曖昧」であるというのが定説になっています。
それでは、それぞれの特徴を見て比較してみましょう。
一言で言うと、科学的な空想を基にしたフィクション作品群のこと。
世界の成り立ちや、不可思議な現象などを何かしらの科学的根拠を用いて説明した設定をストーリーに盛り込んでいるのが特徴です。
この言葉を考えた人が、ヒューゴー・ガーンズバックという人で、アメリカの世界初のSF雑誌『アメージングストーリーズ』の編集長です。
後に彼の名前はSF作家におけるノーベル賞的な賞に冠され、星雲賞(ネビュラ賞)と共にヒューゴー賞として英語圏で最も大きな栄誉ある賞となっています。
「SF」はサイエンス・フィクションの略なのですが、実は幅が広すぎて定義するのが非常に難しいです。
彼のアイザック・アシモフは著作で、「単に宇宙船や宇宙人が登場するのがサイエンス・フィクションではなく、価値観の転倒による驚き、すなわちセンス・オブ・ワンダーが必要」と言っています。
「センス・オブ・ワンダー」とは、自然やSF作品などに触れて受ける不思議な感動や心理的感覚を表現する概念です。日本語では「神秘さや不思議さに目を見はる感性」と訳されます。
※SFのいろんなジャンルについての詳細は以下の記事に記載しています。
超自然的、空想的、幻想的な事をテーマに描く作品の事で、一番分かり易いのが「魔法」や「霊」、「妖精」などを扱う世界の物語などの作品群のことです。
不可思議な事象が現実に漏れ出す、またはキャラクターを不可思議な世界に引き込む、などいろんな表現方法があります。
歴史的には圧倒的にファンタジーの方が古いです。言ってみたら世界中の神話や伝説、言い伝えなどはすべてファンタジーなのです。
そして一般的に普及している「剣と魔法の世界」をテーマにしたファンタジー作品の元になっているのが「ソードワールドRPG」です。
TTRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)と呼ばれる、ゲームマスターが用意したシナリオに沿って各キャラクターたちが冒険を進めていくゲーム。ゲームマスターから与えられる選択肢の選択の結果は出たサイコロの目によって結果が出るようになっています。
これが世界的に広がり浸透したことで、「ソードワールド」の世界観がファンタジー世界の基本になりました。
例えば、「あり得ない科学法則」があると仮定してその法則を基に描いた世界観の作品は、果たしてSFなのかファンタジーなのか?
「十分に成熟した科学技術は魔法と変わらない」というのを以前記事で紹介したことがありますが、まさにこれです。
科学技術と魔法が変わらないなら、SFとファンタジーの垣根は元からなかったことになります。
SFもファンタジーも両方著作として発表する作家アン・マキャフリイは「SFはファンタジーのサブジャンルの一つだ」と言っています。
例えば「ピノキオ」を魔法人形とします。そしてもう一体、すべて人工物で出来ていて、人間の思考パターン、行動パターンを完全に模倣することが可能なアンドロイドがいます。
果たして「ピノキオ」との差は、成り立ちの根拠が魔法か科学かという違いだけになります。
そこで「十分に成熟した科学技術は魔法と変わらない」というならば、「ピノキオ」と「アンドロイド」には違いが認められなくなります。
魔法のような科学技術としてよく描かれるものにナノマシンがあります。
以下は、物語調で語ってみます。
超高度な科学技術を使って望み通りの姿を手に入れることができる世界でブルーフェアリーの姿を手に入れたナノ分子工学博士がいました。
博士は完全に自律制御が可能で、どんな作業も的確にこなすナノマシンをキラキラ輝く粉を振りかけるように木材で出来た人形にとり憑かせます。
すると何という事でしょう。人形はひとりで起き上がり、しゃべり始めます。
まるで人間の子供のようです。
そう、完全に人工物のみで出来上がった人形ですが、まるきり「ピノキオ」です。
なにか違いがあるのでしょうか?
これってSFでしょうか?ファンタジーでしょうか?
ChatGPTにSFとファンタジーに大きな差異があるかどうかを聞いてみました。
SFとファンタジーの差異について、上記の議論をもとに判断すると、大きな差異があるか否かは、視点や基準によるという結論に至ります。以下に、具体的な分析を示します。
SFとファンタジーは、根本的な世界観の基盤や物語の問いかけ方が異なるため、大きな差異があると言えます。
これらを踏まえると、ジャンルとしては出発点も目指す方向性も異なるため、大きな差異が認められると判断できます。
一方で、クラークの第三法則や、ジャンルの混交が進んだ現代の物語を考えると、SFとファンタジーの境界が曖昧になるケースも多くあります。
そのため、SFとファンタジーは「文脈次第で差異が拡大も縮小もする流動的な関係」と見るのが最も適切でしょう。
さて、ここからはSF作品6作品と、ファンタジー作品6作品メディアを問わずにご紹介いたします。
「夏への扉」 ロバート・A・ハインライン 小説
「2001年宇宙の旅」 スタンリー・キューブリック監督 映画
「ニューロマンサー」ウイリアム・ギブスン 小説
「ブレードランナー」リドリー・スコット監督 映画
「SF新世紀レンズマン」 廣川集一、川尻善昭監督 アニメ映画
「攻殻機動隊」 士郎正宗 漫画
「ロードス島戦記」水野良 OVA
「運命の森」 イアン・リビングストン ゲームブック
「もののけ姫」 宮崎駿監督 アニメ映画
「ベルセルク」三浦健太郎 漫画
「グレムリン」ジョー・ダンテ監督 映画
「ニルスのふしぎな旅」鳥海永行、押井守、安納正美、ユウジ・ヌノカワ監督 TVアニメ
完全に個人的に好きなものを集めてみました。ただ、それぞれにSFっぽさ、ファンタジーっぽさがしっかりと感じられる作品のはずです。
SF・ファンタジーの違いは確かにあるにはあるが、キッチリとした境目のようなものはありません。
むしろ両者の融合は非常に相性がいいと言えます。
しかも、これはアクションやホラーなど他ジャンルもしっかり巻き込むことが出来るほどに懐が深いジャンルだと言えるでしょう。
結局、作者が、これは「SFです。」と言えばSF作品、「ファンタジー」だと言えばファンタジー作品という事になるのでしょうか。
いずれにしてもセンス・オブ・ワンダーに富んだ作品であれば非常に面白いはずです。
実は「SF」を「スーパー・ファンタジー」と訳すことがあります。
これ言っちゃうと余計に違いが分かんなくなりますよね(笑)
さてSFもファンタジーも映画作品がたくさんあります。
映画作品を楽しむコツがわかれば、SF・ファンタジー作品もより楽しめるようになります。
以下は映画を楽しむためのコツをまとめた記事です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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