同じSFの中にも実はいくつかに分けられたジャンルがあります。
今回はこれを語ってみようと思います。
スペースオペラありき
宇宙を舞台とした冒険活劇SFのことです。広大な宇宙を舞台に主人公や悪役が切った張ったと大立ち回りするのがこのジャンル。スケールの大きなものは「宇宙叙事詩」なんて訳されることがあります。
よく言われるのが西部劇をベースにしていて舞台を宇宙に、悪役を宇宙人や怪物にして、馬や馬車を浮遊する自動車や宇宙船に換え、拳銃をレーザーガンに持ち変えるとスペースオペラになります。
これが恐らく最も古いジャンルになりそうです。作品としては「スターウォーズ」や「スターウルフ」、「レンズマン」などですね。
ハードSFで徹底的に細部に拘り
物理学や化学などしっかりとした科学的な考証から設定やモチーフやシーンが考え出されている作品の事です。
設定がしっかりしているので物語に重厚感が出て、本当にあってもおかしくないような雰囲気を醸し出します。
代表作は「2001年 宇宙の旅」、「スタートレック」、「ソラリス」「インターステラー」など。
タイムトラベル(タイムリープ、タイムスリップ)の不思議
「時空超越」とか「時間旅行」とか訳されるジャンルです。
時間を遡って過去に行ったり、逆に加速させて未来へ行ったりと、時間を超えて行われる冒険の物語です。
タイムトラベルはタイムマシンなどの機械などの力を利用して時間を超える事。
タイムリープはキャラクター自身の能力で時間を超える事。
タイムスリップは偶発的に(事故的に)時間を超える事。
代表作は「タイム・マシン」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ドラえもん のび太の恐竜」など。
ニューウェーブで内部宇宙へ
SF作家のJ・G・バラードが「SFは、外宇宙ではなく人間の内側という内宇宙を見つめるべきである」と主張、イギリス、アメリカを中心として一連のSFの近代化ムーブメントとそれに関連する作品群の事。
代表作は「ミクロの決死圏」、「地球の長い午後」など。ただしあまり流行らずに作品もそれほど多くはない。でもスペースオペラ的な冒険ばかりでマンネリ化していた時に文学的な作品を生み出すための気付きを世界的に与えた。
サイバーパンク
1980年に起きた運動の総称です。技術が過剰に発展して、サイボーグ化が進んでネットとの接続も直接脳にするようになった近未来が舞台。
「疎外感」がキーワードになるみたいです。サイボーグ化して人体からの疎外、ネット接続による人間関係の希薄化による疎外がキーポイントです。
そして雑多なアジアンテイスト。特に日本の都市部をイメージしたような描写が諸所で見られることがあります。
代表作は「ニューロマンサー」(原作のウイリアム・ギブスンは嫌がっていましたが)「ブレードランナー」「マトリックス」「攻殻機動隊」など。
スチームパンク
蒸気機関が過剰に発達した世界の物語。
自動車や機関車だけでなく、コンピュータも電気ではなく蒸気機関で動き、プシューっと蒸気を吐き出すパイプが付いていたりするような世界でヴィクトリア調の雰囲気が描かれているので「ネオヴィクトリアン」とも呼ばれる。
また、その浪漫風の視覚的イメージからSF作品という枠を超えてファッションやデザインなどに活動が広がっている。
まとめ
とまあ、挙げてみたのですが、実はもっとたくさんのジャンルが存在するみたいです。
とはいえ、共通点はやはりセンス・オブ・ワンダーです。(これは検索してみて。)
SFは実は現実の世界に大きく影響を与えています。
一例:「2001年 宇宙の旅」に出てきたパネル上の情報端末はすでにタブレットPCとして実現されていたり、実用化こそされていませんが量子コンピュータも開発自体は出来ています。
ジャンルに寄らず、SF作品によりセンス・オブ・ワンダーを刺激されて科学技術発展に貢献した人々は数知れない事でしょう。
SFは文化なんですね!
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