※この記事は2021.04/07に書いたものを大幅に加筆修正し、リニューアルしたものです。
SF映画と言えば、オタクに訳の分からない呪文のような言葉で良い部分を説明されるけど全く何がいいのか理解できないし、「理論」とか「すごさ」とかって言われてもピンと来ないという方、多いのではないでしょうか?
特に今回紹介するSF映画では超有名作品の「ブレードランナー」はそんな作品のひとつなのではないかと思います。
分かり易く、どこを楽しめばいいのかを紹介していきます。
尚、このブログは多分にネタバレを含んでいます。
まだ紹介作品をご覧になっていない方にはオススメ出来ません。

作品概要「ブレードランナー」
1982年公開のリドリー・スコット監督作品。フィリップ・K・ディック原作SF小説「電気羊はアンドロイドの夢を見るか」を映像化。
SFの傑作と言われ、サイバーパンク運動の映像化における草分け的な作品です。
また、当時映画「スターウォーズ」や「インディ・ジョーンズ」で大人気のハリソン・フォードが主演です。
この映画いろんなバージョンが存在するのですが、「楽しむ」をメインにして見直すならば、最終版かファイナルカット版いうのが恐らく良いかと思われます。
残念ながら最終版は現在鑑賞することが出来ません。
好き嫌いが大きく分かれる映画かと思われます。
嫌われる部分としては、
SFのハードボイルドなのですが、アクションもそう派手ではなく、レプリカントたちの人間離れした能力の描写も地味なところです。
それに全編を通して、ほとんど雨が降っているので陰鬱で鬱陶しいところ。

ざっくりあらすじ
放射能で汚染され、酸性雨が降りそそぐ2019年のロサンゼルス。強靭な肉体と高い知能を持ち、外見は人間同様のアンドロイド“レプリカント”が人間を殺して逃亡する。レプリカント専門の賞金稼ぎ“ブレードランナー”のデッカードは単独、追跡を開始するが…。
Filmarksより引用/
ブレードランナーを楽しむための視点と隠れた魅力とは?
部分ごとに分解して、ツッコミを入れる!!

この映画の魅力を深く味わうには、まず「何がカッコいいのか?」を押さえておくのがポイントです。
たとえば、ネーミングのセンス。「ブレードランナー」「レプリカント」「ネクサス6」「タイレル社」…どれも一度聞いたら忘れられない、未来感とクールさを併せ持った言葉ばかり。映画ファンやSF好きが惹かれるのも納得です。

さらに注目したいのが、圧倒的な世界観の作り込み。多層構造の都市、濡れた路面に反射するネオン、漂う蒸気、混ざり合う多国籍の文化と雑踏。1980年代にこれほどのディテールを描いた作品は稀です。
小道具の数々も見逃せません。主人公デッカードが使うブラスター銃、スピナー(空飛ぶ車)、印象的なグラスやウイスキーのボトル、巨大な広告看板まで、すべてがこの作品の世界観を支えています。
SF映画としての評価が高い一方で、「物語が難しい」「とっつきにくい」と感じる人も多いかもしれません。実際、舞台は未来のロサンゼルス。アジアや中東などの文化が混在し、登場人物たちも多言語を話します。この複雑さが、独特の雰囲気とリアリティを生んでいるのです。
たとえば、冒頭の屋台の店主が発する「イラシャーイ、イラシャーイ」という日本語。ちょっと不自然だけど、どこか懐かしく、愛らしい。さらに「2つで十分ですよ!ワカッテクダサイヨ!」というセリフには、外国人が一生懸命日本語を話す姿が感じられ、思わず笑みがこぼれます。
当時のアメリカでは、日本人のイメージは「メガネと出っ歯」。中国人や韓国人との違いも曖昧でした。そんな時代に、日本語を話す寿司職人風の屋台のおじさんが登場するのは、非常に印象的で、個人的にはちょっと嬉しくなる瞬間です。
また、高層ビルに映るCMには日本の製薬会社「わかもと製薬」の広告が。美しい和装の女性が映し出され、「強力わかもと」のCMが流れるその映像は、日本人としてグッとくるポイントです。ちなみに、製薬会社側は映画に使われたことを事後的に知ったそうで、むしろ光栄だとコメントしています。
このあたりから、「ああ、この世界観に付き合ってみようかな」という気分になるんですよね。
そして、デッカードが署長に呼び出されるシーン。出されたウイスキーを断るでもなく、当たり前のようにクイッと飲む。そのウイスキーは、特徴的なボトルに入った「ジョニーウォーカー黒ラベル」。このラグジュアリーな小道具が、彼のキャラクターを無言で語っています。
実は、デッカードは作中で酒ばかり飲んでいます。チンタオという謎の透明な酒を家で飲むシーンでは、口の中の傷から血がグラスにふわっと戻る描写も。これは思わず「おおっ!」と声が出る名シーンのひとつです。

原作同様、デッカードは典型的なヒーローとは異なります。爽快感もなく、ハードボイルドでもない。でもどこか人間味があって、観ていてホッとする。だからこそ「彼は本当に人間なのか?」という論争が生まれるわけです。
全体として、登場人物のほとんどが“まともじゃない”という点も、この映画のユニークさを際立たせています。
映画『ブレードランナー』を楽しむコツは、こうした細部に目を向けること。ビジュアル、音楽、文化描写、小道具──すべてが作品の魅力を語る鍵になっています。


いかれたキャラほど面白い。
ここで一言。
映画ってまともなヤツはつまらないヤツなんですよね。敢えてつまらないヤツを置いて他のキャラクターを際立たせることもあるんですが、こと「ブレードランナー」においては全員例外なくまともじゃない。
- レイチェル→自分の記憶が偽物で頼れるのが酔っ払いのデッカードしかいないから愛しちゃおう!(えーーー!ホントにそれでいいの?)
- 署長→依頼相手に酒飲ましてさらに脅す。(警察で無理なのを依頼してるんじゃないの?)
- ガフ→君、味方のなの?敵なの?ってかそも何考えてるのさ?折り紙が得意技なのは分かった。
- チュウ→レプリカントの目玉を製造しているんですが、鼻歌歌いながら「フヒヒ」とか笑いながら作ってます。マジで変態です(笑)
- セバスチャン→いくらなんでも寂しがり屋過ぎるよね。
- ロイ→なまじっか感情なんか持つんじゃなかった。精巧になればなるほど狂わずにはいられないでしょ。。。(これ、物語の主題に近い部分)
などなど、他の登場人物も1人としていかれていない人物はいない。唯一、デッカードにチンタオを売ってた眼帯のおばさんくらいか?まともなのは?
この映画のほとんどがイカれた登場人物で、構成された物語という事になります。

変なことは魅力的だったりする。タイレル社長の奇行。

とまあ、細かく分解して自分の生活とどれだけかけ離れているかを想像してみると思わず笑ってしまったり、頑張ってるのになんか少し変なのって魅力的だと思うんです。
例えば、タイレル社長も。
この人、天才頭脳でネクサス6を作り出して世に売り出すんだけど、精度を上げるために知力を上げ、その上がった知力により自己否定感情に陥らないように安定剤代わりに偽の記憶を植え付け、安全装置として感情が芽生えない4年の内に寿命を迎えるように設定。
ってなんて不安定でコスト高なのか。
商品としてはただの人間みたいなロボットでよかったんじゃないか?
自分の好奇心を満たす為なら、レイチェルみたいので満足しておけばよかったのにまず商品で試してみたって。。。
結果、ロイたちに4年以内なら持たないはずの感情が芽生え、反乱→タイレル社長殺害となる。
なんともお間抜けな結果に。
この間抜けなところがなんとも「くすっ」ポイント。
さらにこの社長役を務めたジョー・ターケルという役者さんなんですが、この人、演技が全くできないばかりか、全くセリフを覚える事が出来ない人だったそうです。
最初にデッカードとの会話するシーンでは周囲にすべてのセリフを書いたカンニングペーパーを吊るして、それを読んでいっただけなんだそう。
細かく見ると確かにデッカードと視線が合ってないんですよね。しかもカットごとに見てるとこが違ってるんです。そりゃカンニングペーパーを見てるんだから視線も合いませんわ。
このシーン見てなんか違和感を感じた方!これが原因です(笑)


演技したいハリソン・フォード、させない周囲にイライラ。

役者、演技者、いろいろ言い方はありますが、演技をする事に勝負を賭けている人の事です。
この当時のハリソン・フォードは「スターウォーズ」、「インディ・ジョーンズ」で世界的大スターになり、しっかりとした演技の出来る作品に出演することを希望していたそうです。
そこで「ブレードランナー」主演のオファーが来た時にSFとは言え、ハードボイルド路線の派手なドンパチのない、じっくりストーリーを語る作品だと分かりホクホクとして出演をOKしたそう。
ところがタイレル社長役ジョー・ターケルも、レイチェル役のモデル上がりの女優ショーン・ヤングも、まるで演技が出来ない。。。
しかも監督のリドリー・スコットは元CM製作者でかっこいい映像のことしか考えてない監督でした。まったく役者に演技力を求めていないんですね。
「まともに演技できるのはオレだけか!?」と絶望してしまったそう。
そこでハリソン・フォードも一目置いてるロイ・バティ役のルトガー・ハウアーがハリソン・フォードをなだめてしぶしぶ撮影を続行することになったそう。
だから、ムスッとしていたり、ウンザリしている演技は心底ウンザリしているのが出ているので、ある意味真に迫っています(笑)

なんでこんな目に合わなきゃいけないの?ショーン・ヤング。

元々はバレリーナを目指していたそうなんですが、ケガにより断念してその長身と姿勢の良さを生かしてモデルに転身。その後女優へ。
そして「ブレードランナー」のオファーが来て主演がハリソン・フォードだと知った時にすごく喜んだそう。
初めて会った時もドキドキしながら自分から声をかけ「大ファンです、一緒に仕事出来て光栄です!」と挨拶したそう。

ですが、ハリソン・フォードは演技経験のほとんどない彼女の事が気に入らずにムスッとしていたそう。
しかもラブシーンの撮影時には、本当はデッカードがレイチェルを優しく抱き寄せ、優しく甘いキスをするというシーンだったのを、ハリソン・フォードがアドリブでいきなり激しく壁に押し付けたりして襲い掛かるようなシーンにしてしまいました。
かなり荒っぽかったので身体にあざが残ったりしたほどだそうです。
ショーン・ヤングはそれまでのハリソン・フォードの態度もあって、訴える事も一時は考えたそうです。
荒っぽすぎるのもそうなんですが、乱暴に扱われて非常に怖かったのだそうです。それでも気丈に演技を続けて出来たのがこの画像のキスシーンでした。

名シーンを演じたのに!ルトガー・ハウアー

リドリー・スコット監督が映像の事ばかりを考え、役者に演技力を一切求めないという事に腹を立てていたハリソン・フォードに比べて、脚本をすごく気に入っていたルトガー・ハウアーは監督に協力的に撮影に臨んでいました。
映画を成功させるためにハリソン・フォードやショーン・ヤングをなだめて撮影を進めるようにしたりしてたそう。
みんなの潤滑油のような役割を果たしていたんですね。
ラストシーンの撮影に際し監督に「なぜロイは落下するデッカードを助けたのか?」と質問したそう。
リドリー・スコットは「反射だよ。死んでしまうような目に合っている人間を助けるようにプログラムされているから、とっさに反射で助けてしまったんだよ。」と答えました。
それを聞いたルトガー・ハウアーはひどく感心してロイ最後のシーンの撮影に臨みました。
助けてしまった後の演説は実はルトガー・ハウアーのアドリブだそう。
殺そうとした相手でさえプログラムに逆らえずに反射的に助けてしまう、自分が人工物なのだとまざまざと思い知らされてしまう悲しいシーン。
「なんだ。やっぱりただの人工物だったんだ、あ~あ、なんだかな~」的に自分は人工物であったという事を受け入れて、自嘲的に笑みを浮かべながら
「おまえたち人間には信じられないようなものをオレは見てきた。 オリオン座の近くで燃える宇宙戦艦。 タンホイザー・ゲートの近くで暗闇に瞬くCビーム。 そんな思い出も時間と共にやがて消える。 雨の中の涙のように。 死ぬ時が来た。」 (原文:I’ve seen things you people wouldn’t believe. Attack ships on fire off the shoulder of Orion. I watched C-beams glitter in the dark near the Tannhäuser Gate. All those moments will be lost in time, like tears in rain. Time to die.)
©Warner Bros. Entertainment Inc./「ブレードランナー」より

「カット!」の声が掛かった時にスタジオではこのシーンの素晴らしさに歓声が上がったそう。
ものすごくいいシーンが撮れたし、監督のメッセージを最大限に伝えるシーンに出来たのではないかとうれしく思っていました。
ルトガー・ハウアーは映画雑誌などでそのシーンについて「レプリカントに人間の本当の感情が宿ったからデッカードを助けたのだ」とか書かれているのを見て、いやいや違うよと思っていました。
しかし何年後かに、とあるインタビューでリドリー・スコットが「レプリカントにホントの感情が芽生えたから助けた」と答えているのを見て落胆したそう。
ルトガー・ハウアーの献身的な協力とメッセージに対する演技へのこだわりがなかったことにされてしまったという事態に。

人気の高いプロップス:ガジェットや小物、メカニックなどの魅力

この映画が長く愛されている大きな理由のひとつに出てくるモノがいちいちカッコよかったりオシャレだったりというのがあります。
※プロップスとは映画小物の事。(最近はガジェットとかアイテムなんて呼ばれますが、映画に限っての言い方としてプロップスと言います。)
いくつか挙げていきましょう。
- 冒頭から出てくる、スピナーと呼ばれる空を飛ぶ自動車。
- 署長室で署長に継がれる酒が珍しい形したビンのジョニーウォーカー黒。
- デッカードが持っている銃、ブラスター。
- 柄が光る傘
- 「チンタオ」と呼ばれる独特のカーブをもつビンの酒。
- デッカードが酒を飲む時の各種グラス。
- デッカード自宅の幾何学模様の壁材。
- タイレル社長のチェス盤と金属製の駒。
など、目を引くモノだけでもこれくらいはあり、その全てが実は関連品として商品化されていたり、実は別名称でもともと商品として販売されているモノだったりします。

スピナーやブラスターはプラモデルやモデルガンとして販売されていて結構人気が高いです。ものによっては入手困難で非常に高値で売買されていたりします。
デッカードブラスターについて
デッカードが持っている銃は「ブラスター」と名付けられています。
「ブラスター」は正確な意味は不明ですが、どうやら、火炎もしくは強烈な熱を発射するものというイメージのようです。
SF的には「熱線銃」「熱戦砲」と訳すことが多いみたいです。
デッカードのブラスターは実弾を撃っているのか熱線なのかは劇中で語られないので不明です。

そもそもふたつの銃を組み合わせて作られたデザインでリアルな感じがたまりません。
そしてこの銃の特徴としてトリガー(引き金)がふたつあります。
設定として正しいものがどれなのかは不明ですが、
- 実弾と熱線それぞれ用のトリガー説
- ダブルセットトリガー説
以上の二つの説があります。
劇中で、熱線なのか実弾なのかは見た感じや音からは全く分かりません。というか、発砲音は一種類です。
どうなんだろ?
ダブルセットトリガーは片方が通常のトリガーでもう一つがセットトリガーというもの。
セットトリガーを引いてからだと通常トリガーをより軽く引けるというもの。
命中精度を高めたい時に使う訳です。
が、通常セットトリガーは銃把側についていますが、デッカードは撃つ際にそちらに指を掛けているのが確認できます。
この説も「う~~ん」なんです(笑)
じゃあ、もう一つのトリガーは本当に何のためについているのか?謎ですね~♪
登場するお酒に注目

ジョニーウォーカー黒も作中の形状のビンのモノは結構高値で売買されているみたいです。

そして作中で「チンタオ」と呼ばれている酒なのです。
実はこのお酒はウォッカで、その名も「スミノフ・ド・ツァー」。
ド・ツァーは「皇帝」を意味します。
実はウォッカの中でも非常に味の良い逸品としてしられるお酒です。
残念ながらこのお酒は1996年くらいに終売してしてしまっていて今ではほとんど手に入れる事は出来なくなってしまっています。
メルカリ見ても「10万円でお譲りします」とか空き瓶のみ1万円とか、とにかくプレミアムです。

そして今や「デッカードグラス」と呼ばれるようになったグラス。イタリアの老舗クリスタルメーカー「アルノルフォ・ディ・カンビオ」製のウイスキーグラスだそうです。
メルカリで15000~60000円とかで売買されています。
デッカードの部屋の壁材

デッカードの部屋のキッチンで壁にあしらわれている幾何学模様のタイル。
フランク・ロイド・ライトというデザイナーがデザインしたLAのエニス邸に使われたタイルなのだそうです。
「エニスハウスタイル」と呼ばれ、以前は売買されていました。
最近はレプリカなどが出ているみたいです。
オシャレですよね~。

ユニコーンの夢と折り紙とデッカード=レプリカント説
この映画ではユニコーンが象徴的に出て来ます。
デッカードの夢とガフが折ったであろう折り紙です。
ユニコーンは想像上の実在しない動物です。額に大きな一本角が生えた馬です。
つまり人の創り出した動物です。
その夢をデッカードが見るというのは象徴的で、実はデッカードも人が作り出したものであるという事を表しているという事です。
そしてガフが得意とする折り紙。

最後レイチェルと二人で逃げようとする時にデッカードが見つけるユニコーンの折り紙。これは以下を表すものです。
- 直前まで処分するべきレプリカントの残り、レイチェルを追ってガフがそこにいた事の証明。
- 見逃してくれたという事。
- デッカードがユニコーンの夢を見たことをガフが知っている事、記憶を観る事が出来る。つまりデッカードがレプリカントである事の証明。
という事なんですね。

そして実は劇中レプリカントたちの目が反射で赤っぽく光るシーンが繰り返し出て来ます。これは目が光ったらレプリカントですよという意味のシーンなんです。
レイチェルの目も光ります。そしてデッカードも光るシーンがあります。
つまりデッカードもレプリカントとしてこの映画では描かれているという事なんです。
という風に電八的には解釈しております。
もちろんこの説は論争を呼んでいて、解決されていないんですけどね。
確かに、人間離れした能力のレプリカントを追い始末するというのを人間にやらせるのは効率も悪いです。

むしろそういった人のやりたがらない仕事をさせるためにレプリカントは開発された訳なのでレプリカントにやらせる方が理由として明確です。ブレードランナーはレプリカントなのでしょう。
ガフはどうかというと恐らく彼はブレードランナーではないでしょう。人間相手の警察などとのやり取りを円滑にするためのブレードランナーの仕事の報告・監視をする人員なのだと思われます。
だから監視下のブレードランナーのメンテナンスなどもしているのでしょう。
デッカードの夢の記憶を見ることが出来るのもそれが理由だと思われます。
これはあくまでも電八的個人の見方です。正しいとか言ってるのではなくその方が楽しいからそう解釈しているというだけです。


ラストシーンの違い

この映画にはバージョンとして「○○版」というのがいくつかあります。

- その中でラストシーンがデッカードとレイチェルがエレベーターに乗って扉が閉じたところで暗転してスタッフロールが流れてくるバージョン。
- 扉が閉まった後に未来カーに乗って走り去っていくシーンから山間の空撮シーンで終わっていくバージョン。
全体的に前者の方がカッコよくて評価が高いんです。
監督としてもその方がいいと思っているようで、最終版やファイナルカット版では前者のラストシーンが採用されています。
後者のラストシーンは完全版で採用されました。
実は一度クランクアップした後に付け足しで急遽バタバタ撮影したそう。
ハリソン・フォードもショーン・ヤングもお互いにうんざりしていて、ほんの数時間だけの撮影で終わらせるならという事で撮影したそう。
本当に数時間で一発OKで撮影終了したそうです。
山間の空撮シーンは実は映画「シャイニング」で撮影されたフィルムを買い取って編集して繋げたものというのは有名なお話。

知っておくとより楽しめる:サイバーパンク運動

細かい解説は他に詳しい方がガッツリやっているので、かいつまんで分かり易いところを抑える程度に。
1984年に当時新人作家だったウイリアム・ギブスンのSF小説「ニューロマンサー」が発表されて、コンピュータが神経接続されているのが当たり前の世界が描かれました。
そして舞台となる「チバシティ」は日本の都市で、その景色は新宿歌舞伎町を思わせます。
漢字・カタカナ・ひらがな・英語・中国語などが派手に雑多に看板やネオンサインに溢れかえる様だったり、屋台からは湯気がもうもうと立ち昇っていたり、濡れた路面にネオンの光が反射して映り込み美しく輝く様子などが描かれています。
監督のリドリー・スコットはこの感じが大好きで、1989年「ブラックレイン」でも映像に取り入れています。
要は、コンピュータを神経接続されているキャラクターがいたり、サイボーグやアンドロイドが出てくる物語で舞台が新宿歌舞伎町のようなギラギラした雑多な都市のものを「サイバーパンク作品」などと表すようになりました。
これがその後の、「攻殻機動隊」や「マトリックス」などに繋がっていくんですね~。

まとめ

自分が後で見てニヤニヤするための分も含めてかなりの文字数を増筆させていただきました。
恐らく、この映画については続編も含めて飲みながら語ったら何時間あっても足りないのではないでしょうか。
見方として細かく分解して見ていく(登場人物ごとや、シーンごとや背景描写とか。)と面白いと感じられる要素を発見できる可能性が高まります。
よく映画を映像の構造や構図、カット割りの手法などで語る方いらっしゃいますが、そんな知識なくても、「小物ひとつがとってもかっこいい」とか「このアイドル出てる!!」という理由だけでその映画を好きだって言っていいんです!

というか、「こんなことも知らないの?」とか言っちゃう人はその一言でどれだけの映画ファンを減らしているか。
モノを知らない「にわかファンが荒らす」のは当たり前です。ベテランとか第1のファンだと言うなら、にわかでも好きになってくれた人に、「こんな事もあって楽しい」とか「ここは外せないから要チェックしよう」とか教えてあげればいいだけの事です。
オタクが知識マウント取って語る時代はもう何十年も前に終わっています。
映画や音楽、文学や美術、ファッションなど別になくても生きていけるモノ。でも心を満たすのに重要文化なのだから、せっかくならみんなの心が満たせるように考えていきたいところです。
また、映画自体の外の背景なども映画を楽しむのにいい材料となります。
※楽しまないと損だ。

そして続編映画の「ブレードランナー2049」へ。
33年ぶりに続編が製作され公開されました。
素晴らしいのはハリソン・フォード演じるデッカードが再び登場し、もちろん物語のキーパーソンとなっている事です。
なお、ただいますべてではありませんが動画配信サービスで観る事が出来ます。
以下のリンクから登録どうぞ。

おまけ

冒頭に登場するホールデンという捜査官はリオンに銃で撃たれてしまいます。
その後のブライアント署長とデッカードの会話で死んでしまった事になっています。
しかし実は生きていて病院でホールデンからデッカードが話を聞くシーンと言うのが撮影されていたんですね。
これ以外にもカットされてしまった映像が実は多々あります。

冒頭の屋台のシーンでデッカードが食べようとしていたメニューはご飯に魚がまるごと、ドドン!と乗っかてる丼だったりします。
デッカードはこれを「4つくれ」って言いいますがおやじに2つで十分だと断られます。
デッカードはそれでも負けずにうどんをふたつ頼みます。
どんだけ食うのか?(笑)
こんな感じで掘っても掘ってもいろいろ出てくるのが「ブレードランナー」の楽しいところでもあります。

最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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