今年は一足早く梅雨の時期を迎え、すぐに本格的な夏がやってきます。
もちろん夏といえばレジャーシーズンであり、慣れない場所へのお出かけも多くなると思います。
つまり慣れない場所での思いがけない危険も増えるというわけです。
そこで特にアウトドアで夏といえばという、風物詩的な危険であるスズメバチについて書きます。
スズメバチって本当に危険?
ズバリ!、アナフィラキシーショックといって刺されたら即死してしまうケースがあるくらい危険です。
スズメバチで一番大きく凶暴で強力なオオスズメバチに至っては、陸・海・空合わせた有毒生物の中でトップクラスの強力な毒を持っています。
他の種のスズメバチもオオスズメバチほどではなくても強い毒を持っています。
そしてミツバチと違い、スズメバチは毒針で何度でも刺すことができるのです。
刺すだけではなく毒を噴霧することもできます。
毒液中のアルコールには警報ホルモンが含まれていて、噴霧することで巣への危険が迫っていることを仲間に知らせる役割もあります。
つまり、対象が1匹に遭遇し怒らせ刺されると、仲間が察知して寄り集まってきてさらに刺されます。それでさらに興奮して攻撃性が高まりますます刺しまくるというのを、対象が行動不能になってしまうまで行われるわけです。
そして黒色に強く反応して攻撃を仕掛けます。
これは黒色の部分が目や頭部など動物の弱点であり、効率よく自分たちよりも巨大な動物を狩るための習性であろうと考えられています。
まとめると、非常に危険な急所をものすごく強い毒を持つ毒針で何度も刺し、仲間を呼び、刺しまくるという、恐ろしい攻撃を仕掛けてくるのがスズメバチです。
活動パターンは?
初夏から秋口にかけてと活動が活発化するのはほかの昆虫と一緒です。
基本的に5~6月に冬眠から醒めた女王蜂が巣を作り始めます。
巣作りを守るために巣に近づくものに警戒します。
7~8月は繁殖期です。女王蜂が繁殖して個体数を増やします。幼虫を守るために周囲を警戒します。
9~10月は冬眠準備期です。幼虫のエサである他の昆虫が少なくなる時期です。腹を空かせていてより獰猛になっています。
11~4月は冬眠機。来春に新しい女王が選抜され、その女王を中心に新しいコミュニティを作る手伝いが必要になるまで眠ります。
つまり冬眠時以外は基本的に攻撃的で秋口になると獰猛になっているということです。
活動時は基本的に安心できない存在だということです。
特に危険なオオスズメバチ
体長平均4~5cm程度、幼虫も4cmくらいには成長します。その名の通りスズメバチの中で最大の種です。
強力な大顎で噛み付くことで捕食対象を粉砕します。
時速約40 kmで飛翔する飛行能力の高さと、狩りをする時は1日で約100 kmもの距離を移動できるスタミナを併せ持った頑強なボディ。
毒は複雑な混合物になっていて「毒のカクテル」とよばれています。
- 炎症毒(触れた皮膚を炎症させる)
- 神経毒(心停止や呼吸停止の原因となる)
- ペプチド(アナフィラキシーショックの原因となる)
- タンパク質(細胞を分解し、アナフィラキシーショックの原因となる)
以上の武器を使った戦闘力の高さも異常なほど高いです。
同じスズメバチの仲間であるキイロスズメバチ1000匹の巣を、オオスズメバチ30匹ほどで襲い3日程度で全滅させてしまいます。
エサとしてミツバチや他のスズメバチのコロニーも攻撃して、幼虫やサナギを根こそぎ略奪してしまいます。
日本全国に分布している要注意のハチです。
攻撃を受けないように予防策を
あわてずさわがず静かに
スズメバチを見かけたら静かにその場を離れるのがベストです。
スズメバチは巣の10m以内に近づくと警戒体制に入り、カチカチとあごを噛み鳴らして威嚇したり、攻撃してきたりします。
騒いだり、手ではたいたりすると、より興奮して攻撃的になります。警報フェロモンを噴霧されてしまったら仲間が大挙して襲ってきます。
静かにその場を離れましょう。
香水や黒い洋服は避ける
香水や黒い服もスズメバチを興奮させる恐れがあります。
アウトドアでは香水や黒い服を控えるのがよいでしょう。
香水には、しばしばスズメバチ類の警報フェロモンと同じ物質が含まれていることがあり、近づくだけで攻撃対象として認識されてしまう恐れがありあります。
黒い服は、スズメバチ類がしばしば幼虫やさなぎの捕食者として攻撃標的とするからです。
ヒトを含む大型哺乳類の弱点が黒色部分(眼や耳孔など)だから優先的に攻撃するのだと言われています。
また、防護服などは概ね白いが、だからといって白い服なら安全というわけではないです。
例えば夜になると白い服でも積極的に攻撃されることがあります。
色のコントラストを識別して攻撃しているものと考えられます。興奮したスズメバチは、昼間に白い色でも攻撃します。(黒い色のものをより攻撃する)
飲み残しや食べ残しを放置しない
バーベキュー等アウトドアで飲食する場合に、飲み残しや飲んでいる最中に一時手を離して放置された清涼飲料水やアルコール飲料の缶内にスズメバチが潜り込み、再度飲もうとするときなどに口などを刺される事故がよくあるそうです。
スズメバチは活動に必要な糖分を求めてビールや缶チューハイと呼ばれる一連のアルコール飲料や、各種清涼飲料水に誘引されます。
飲まないときはクーラーボックスにしまう、飲み終わった缶は水ですすぐ、缶入り飲料を避けるなどスズメバチを寄せ付けないよう注意を払う必要があります。
また食べ物でも同じことが言えます。食べなくなったものや生ゴミなどは袋などに入れ、匂いが漏れないように口を縛っておきましょう。
もちろんその辺に撒いたりポイ捨てしてしまったら、匂いでスズメバチが寄ってくる可能性が高まってしまうのでやめましょう。(マナー違反でもあります)
刺されてしまった時は?
まずは巣から離れる
スズメバチの毒液には警報フェロモンが含まれていて仲間を呼び寄せます。巣が近くにあるかもしれないので、速やかにその場を離れましょう。
応急処置はそれからとなります。
応急処置
自己注射薬を使用する
あらかじめ医師から処方を受けて自己注射薬のアドレナリン製剤(エピペン)を入手している場合はこれを使えば一時的にアナフィラキシーショックをやわらげることが出来ます。
毒を体外に出す
傷口を強く絞ったり、吸引器(ポイズン・リムーバー)を使用して毒液を体外に出す。絶対に口で吸ったりしてはいけません。(口の中に傷があった場合に危険であるため)
傷口を洗い流す
傷口を流水で洗い流す。患部を冷やして、毒を排出するためです。
※尚、俗によく言われる「ハチに刺された時にはアンモニアが良く効く=おしっこをかければよい」というのは完全に迷信です。余計なことはせずに上記の順で応急処置することが大切です。
医師にかかる
できるだけ早く医師や病院で処置を受けることが大事です。
刺されてから30分以内に体調に変化が出た場合は救急車を呼ぶか、自動車で最速で病院に連れて行ってもらいましょう。
まとめ
この記事でわかることは
- いかにスズメバチが危険な生物であるか
- 特に危険なオオスズメバチ
- スズメバチの行動パターン
- 予防策
- 刺された時の対処法
以上5点となっています。
せっかくの楽しい時間が台無しになったり、悲しい時間になってしまわないように知識と準備は必要だと思います。
おまけ
もしもの時用にファーストエイドキットを用意するとよいと思います。
災害時にも役に立つものがセットで入っているものがあります。
命にかかわるものですからケチらずに用意をしておくとよいと思います。
もちろんアウトドアでも役に立ちます。
キャンプや登山などアウトドアがお好きな方にもぜひ。
ポイズンリムーバーも入っています。
今回紹介するものはケースが赤くリュックサックなどの奥の方に入っていても見つけやすく、コンパクトですが遭難しても生き残るために必要であろうモノが入っています。
いざという時に頼りになります。
コメント