※2022年1月23日に書いた記事を追記修正いたしました。
2022年12月16日(金)に公開された続編のために前作を復習していきましょう。
2008年頃から、TV番組や映画は3D映像を楽しむのがトレンドとなっていて3D機能搭載TVが販売されていました。
もちろん、映像制作においても3Dを意識した画作りが行われていました。
その中で恐らく最もヒットしたのが今回紹介する映画「アバター」です。
ちなみにIMAX 3Dで2022年9/23から2週間限定 で『アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』劇場公開となっていました。
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
是非ご覧になってください。
無料期間中であれば、無料視聴できますので是非お試しあれ。
▲期間内の解約は0円で、簡単に登録・解約できます▲
作品概要
2009年公開のジェームズ・キャメロン監督の叙事詩的SF作品。ジェームズ・キャメロンはその他に脚本・制作・共同編集を務めた。
いわゆる集大成ともいえる映画で構想14年、製作4年をかけた超大作。
3Dを意識した絵作りになっているので、理想はやはり3Dで鑑賞することです。
CGを多用したVFX映像が特徴で、アカデミー賞では作品賞、監督賞を含む9部門にノミネートされ、美術賞、撮影賞、視覚効果賞の3部門を受賞した。
2作目である「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」は2022年12月16日に公開で、その後の続編は2024年12月20日、2026年12月18日、2028年12月22日に公開予定。
5作目まで予定されています。
ざっくりあらすじ
22世紀半ば、人類は地球から遠く離れたパンドラという星で「アバター計画」に着手していました。
この計画に参加した元傭兵のジェイクはパンドラの先住種族ナヴィの娘・ネイティリと恋に落ちます。
ナヴィの文化や生き方に共感したジェイクはパンドラの環境を脅かす任務に疑問を抱き、この星を救うための戦いに身を投じる事を決意するが――。
何がすごかったのか?
この映画のすごさについてのまとめです!
- アカデミー賞9部門ノミネート3部門受賞。
- 仮想現実と拡張現実の最大限の活用の形を見せた
- バイオ技術で製造された「アバター」という新しいアイディア。
- SFではありますが、アメリカ建国に関わる歴史がメッセージとして込められています。
- あらかじめ3Dを意識した画作りで壮大なパンドラの世界観を表現。
- 3D映像を撮影するために新たに特殊なカメラを開発して撮影。
- 言語学者の力を借りて独自のナヴィ族の言語を作り出した。
基本設定
西暦2145年、人類は遠く離れた惑星ポリフェマスの最大衛星パンドラに鉱物採掘基地を設置して開発を行っています。
この星は熱帯雨林のような未開のジャングルに覆われていて寧猛な動物たちと”ナヴィ”と呼ばれる先住種族が暮らしていて、森の奥には地球のエネルギー問題を一挙に解決できる希少鉱物の鉱床がありました。
この星の大気は人間には適さないので屋外活動には適していない為、ガスマスクをつけての活動を余儀なくされていました。
そこで原住民族ナヴィと意思疎通や交渉をするために、人間とナヴィの遺伝子を組み合わせた人造素体「アバター」を製造し、交渉や互いの文化交流を図り希少鉱物の鉱床開発をスムーズに行う計画が行われたのでした。
これが「アバター計画」です。
先住民族との争い
アメリカはヨーロッパからの移住において、もともと大陸にいた先住民を野蛮な民族として、追いやり戦争になった歴史があります。
もちろん、この映画はその辺を描いています。このモチーフはアメリカの映画では結構多用されています。
それは、『建国のための聖戦』として描くか、『残酷な人種差別による虐殺』として描くか、と言いう事で大作や問題作に使用されるテーマです。
今作は『残酷な人種差別による虐殺』を描いています。
日本で言えば、「開国派」と「尊王攘夷派」をどちら側の目線で描くかという事と似た感覚なのだと思います。
文化的な感覚として歴史観が非常に重要な要素になっている事を感じさせます。
「アバター計画」の有用性の高さ
本作中に出てくる「アバター計画」は、分野として今現在すでに研究されているモノです。
身体が不自由だったり、移動に耐える体力がない人々に対して大きな影響を与えるモノです。
意識を仮の身体である「アバター」に移植して、パンドラの森や大地を自由に動き回れるようになるという事のが描かれています。
また劇中のように空気が猛毒であったりという、過酷な環境下でも活動できるようになります。
本来の肉体に囚われない活動や作業、大きく言えば生きていく事が可能になるわけです。
いわば、仮想現実と拡張現実の技術を最大限に応用したモノです。
生体パーツでアバターを製造するのは、恐らく現在では倫理的な問題があって実現は難しいかもしれないですが、これが実現できれば、身体障害者という概念はなくなっていく事でしょう。
それが証拠に劇中の主人公・ジェイクは本来の肉体は両足が動かないという障害を持っていますが、ナヴィ族のアバターでは自由自在に動き回ります。
3D(立体的)映像に関して
本作が公開された頃は3度目の3D映画ブームで、他にもたくさんの作品が3Dで上映されたり、BDソフト化されています。
しかし、予算の都合上、2Dで撮影したものをコンピュータを使用して3D映像に見えるように加工したモノも少なくありませんでした。
本作の監督ジェームズ・キャメロンは「3D映画を撮影したいならば、3Dカメラを使用して撮影するべきだ」と言っています。
カメラ自体が3D映像を撮影するためのモノを使わなければ、あくまでも「3Dっぽい」だけで、奥行き感や立体感は損なわれてしまいます。
本作は、撮影チームが2台のカメラを連携させて撮影できる特殊な3Dカメラを開発して撮影に臨んだとの事です。
フュージョン・カメラ・システムと名付けられました。
今となってはほとんど観る事がかなわなくなっていますが、機会があるのであれば1度はご覧になっていただきたいと思います。
TVはもうなくなってしまいましたが、3Dスクリーンを楽しめる映画館はまだあります。リバイバル上映があったら是非に。
ちなみに2022年9/23から2週間限定で『アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』を劇場公開しています。
3D映画ブームのざっくりした流れ
3D映像(立体映像)の歴史は古く、1920年代にはすでに存在していました。
その後、1950年代に入り、テレビが各家庭に普及するなどして、3Dテレビの開発や3D放送が実験的に行われるなどしていました。これが第1次3D映画ブームです。
そしてなんと3D放送を本放送で放映したのは、日本テレビでした。世界で初めて連続テレビドラマ『オズの魔法使い』を3D放映しました。赤青メガネを使って見る方式でした。
第2次は1980年代にアメリカのケーブルTV会社が赤青メガネを配布して、『雨に濡れた欲情』(1953)という立体映画をアナグリフに変換して放送したのがきっかけでブームが巻き起こります。
映画で『13日の金曜日Part3』(1982)や『超立体映画 ジョーズ3』(1983)のような話題作がありました。
そして、2009年に「アバター」の公開をきっかけに第3次3D映画ブームが起きます。
しかし、眼鏡を掛けなければならない煩わしさから、3D自体の人気はそれほど高くならずに2,3年ほどでブームも消え、3Dテレビも姿を消していきました。
続編である「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」も、もちろん3Dを意識した画作りに仕上げられています。
主に水の中のシーンが、まるで自分も水の中にいるように感じられるように撮影されているそうです。
ざっくり3D映像の仕組み
人間の目は2つあります。これが顔の正面にあって左右それぞれの目で受け取った光を脳で合成することで「見る」という行為を行っています。
つまり2つの目はそれぞれにほんのちょっぴりずつズレた像を見ているわけです。これによって奥行き感を得ることが出来、立体的にものを感じて見る事ができるようになっています。
このズレた像を逆に利用して、右目用、左目用のほんの少しズレた映像をそれぞれに見せることで平面のはずの絵柄が立体的に感じられるようにする技術が3Dです。
つまり、右目と左目で別々の映像を見せているんですね。右目には右目用の映像だけを、左目には左目用の映像だけを見せるために特殊な眼鏡をかけるわけです。
ここで立体感を感じやすい人とそうでない人が生まれてしまう訳を。
右目と左目の間の距離を視差(しさ)と言いますが、これってもちろんみんな一緒なわけではなくて個人差があります。
3Dメガネは人間の視差の平均値で設計されています。この平均値から離れれば離れる程、3Dの効果が薄くなる訳です。
目と目が近い人、逆に離れている人には効果が薄いわけです。だから残念ながら個人差が出てしまいます。
なので3Dメガネを使用しない方法をという事で、裸眼3Dが考案されます。
ゲーム機のニンテンドー3DSのように、裸眼で3Dを楽しむものもあったのですが、これはメガネを使う代わりに画面自体を波打たせて歪めることで似た効果が出るのでこれを利用しています。
この技術は小さい画面で効果を発揮しやすいものでした。
東芝から発売された大型テレビで、同じ原理を利用した裸眼で3Dを楽しめる機種が発売にはなりましたが、歪んだ映像を長時間見続けるので気分が悪くなったという声が多く、この機種以降は新機種に裸眼3Dが搭載されることはありませんでした。
メカニックデザインや影響を受けた作品など。
ジェームズ・キャメロン監督は割と似たデザインのメカが好きなようです。
「エイリアン2」に登場する着陸船などに近いデザインのメカや、ヘリコプターのようにローターを旋回させて自在に飛行するメカも出て来ます。
この辺りはジェームズ・キャメロン監督が実は日本のアニメ・コミックス愛好者で、「攻殻機動隊」や「銃夢」などにけっこうな影響を受けている事が原因のようです。
「銃夢」に至ってはイメージを投影したテレビドラマ「ダーク・エンジェル」を脚本・製作総指揮していまいた。
その後、念願の映画「アリータ: バトル・エンジェル」で「銃夢」を映画化し脚本・制作で参加しています。
また、AMPスーツは「エイリアン2」のパワーローダーを元にしています。しかもパワーローダーの元ネタが「未来少年コナン」に登場する作業メカのロボノイドです。
大破壊と主人公カップルの苦境
まずは基本的に核爆弾をモチーフにした大破壊が起きる映画をよく撮る監督です。「ターミネーター」シリーズや「エイリアン2」などです。
原水爆反対のメッセージはもちろんありますが、基本的に大爆発が好きな監督なんですね。
また、主人公カップルがかなりの確率で敵対しているグループにそれぞれが属していたりと、恋をするのにかなりの苦労を強いられる設定になっている事が多いです。
代表作「タイタニック」では階級の違いに苦しめられていたり、「ターミネーター」も歴史干渉の恐れに苦しみ、結ばれますが両方とも男性は亡くなってしまいます。
本作も人種の違い、文化の違いに苦しみます。
この作品に関しては最終的に主人公はナヴィの英雄になり、ネイティリとの恋は認められます。
2作目以降は2人の恋の行く末はどうなっていくのかというのも見どころの一つではあります。
ただ、公開から10年以上経過していますので、元々の俳優陣がそのまま出演というのもどこまで実現できるのかという処もあり、気にかかるところです。
なぜ2作目製作までにこれほど時間がかかったのか?
ジェームズ・キャメロン監督は完璧主義者であり、自分が納得いった脚本や予算などで初めて撮影を開始するのだそうです。
「アバター」に関しては続編4作品すべてを監督の納得いく脚本に仕上げるのに10年余りの時間がかかってしまったのだそうです。
「全5作品になる壮大なアバターシリーズの脚本をまとめるのに時間がかかったんだ」とインタビューに答えているそうです。
後付けの繰り返しによって、辻褄が合わなくなったり、雰囲気が1作目と変わってしまったりしないように、きっちりと納得いくものに仕上げたわけです。
すばらしく練り上げられた壮大な脚本が出来たので撮影したという事です。
これは楽しみですね~♪
おまけ
ナヴィ族のデザイン
ナヴィのデザインはジェームズ・キャメロンの母親が夢で「背丈が12フィート(4mほど)の肌の青い女性を見た」という話しが元になっているそうです。
また監督自身がヒンドゥー教のデザインなどが好きで、ヒンドゥー教の神々につながっているブルーという色もいいと感じてデザインが決定されました。
Panasonicとの提携
3Dテレビ全盛時の公開で、BDソフト化される時にはパナソニックと提携していました。
2010年~2011年当時は3Dテレビを購入すると各メーカーで3Dメガネが無料でもらえたり、3DBDソフトがもらえる特典がありました。
パナソニックも3Dテレビ購入特典として3Dメガネと「アバター」「ボルト」などの3D映画ソフトがもらえました。
しかも特典専用の非売品ソフトの「アバター」には中にパナソニック3Dテレビで鑑賞するにあたっての最適画質設定を記載した用紙が封入されていました。すごいのが購入したテレビの機種ごとの最適設定が記載されています。
しかし、テレビの3Dは衰退します。メガネを掛けなければならない事と4Kという超高画質により立体映像のような没入感がメガネなしで得られるようになってきたためです。
仕組み上、3Dは明るさが半分になってしまうので、高画質を目指すと3Dは断念せざるを得なかったそうです。
ちなみにただいまU-NEXT、Amazonプライムビデオでレンタル配信中です。
ディズニー作品なのでDisney+では見放題配信。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
この記事を気に入って頂けましたら幸いです。
また是非、SNSなどでシェアしていただければと思います。
コメント