いつの時代でも「強さ」に憧れを抱く人はたくさんいます。
今回紹介する「北斗の拳 劇場版」は当時では衝撃的な強さを描いていました。
戦う力としての強さ、己の欲望を満たすための執念の強さ、愛に命を懸けられるひたむきな思いの強さ、などそれまでにない描かれ方でした。
大ヒットしたマンガ「北斗の拳」がアニメ化そして劇場版アニメになったのも当然と言えば当然だったのでしょう。
※2025年2月1日加筆修正いたしました。
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※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
※注意:この記事には気分を害する恐れのある画像や映像が含まれます。ご注意ください。
作品概要
1986年公開作品。賛否両論を引き起こした暴力描写の過激さが話題になりました。(破裂し飛び散る人体や内臓の描写がほとんど効果などで隠さずに描かれていました。)
筋肉の一筋一筋まで丁寧に作画していこうというリアルさを売りにしていたので、暴力描写もリアルさを求めた結果だった様子。
当時はR指定という規制はなく、アニメ作品だったために小さな子供でも鑑賞可能だったので問題視する人もいたということです。
ストーリーは原作を一応踏襲しているが、110分という時間に収めるために削られたキャラや立場を変更しているキャラがいます。
ケンシロウとラオウの最初の対決までが描かれています。
世界観やオマージュ
世界観は『マッドマックス2』から
この「北斗の拳」の世界は199X年に起きた核戦争により文明社会が崩壊してしまったせいで、少ない水や食料を奪い合う「力こそ正義」の時代となっています。
この設定は映画『マッドマックス2』からのオマージュです。
「北斗の拳」の世界風景や登場するキャラクターは『マッドマックス2』に登場するキャラクターから着想を得ています。
実在の拳法やブルース・リーからの影響
北斗神拳については中国拳法に点穴というツボを突くものがあります。
突かれたり掴まれたりすると激痛を感じたり、体調に影響を与えたりできるものです。
さらに、ブルース・リーの影響も大きいです。
ケンシロウの構えはブルース・リーと同じ構えです。さらに「あたたたたた!!」もブルース・リーの怪鳥音をアレンジしたものです。
ヌンチャクを使ったシーンもブルース・リーからですね。
映画俳優や作品から数々のオマージュがあります。
また逆に多くの作品に影響も与えています。
「北斗神拳」の基本情報
『北斗の拳』で主人公ケンシロウとその義兄弟が体得している拳法が「北斗神拳」です。
その特徴は
- 特殊な訓練や呼吸法などによって、超人的なパワーとスピードを発揮します、
- 経絡秘孔と呼ばれるいわゆる点穴を刺激する事により、相手の身体の内部から破壊します。
- 経絡秘孔への刺激を制御する事で高度な医術としても絶大な効果を発揮する事が出来ます。
- 闘気(オーラ)を思いのまま操り、身体の保護や遠くの敵を撃つ事が出来ます。
- 一度戦った相手の技を記憶して、さらにそのまま再現できます。
- 一子相伝で伝承した者以外は、拳を封じられるか命を取られる。
実戦の中で鍛え抜かれ、生き残るために練り上げられてきた技や奥義の集大成が北斗神拳だと言えます。
これに対して、南斗聖拳は108派あり、その中心に南斗六星拳、南斗五車星の拳、があり南斗の将を守護します。
さらに、北斗南斗のライバル的な存在が泰山拳です。こちらも無数に門派があります。
いや、もう強いっていうか化け物です。
この作品はいろんな部分をより過激にしてあるのですが、ケンシロウをはじめ主要キャラクターたちの強さを表すための描写が半端ない(笑)
- ユリアをシンに奪われた満身創痍のケンシロウを谷底に突き落とすジャギ。谷は底が見えないほど深い。それでもケンシロウは生き残ります。
- バットとリンとの出会いのシーンでは土塊の怪物のような姿でビルを薙ぎ倒しながらケンシロウ登場。
- ハートの身長は10m近いくらいに巨大。
- ラオウがキバ族族長を闘気で吹き飛ばすと、その衝撃で山をいくつもぶち抜いてしまう。
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そしてラストのケンシロウvsラオウの戦いも互いに「北斗神拳秘奥義 北斗七死闘気断」を使って戦います。
ジャンプすれば周囲のビルが遥か下に見える程の凄まじいジャンプ力(黒王号がまたすごい。ラオウをのせたままジャンプする!)
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放たれた闘気でビルを倒壊させたり、しまいにはお互いの闘気を拳に載せてぶつけ合いその衝撃で、十字架に磔にされたユリアは吹き飛ばされてしまい行方不明に!!
その結果、地表にはケンシロウやラオウが点にしか見えないほど巨大なクレーターが出来てしまいます。
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この映画は細かい事を気にしたらダメ!
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キャラクターの縮尺がおかしいとか、リンが拳王パレードを喜んで見てたり、などおかしな点は上げればキリがないです。
なのでツッコミを入れるにしても必ず自分で笑いましょう。
良いところの方がたくさんある!!
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リンは核戦争で無惨な死を遂げた無数の魂の結晶として登場します。
最後のシーンでは魂たちの声を代弁したリンの言葉がラオウの冷酷無比な心に響きます。
そしてラオウは戦いをやめて立ち去っていきます。ラオウは決して無慈悲なのではないというのが分かる良いシーンです。
TV版と違いユリアが非常に可愛いです。
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シンとともに暮らしている時のユリアは原作もTVシリーズも微妙だと思っていたんですが、この劇場版で最初にケンシロウと共にいるドレス姿じゃないユリアは可愛いんですよね。
リンはちっちゃいし、マミヤも出てこないし、アイリはちょびっとしか出て来ないので、ユリアが作品に華を添えるようにキャラクターデザインされています。
そしてやはり作画が素晴らしい。
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過激な部分ばかりがクローズアップされてしまっているけど、作画が非常に丁寧に行われています。110分の間、3コマ撮りは少なく2コマ撮り、1コマ撮りの方が多いのではないかと思うほど滑らかによく動くアニメーションです。
ディ○ニーアニメのような気持ち悪いヌルヌルした動きではない、でもカクカクしてしまう事もない。
デッサンの狂いも少なく絵自体がかっこよく仕上がっています。作画品質がすごく高い作品だと思います。
アニメは1秒間24コマで出来ていますが、24枚すべてを作画するのではなく、1枚の絵を3コマずつ撮影する3コマ撮り(1秒間8枚)と2コマずつ撮影する2コマ撮り(1秒間12枚)で撮影することが多いです。
絵の枚数が多ければ滑らかに動く映像になるが、その分コストと手間が掛かります。
毎週放映するTVシリーズはほとんどが3コマ撮りとストップモーション(静止画)を多用して仕上がっています。
近年はコンピュータを多用した撮影を行なっているのでこの辺が変わってきているようです。
曲がカッコイイ!
さらに挿入歌の「Heart of Madness」がマジでかっこいい!!
レイvsラオウのシーンで使われてるんだけどこれがまたいい!!2人は会話を交わしながら戦うんですが、この曲の流れている間会話している描写はあるけど聞こえるのは曲のみなんです。でも原作やTVアニメシリーズを知っているとここのセリフが頭の中で響くんです。この演出はカッコイイです。TVCMでもこの曲が使われていました。
原作、TVシリーズを見ていたとしても、すごく楽しめる作りになっています。
残念ながら原作の武論尊先生にはこの劇場版は好まれず、批判されていたそうです。
これは少年誌で描かれた物語なので暴力描写やグロ描写のせいでR指定作品になってしまったというのが原因だったようです。
今回のまとめ
とにかくかっこいいです。ケンシロウを見て想いを貫くかっこよさ、ラオウを見て重厚な大人の世界を、レイを見てやる時はやる男らしさを、バットを見て人情厚き優しさを、学べるイイ作品だと思います。
「天空にふたつの極星あり、すなわち北斗と南斗 森羅万象二極一対 男と女 陰と陽 阿と吽 暗殺拳しかり 北斗神拳と南斗聖拳」
て冒頭のナレーション聞くと今でもドキドキします!!
ちなみに下の画像はチマチマと自分で描いてみたのですが、描き込みが重厚すぎて途中で挫折しました。白くてごめんなさい。
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※楽しまないと損だ。
2021年5月10日現在、Amazonプライムビデオ(有料レンタル)、U-NEXT(見放題)で見れるみたいです。
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