2025年11月9日に7日に公開になったばかりの『プレデター:バッドランド』を観てきました。
その感想、解説、を語っていきたいと思います。
作品概要
2025年11/7世界同時公開のダン・トラクテンバーグ監督作品。
『プレデター』シリーズの中で初めてプレデター世界を中心に描き人間がひとりも登場しない異色作。
エル・ファニング、ディミトリウス・シュスター=コロアマタンギ出演。
あらすじ
かつて「生存不可能地帯」と恐れられた最悪の地――〈バッドランド〉。
そこへ追放されたのは、掟を破った若きプレデター。孤独な戦士は、より凶悪で危険な獲物を追い、終わりなき狩りを続けていく。しかしその旅路で現れたのは、予想外の“協力者”となる謎の少女。そして彼の前に立ちはだかるのは、プレデターの歴史を塗り替えるほどの史上最凶の敵。
生存率ゼロの過酷な戦場、絶望・進化・戦いが交錯する極限のサバイバル。
若きハンターの運命は、敵か味方かも分からない存在との出会いによって大きく動き始める――。
はじめに:なぜ今、新たな「プレデター」を観るべきなのか【最新情報と魅力】

注目のポイントは何と言っても、初のプレデター側の物語。
そのためキャラ同士の関係値は最小限で描かれています。
他シリーズともクロスオーバーされるところはあまりなく、サバイバルアクションに特化した構造になっています。
なので、今までのシリーズを全く見ていなくても、すごく楽しめる作品に仕上がっていると思います。
さらに主人公デクの新たなるデザイン!そしてエル・ファニング演じるティアの可愛さたるや!!これは必見です。
つまり、40年も続いている『プレデター』シリーズに尻込みしている層に向けて、分かりやすくさらに魅力的な『プレデター』の世界をまず体験できるようになっています。
シリーズの進化と専門的見解:『プレデター:バッドランド』が描く「狩りの哲学」
この作品を楽しむためにプレデターの生態と進化を知っていた方が、より楽しめるので、徹底解説した記事がありますのでよろしかったら参考にしてください。
こちらでは、ざっくりとした生態を紹介します。
ざっくりプレデターはどんな種族?

一言で言えば、戦闘種族です。
強き者が栄誉をほしいままにします。ただし作法や誇りに則った戦いにおいての強さ以外は認められません。
彼らの社会にはしっかりとした命懸けの掟が存在します。
銀河中の強い生物を狩り、栄誉を得ようとします。
生き物としては人間型ですが爬虫類とカニやエビなどの節足動物を合わせたような感じの見た目をしています。
人間よりもひと回り大きな身体で、腕力も脚力も非常に強く、タフです。
熱帯気候を好み、基本肉食です。
メタンガスを呼吸し、見るのは赤外線です。
SFアクション映画としての構造と効果

今までは「強力な科学技術を持ち戦闘に長けた恐ろしい宇宙人とが地球にやってきて地球人を狩るのだが、主人公たちが知恵と技をもって撃退する」というお話でした。
しかし今作はその恐ろしい宇宙人が主人公であり、その家族や誇りなどの哲学が語られるので感情移入はしやすくなると思います。
そのため、主人公デクは他のプレデターに比べるとつるんとしていて、表情も見えやすく感情を読み取りやすいデザインになっています。
• 【独自分析】製作年代から読み解く「バッドランド」の時代背景

2024年から2025年にかけてアメリカはトランプ政権となり、移民を国内に入れないように、また必要なら国内にいる移民は逮捕されたりと、揺れに揺れています。
そんな中、映画作品としては基本的に「移民だって人間なんだ!」というスタイルの作品が製作されています。
アメリカの情勢上、対立構造を煽り断絶を生むような作品はよろしくないという風潮もあります。
今作はそういった意味ではもっとも小さな社会的団体である「家族」をテーマにしていると思います。
主人公デクの父母、兄との関係、と対比的に描かれるのが、バッドランドで出会ったティア、カリスクの子供、宇宙ウナギ(?)との協力関係。
ティアは同型アンドロイドのテッサとの対比で非常に人間っぽく描かれています。
デクを中心にした絆が育まれていく様子が描かれています。
時代的に社会的にいろいろと不安な出来事が続いているので、最も近しく最も小さな社会単位「家族」で寄り添いたいという事なのだと思います。
映画『プレデター』シリーズをもっと面白くする鑑賞術3選
映画『プレデター』シリーズは、1987年の初作以来、SFアクションとサバイバルスリラーを融合させた独自の映画体験で、多くの映画ファンを魅了してきました。しかし、ただ怪物と戦うアクション映画として観るだけでは、このシリーズの奥深さの半分も味わえていません。ここでは、シリーズをより深く理解し、作品ごとの魅力を最大限に楽しめる“鑑賞術”を三つにまとめて紹介します。これから『プレデター』を見る人にも、すでに複数作を観たことがある人にも役立つ視点です。
鑑賞術1::プレデターの“狩猟文化”を読み解きながら観る

シリーズの核心にあるのが、高度なテクノロジーを持つ異星生命体「プレデター(今作ではヤウージャ族)」の文化的背景です。単なる怪物ではなく、彼らは“狩りを通して名誉を求める戦士族”。この世界観を理解することで、映画の解釈が一段階深まります。
プレデターは作品ごとに行動規範を徹底しています。
・非武装の相手は狩らない
・強い戦士ほど優先して獲物とする
・戦いは名誉の証であり儀式でもある
この視点を持って作品を観ると、行動の意図やバトルの意味が腑に落ち、ただの“モンスター映画”ではなく、“異文化との遭遇劇”として鑑賞できます。シリーズを通して統一された思想を探ることは、プレデター映画の隠れた醍醐味です。
ここをチェックするなら第1作目の『プレデター』です!
• 鑑賞術2:武器・テクノロジー・種族の進化を比較しながら観る

プレデターシリーズの魅力のひとつが、作品ごとにアップデートされる“テクノロジー表現”です。光学迷彩、赤外線視覚、プラズマキャノン、リストブレード、投擲ディスクなど、武器の変化を追うだけでもシリーズ全体の進化が見えてきます。
最新作では、若きヤウージャの試練や、異なるトライブの文化描写が強化され、宇宙規模の世界観がより立体的になっています。
・初代の“見えない恐怖”の表現
・『AVP』系作品で描かれる儀式的戦い
・近年の作品で増えた“テクノロジー差”の演出
このように、作品を横断して比較する鑑賞法は、プレデターシリーズを知的に楽しむ最も効果的な方法のひとつです。「同じ敵に見えて実は違う文化」という深い設定に気付くと、シリーズ全体の見え方が劇的に変わります。
この部分に注目するなら『エイリアンvsプレデター』です。
• 鑑賞術3:プレデターを“災害”として捉え、人間ドラマに注目する

プレデターは圧倒的戦闘力を持つキャラクターですが、その存在はしばしば“自然災害”や“圧倒的な脅威”として描かれます。これを理解すると、作品の焦点は“人間同士の関係性”へと移ります。
シリーズで描かれるのは、極限状態に追い込まれた人間の選択と心理です。
・仲間への不信や絆の再構築
・サバイバル力と判断力の差
・恐怖環境下でのリーダーシップとは何か
・異常事態で人はどう行動するのか
プレデターは“絶対的強者”として物語の試練の象徴になり、人間側のドラマを引き出す役割を担っています。特に初代の特殊部隊の崩壊過程や、『プレデターズ』の異種混成チームの心理描写などは、シリーズの人間ドラマの魅力を象徴するものです。
この“対プレデターの心理戦”を読み取ることで、作品そのものをキャラクター映画として楽しめるようになります。
この部分に注目して見るなら『プレデター2』か『プレデターズ』です。

以上、映画『プレデター』シリーズをより深く味わうためには、
- プレデターの狩猟文化と名誉観を理解する
- テクノロジーや武器の進化に注目する
- プレデターを“圧倒的脅威”として捉え、人間ドラマに着目する
という三つの視点が効果的です。
この鑑賞術を取り入れるだけで、アクション映画としての迫力だけでなく、シリーズ全体が持つ文化性・世界観の奥行き・人間心理の深さが立体的に見えてきます。これから『プレデター』シリーズを観る人にも、すでにファンの人にも、必ず新しい発見があるはずです。
まとめ:『プレデター:バッドランド』をあなたの映画体験の「資産」に
『プレデター:バッドランド』は、シリーズの中でもとりわけ“異質”でありながら、“本質”を最も濃く抽出した作品です。プレデターの狩猟文化、孤立無援のサバイバル、そして極限状況で炙り出される人間ドラマ――そのすべてが、映画という体験を「積み上げられる資産」に変えてくれるほどの濃度で描かれています。ただ観て終わるだけでなく、“観るたびに学びが増える映画”として楽しむことができるのが、この作品の最大の価値です。ここでは、あなた自身の映画体験を今後さらに豊かにするために、この作品をどのように受け取り、どのように活用していくべきかをまとめていきます。
まず強調したいのは、『プレデター:バッドランド』が従来のシリーズ以上に“狩りの本質”を前面に押し出している点です。プレデターが持つ儀式性や名誉観、そして獲物との関係性が物語の中心軸として描かれることで、シリーズを長年追い続けてきたファンにこそ刺さる深みが生まれています。この視点を持つことで、あなたのシリーズ理解は大幅にアップグレードされ、今後どのプレデター作品を観ても“文化としてのヤウトジャ”という奥行きが自然と重なって見えるようになります。これは、ただの娯楽映画では手に入らないリッチな鑑賞体験です。
また、『プレデター:バッドランド』はテクノロジー描写や世界観の広がりを読み解く“シリーズ比較鑑賞”にも最適な作品です。武器の進化、狩猟方法の違い、ヤウトジャ社会の階層構造など、シリーズ全体に散りばめられた設定のピースが、この作品を通じて見事に接続されていきます。プレデター映画を「宇宙規模の文化史」として味わうファンにとって、本作は知識を整理し、理解を深化させる“重要なノード”のような役割を果たします。「プレデター文化」「プレデター武器」「ヤウージャ族とは」など複数のキーワードと自然に結びつきます。
『プレデター:バッドランド』は、シリーズの一部でありながら“単独で濃厚な映画体験を提供できる作品”であり、同時に“他作品を見るための視座を高めてくれる作品”でもあります。映画鑑賞は、ただその場で楽しむだけでなく、積み重ねることで自分の中に“理解の地層”を作ることができます。本作は、その地層を大きく押し上げてくれる一本です。
これからプレデターシリーズを深く知りたい人にも、すでに数多くのSF・アクション映画を観てきた人にも、『プレデター:バッドランド』は必ず“あなたの映画体験の資産”になります。観終わったあとに何が残るのか――その問いに、本作は確かな価値で応えてくれるはずです。
内容に不満な方もいらっしゃるようですが、何も考えずにド派手なアクションや、友情とも家族の絆ともとれる繋がりなどに感動し、壮大で奇妙奇天烈な自然を描く素晴らしい映像に感心出来ればよいのだと思います。
この映画は恐らく、シリーズをこれからご覧になられる方たちの最適な入り口となると思います。
そして細かいオマージュもありますので、その後過去作を観た時に「ああ~!!」って気持ちいい瞬間を迎えることも出来ます。
総じて、エンターテインメントとして良く出来た作品だと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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