今回紹介する映画は「インターステラー」です。
SF映画の中でとくにこの映画を「すごい」と推す人は多いと思います。
もちろん自分もその一人です。
「ハードSF」というジャンルがあります。しっかりした科学的論拠を基にした設定を扱う作品の事ですが、この映画は「ハードSF」の極みともいえるかもしれません。
ラーメンなどの大衆食堂の食事と違った、一度くらい食べてみたい憧れの高級レストランのフルコース料理といったところでしょうか。
※注意:この記事にはネタバレが多分に含まれています。作品をご覧になっていない方にはオススメできません。
作品概要
2014年公開、クリストファー・ノーラン監督作品。主演はマシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ。
徹底した科学考証のために本物の物理学者キップ・ソーンを招き入れ、描写に科学的な間違いがないかなど徹底的に検証して映像造りされています。
本当にすごいのは、
その後キップ・ソーンは2017年にノーベル物理学賞を受賞しています。
さらに劇中に出てくるキップ・ソーン監修の元に作成されたブラックホールのビジュアルですが、その後実際にブラックホールを画像に収めたものが劇中のブラックホールにそっくりであることが話題にもなりました。
ざっくりあらすじ
異常気象に見舞われて世界中が砂嵐のせいで作物が出来なくなってしまっている世界。
なんとか人類を生き残らせるために他の惑星への移住をするために居住可能な惑星を探す探査を行う事に。
泣いてすがる娘マーフを置いて宇宙に旅立つ主人公ジョセフ。
人類は生き残ることが出来るのか?ジョセフとマーフィの再会は?
「2001年宇宙の旅」へのオマージュ
宇宙人の姿
簡単に言ってしまうとこの物語は、地球外知的生命体(宇宙人)とのファーストコンタクト(初めての出会い)の物語です。
「2001年宇宙の旅」と同じで高次元に「彼ら」は存在するので人間には観る事も出来ない存在として描かれます。だから姿は出て来ません。
TARS(ターズ)はモノリス
そして、今回旅を導く人工知能ロボットとしてTARS(ターズ)が出て来ます。
これはモロにモノリスがモチーフとなっています。
普段は最もかさばらない一枚板の状態。そこからいろんな形に変形してかなりの機動力があります。
構造としては4つの細長い直方体が連結しています。ただ、これは恐らくシャフトなど機械的に接続しているのではなく、磁気などを使って軸になる位置を可変させることが出来るようになっています。
また、モノを掴むためのマニピュレータを装備していて、機械修理、サンプル採集、アナログでの操作が必要なものを操作、操縦などを可能にしています。
地球に似た居住可能惑星を探し出すために、膨大な情報にアクセスし、分析し、考察し、どういった行動が有益かを判断する材料を与えてくれます。
しかもHAL9000と同じで人の役に立ちたいという態度で居てくれます。
高機能になっている部分として冗談を言ったり、正直度を設定出来たりというところです。
これは人間とのコミュニケーションを円滑にするために、親密度を増すことが出来るようにプログラムされています。
正直度の設定では、設定次第でウソがつけるようになっています。
すべてを正直すぎるほどに話すとこから、大ボラ吹きにまで設定の幅があります。
人に気を使い、心理的に傷つけないように話すという余計なことを言わない程度のコミュニケーションなども可能。
上記にも書いた通り、いろいろなパラメータ設定をすることによって、自在に性格を設定できます。
つまり心理カウンセリングも行う事が出来る優れたコンピューターなんですね。
いずれにしてもジョセフたちを物語の最後まで導いていきます。
もちろん、モチーフは『2001年宇宙の旅』の人工知能HALです。
4次元超立方体テサラクト
物語の終盤、ジョセフはブラックホールの中で急に不思議な立方体が重なったような場所に入り込みます。
これは「彼ら」がブラックホールの中に用意した、いわゆる超空間「4次元超立方体テサラクト」です。
時間も座標として表すことが出来て自由に操作できる超次元の存在がジョセフをこの空間に招き入れたのです。
過去のマーフの部屋に繋がっています。
TARSに特異点のデータを翻訳させてモールス信号にして腕時計の針を動かします。
マーフはこのメッセージに時が経ってから気づきます。このデータを使ってブランド博士が成し得なかった重力問題に新しい解を発見することに成功します。
一言で言うとこのおかげで巨大宇宙船を建造して人類は地球から脱出することが出来ます。
彼らは地球人類の危機を知っていて、救うためにジョセフに旅立たせるのです。
そして、娘であるマーフに暗号を伝え、巨大な移民宇宙船を建造させる事で地球を脱出し、人類は生き延びました。
いつの日か「彼ら」と交流する事が出来る未来が訪れるのかもしれません。
電八的感想
この映画のすごいところは、SFというだけでなく、アドベンチャーとしても見せ場が多く、しかも親子愛という人間ドラマにも焦点を当てているところが素晴らしいです。
分かり易い「2001年宇宙の旅」だという人もいるようです。
たしかに決して難解ではなく、美しい映像と共に物理学者による高度な科学考証を元にしたいつの日か実際に訪れる可能性の高い未来を映像化してます。
しかもなによりいいのがハッピーエンドという事です。
4次元超立方体テサラクトにより、過去のマーフに暗号を伝えたジョセフは、その後通常空間に放り出される。
もうこのまま広大な宇宙を漂流して息絶えるのかと思ったら、巨大な宇宙船に回収されます。
この宇宙船こそマーフのおかげで建造された人類の地球脱出用の移民宇宙船でした。
この宇宙船で、ジョセフはマーフと再会します。
ジョセフとマーフの時間の流れは宇宙旅行やブラックホールの影響で大分かわってしまっていて、再会したのは老婆となり子孫たちのいるマーフだった。しかも亡くなる寸前の。
悲しい事ではあるけど、再会できたことに感激します。すべてのわだかまりも氷解します。
グッと来るんですよね~♪
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最後まで読んでいただきありがとうございます。今回の記事は以上となります。
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